• Instgram
  • LinkeIn
  • Lexologoy

ラオス新投資奨励法の施行

2017年05月08日(月)

ラオスの新投資奨励法に関するアップデートを共有致します。
ダウンロード → ラオス新投資奨励法の施行

 

ラオス新投資奨励法の施行

2017年5月7日
One Asia Lawyers ラオス事務所
藪本 雄登
内野 里美

1 背景情報

 ラオスでは、遂に2017年改正投資奨励法(以下、「新投資法」といいます。)が2017年4月19日より施行しています。

 なお、経過規程によれば、旧投資法により既に恩典を受けていた投資家や企業等については、そのまま旧投資法の内容が適用されることになっております。もし当該投資家が新投資法上の優遇措置を受けることを希望する場合は、当局に対して、新投資法の施行後、120日以内に申請を行う必要があります(新投資法第109条)

2 新規制の概要

新規制の概要については、「ASEAN News Letter Vol.40 ラオス新投資奨励法の官報掲載」をご確認下さい。前回の内容で記載していなかった改正事項を整理します。

(1)最低資本金規制の改正

 旧投資法第17条では、10億キープ(約125,000USD)が最低資本金として規定されていましたが、新投資法では最低資本金規定が削除されています。この点について、2017年5月7日時点、計画投資省担当者に確認したところ、最低資本金規制は撤廃されたとのコメントがありました。

 他方、商工省に確認したところ、各分野最低資本金を設定していない分野については、現時点では、改正前の10億キープを推奨しているとの回答を得ており(商工省企業登録局担当者回答)、最低資本金規制については、今後の運用動向に注視していく必要があります。

(2)会社設立の申請の流れ

 今回の改正により、基本的に、ネガティブリストに該当しない分野への投資については、ラオス商工省の企業登録管理局もしくは都・県商工局窓口にて申請することになります(同法第38条)。

 他方、ネガティブリストに該当する分野への投資、駐在員事務所、支店やコンセッションを伴う事業の申請手続き、経済特区内への申請手続きは計画投資省での申請(計画投資省担当者回答)となり、申請窓口が以前と異なりますので、注意が必要です。

(3)投資インセンティブの内容

 投資インセンティブの内容については、以前のニュースレターでもご紹介致しましたが、その他優遇措置も含めて、再度ご紹介致します。

ア 奨励業種

 新投資法第9条では、奨励業種を以下の通り規定しています。

(ア) 高度で最先端な技術、科学技術の研究、研究および開発、テクノロジーの使用、環境にやさしい天然資源エネルギーの節約に資する事業
(イ) クリーンな農業、無農薬、品種生産、家畜改良、工芸作物栽培、森林開発、環境および多様性の保護、地方開発、貧困削減に資する事業
(ウ) 環境に優しい農業生産物の加工、国の伝統・独自の加工品、手工芸品の生産
(エ) 環境に優しく持続可能な自然、文化、歴史観光産業
(オ) 教育、スポーツ、人材開発(人的資源開発)、職業技術、職業訓練所、教材およびスポーツ用品の生産
(カ) 高度な医療施設、医薬品および医療器具製造工場、伝統医薬品の製造と治療施設の開発
(キ) 都市の渋滞緩和、居住地域整備のための公共サービス・インフラ施設への投資運営開発、農業、工業用インフラ建設、商品輸送サービス、越境サービス
(ク) 銀行融資を受けることが難しい貧困地域およびコミュニティに対する貧困解決のための政策銀行、マイクロファイナンス事業
(ケ) 国内製造および世界的に有名なブランドの販売促進のための近代ショッピングセンター開発運営、工業、手工芸品、農業分野の展示場の開発運営

イ 地域に基づく優遇

 新投資法第10条では、以下の通り、地域の定義を定めています。

<地域1>
貧困地域、遠隔地、投資に対する社会経済のインフラが整備されていない地域への投資

<地域2>
社会経済インフラの整備がある程度進んでいる地域への投資

<地域3>
SEZへの投資

ウ 投資奨励分野および地域に基づく法人税優遇措置

 新投資法では、現行法と同様に、奨励業種と地域による基準により、法人税免税の恩典内容を判断する内容となっています。

<地域1 貧困地域、遠隔地、投資に対する社会経済インフラが整備されていない地域>

 地域1への進出:法人税が10年間免除されます。同法第9条で規定される(イ)、(ウ)、(オ)および(カ)の分野への投資について、さらに追加で5年間免税措置を受けることができます。

<地域2 投資に対して社会経済インフラの整備がある程度進んでいる地域への投資>

 地域2への投資:法人税が4年間免除されます。同法第9条で規定される(イ)、(ウ)、(オ)および(カ)の分野においては、さらに3年間免除されます。

<地域3 SEZへの進出>

 SEZへの投資:法人税の免税優遇措置は、各SEZでの規制に則り、適用を受けることができます。

 なお、法人税免除期間は売上が発生した時点から算出されます(同法第11条)。上記に示す法人税免除期間が終了した後は、税法に従い法人税(24%)を納める必要があります。

エ 関税および付加価値税に関する優遇

 ラオスへ投資する投資家は法人税の免税措置を受ける以外に、下記のとおり、関税および付加価値税の免税措置を受けることができます(新投資法第12条)。

 ①国内で調達・生産することができない固定資産として登録される機器や生産に直接使用される重機等の車両について関税および付加価値税は0%課税となります。他方、化石燃料、ガス、重油、自動車、その他の機材などは関係法に従うと規定されています。なお、重機車両の一時的輸入については関税法により規定されると規定されています。

 ②輸出向け加工生産品に使用する原料、機器、部品の輸入は輸入時に関税徴収を徴収せず、輸出時に関税を免除されます。また、それらの物品に関する輸入時の付加価値税は0%課税と規定しています。

 ③輸出用の完成品や半完成品の製造のために利用される天然資源ではない国内原料の使用については、付加価値税は0%課税となります。

 上記の通り、基本的に、建設資材および生産活動に直接利用される原材料、設備、機械、交換部品、車両の輸入にかかわる輸入関税および付加価値税は、関連当局に認可されたマスターリストに基づき免除されます。

オ その他優遇措置

 ①追加投資の場合の追加法人税免税措置

 事業拡大のため、ラオス法人で生じた純利益を利用して追加投資を行う場合、次年度法人税が1年間免除される可能性があります(新投資法第14条)。

 ②繰越欠損金の適用

 損失を計上した場合、その損失を翌3年間持ち越して利益と相殺することができます(同法第14条)。なお、4年目以降は残存する損失を利益と相殺することはできません。

 ③土地リースもしくはコンセッション費用の免除

 新投資法第9条に規定される奨励業種に投資をお小茄子投資家は政府の土地のリースもしくはコンセッション費が免除される可能性があります(同法第15条)。

カ 恩典を受けるための条件

 新投資法第9条で規定される優遇措置分野への投資に関しては、最低でも1,2000,000,000キープ(約1,800万円、約15万米ドル)の投資総額、または、ラオス人技術者を最低30名以上雇用する、もしく労働契約を1年以上て行けるするラオス人労働者を50名以上雇用することが条件となっています(同法第9条第2項)。

以 上