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ラオスにおける保税地域と免税店について

2023年07月15日(土)

ラオスにおける保税地域と免税店についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
免税店について

ラオスにおける保税地域と免税店について

 

2023年7月15日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所

1.背景

2020年6月に関税法が改正されていますが、その中で、「保税地域及び免税店」に関しては、第82条から85条に簡単に定義づけされている程度で、詳細は、財務省が別途発行する法令に従うとあります。

ラオス政府は、2023年6月1日付で「保税地域及び免税店に関する首相令(No212)(以下、首相令)」を発行し、2023年7月28日より、施行されます。

首相令は、全部で92条から構成されており、第8条から第63条まで保税地域に関する規定、第64条から第72条までが免税店に関する規定となっています。

首相令が施行される前にすでにラオス政府と契約を締結している保税地域開発者、保税地域への投資事業者及び免税店事業者(以下、投資事業者)については、契約が終了するまで、既存の契約は有効とされます。また、首相令に準じた恩典を受けたい投資事業者は、首相令の施行日から数えて120日以内に財務省へ申請し、財務省は首相令に基づき恩典内容を通知することが規定されています(第92条)。

なお、経済特区、ロジスティクエリア、スマートシティ内の保税地域への投資する事業者に対しても、首相令の適用範囲内となっています(第92条)。今回は、免税店事業者に関する規定を中心に解説いたします。

2.免税店の設置について(第64条)

免税店は、国際国境、国際空港内、国際航路、鉄道、越境旅客輸送車及びショッピングセンター、観光名所、その他ビジネス街などの市中に設置可能と規定されています。

また、国際国境においては、年間の出入国者が少なくとも10万人以上の場所に設置可能としています(第65条5項)。市中に免税店を設置した場合は、国際国境、国際空港内、国際航路、鉄道又は越境旅客輸送車の降車口に販売するための商品を受け取ることができる場所を確保する必要があります(第65条6項)。

3. 免税店事業者の条件(第67条)

免税店事業者の主な条件は以下の通りです。

(1)法人であること

(2)登録資本金は、150億キープ以上(約1億円[1])であること

外資規制については、保税地域開発者及び保税地域への投資事業者は、外資企業は49%まで出資可能と明記されていますが、免税店事業者については、外資規制の記載が確認できませんでしたので、外資企業100%でも投資可能な事業と解釈されます。

4.免税店の事業許可(第66条、第68条、第69条)

免税店を設置しようとする法人は、商工省/局で企業登録書(Enterpriser Registration Certificate)を取得後、免税店の事業許可書(Business Operation Certificate)を取得するために、下記の書類を揃えて、財務省へ提出します。財務省は、完全に揃った申請書類一式を受領後、60日以内に事業許可書の発行の可否を検討して、文書にて事業者に対して通知します。

申請に必要な書類は、以下の通りです。

(1)免税店設置申請書

(2)企業登録書

(3)年次納税証明書(新設の場合は不要)

(4)事務所建設許可又は事務所賃貸契約書

(5)会計システム保有証明書

(6)環境影響評価報告書(もしあれば)

(7)フィージビリティスタディ報告書又は事業計画書

5.年間商品輸入計画書の承認(第70条)

事業許可書を取得後、免税店事業者は、年間商品輸入計画書(以下、輸入計画書)を関税局へ提出し、承認を得る必要があります。

輸入計画書の内容は、品名、数量、価格、原産国、賞味期限等の詳細を記載し、複数年(1年以上)の輸入計画書を提出する必要があります。既存の事業者は、次年時に輸入予定の商品がある場合、複数年の輸入計画書のほかに、これまでの事業実績(倉庫リスト、販売リスト、Duty Not Paidシール使用リスト、税関及び関連当局からの認証された義務の遂行状況)を提出する必要があります。

関税局は輸入計画書等を受領後、15日以内に内容を精査、問題がなければ、財務省に対して輸入計画書の承認申請を行います。財務省が承認しない場合は、その理由も含めて、5営業日以内に事業者に対して文書にて通知します。

6.免税店事業者の禁止事項(第82条)

免税店事業者に対する禁止事項は以下のとおりです。違反者に対しては、警告、指導、処罰、罰金、民事上の損害賠償又は、罪の重さに従い刑事罰の対象となります。

(1)税関当局から承認されていない輸入リスト外の商品を販売すること

(2)情報、証拠書類の隠滅、隠ぺい、収入の不正などの違法行為

(3)ラベルのない商品、不適切な内容のラベルの商品及びDuty Not Paidが貼っていない商品を販売すること

(4)免税店事業許可書を他人へ使用させたり、賃貸したり、譲渡すること

(5)領収書又は売買又は収支に関する書類を偽造すること

(6)税関当局からの許可を得ずに免税商品を移動すること

(7)その他の違法行為

[1] 15,000キープ=約100 円(2023年7月)

 

                                          以 上

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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)