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シンガポールにおける整理解雇通知義務

2017年05月08日(月)

シンガポールにおける整理解雇(Retrenchment)通知義務について解説致します。
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シンガポールにおける整理解雇(Retrenchment)通知義務について

2017年5月5日

One Asia Lawyers シンガポール;JLC Advisors LLP

1,イントロダクション

 シンガポール法上、整理解雇(Retrenchment)とは、一般に、人員の余剰解消または事業内容の再編等に伴う解雇のことを言い、無期限又は6か月以上の長期雇用契約を締結している従業員に対して適用されます。

 2017年1月1日より、10名以上の従業員を雇用している雇用主が6か月以内に5名以上の整理解雇を行う場合には、人事省(Ministry of Manpower、MOM)に対して通知を行うことが義務付けられました。

 この規制は、雇用主に整理解雇に関する情報を早期に提出させることにより、当局が適時にそれを認知し、対象従業員が新たな職を獲得することをアシストするためであるとされています。

2、新規制の概要

 上記の新たな規制の概要は次の通りです。

・この通知は、対象従業員に対して整理解雇の通知がなされた後、5営業日以内(最初の4名については、5人目に対する通知から5営業日以内、その後は各通知からそれぞれ5営業日以内)に提出されなければならない。

・通知の提出方法は次の通り。

i) 通知フォームをダウンロードする
ii) 対象従業員の詳細情報等の記入(居住形態、職位、整理解雇日等)
iii) オンラインでの提出。この際には次の情報が必要。
  ・雇用主のUEN(Unique Entity Number)
  ・連絡先担当者の名前
  ・整理解雇前における従業員の数(シンガポーリアン、PR及び外国籍)

 雇用主がこの規制を遵守しない場合には、最高5000シンガポールドルの罰金が課される可能性があるために注意が必要です。

 また、上記の従業員の情報を提出することは、法的義務を果たすためであるため、シンガポール個人情報保護法にも抵触しないとの注釈もつけられています。

 なお、これとは別途、整理解雇を行う際には雇用法上、雇用主が整理解雇手当(Retrenchment Benefit)を支払うべき可能性がある点にも注意が必要です。この点、雇用法第45条においては、「連続して2年以上労務を提供していない従業員は、Retrenchment Benefitを取得することができない。」と規定しているのみですが、MOM等においては勤続2年以上の従業員に対してはRetrenchment Benefitを支払うべきとの見解をとっていると見受けられるため、実務上はこれに従っておくのが無難ということはできます。

以 上