• Instgram
  • LinkeIn
  • Lexologoy

シンガポールにおける消費者保護法関連規則の改正

2018年01月30日(火)

 シンガポールにおける消費者保護法関連規則の改正の概要について解説いたします。
シンガポールにおける消費者保護法関連規則の改正

 

シンガポールにおける消費者保護法関連規則の改正

2018年1月26日
One Asia Lawyers シンガポール

1,イントロダクション

 シンガポールにおいては、製品に対する消費者保護に関する法律として、(i)Consumer Protection(Fair Trading) Act (Chapter 52A)及び(ii) Consumer Protection (Trade Descriptions and Safety Requirements) Act (Chapter 53)が存在しており、それぞれ(i)優良誤認、有利誤認当の不公正な取引や欠陥製品(いわゆる”lemon”)からの消費者保護、及び(ii)製品の品質、企画に関する虚偽表示等の禁止、安全性基準の設定等による消費者保護を定めています。

 このうち(ii)に関し、電気・電子製品やガス機器といった一定の規制物品(Controlled Goods)について、その安全性基準に関する規則((ii)の下位法令であるConsumer Protection (Safety Requirements) Regulations、以下「新規則」)が2018年1月15日に改正されました。

 この規則の主管期間はシンガポール規格・生産性及び革新局(Standards, Productivity, and Innovation Board、略称”SPRING”)であり、同局によると、今回の改正は、市場に新たに登場してきた製品や技術を考慮してアップデートが必要と判断されたためであると説明されています。

2,概要

 新規則の概要は次の通りです。

(1)規制品目の整理

 規制対象となる規制品目の範囲が拡大され、ストレーとヘアアイロン、スタイラー、カーラー等が対象に含まれるようになりました。また、一方で時代の変化に伴い市場から見られなくなった扶養品目(ビデオカセットレコーダー等)は削除されました。併せて、規制のカテゴリーが整理され、規制品目の商品カテゴリーが45項目から33項目に減少しました。

(2)製品のリスク度合いに応じた適合性評価

 新規則のもとでは、規制物品が低リスク(エアクーラーやテーブルランプ等)・中リスク(ACアダプタ、コーヒーメーカー、ヘアドライヤー等)・高リスク(ガスコンロ、ウォーターヒーター、冷蔵庫等)の3段階に分類されています。

 従前は、これらの規制物品をシンガポールにおいて輸入又は製造する業者(以下「サプライヤー」)は、いずれもその業者及び物品の登録・安全性基準への適合性評価を適合性評価機関において行わなければならなかったのが、本改正において、低リスクに分類される規制品目についての手続きが簡素化されました。すなわち、低リスク物品のサプライヤーは、適合性の認証を取得するためにCABにアプローチする必要がなくなり、代わりに、サプライヤーによる適合性に関する宣言により該当する規制品目が安全要件を遵守している旨の宣言を提出することで足りることになりました。なお、SDoC自体は、登録のためにSPRINGへの提出が必要です。

 一方で、中・高リスクの規制物品のサプライヤーについては変更はありません。これらのカテゴリに属するサプライヤーは、引き続きCABから適合性の認証を取得しなければなりません。

 なお、特定の規制物品画と実際に登録されているか否かについては、関連ウェブサイトにおいて、当該製品の登録番号・ブランド名・モデル番号等に基づき、誰でもチェックすることができます。

(3)猶予期間

 新規則への移行に伴い、サプライヤーに対しては、2019年1月14日までの猶予期間が設けられました。

3,罰則

 以上に関し、上位法令であるConsumer Protection (Trade Descriptions and Safety Requirements) Actに基づき、未登録の規制物品を販売した場合、最大で1万シンガポールドルの罰金、2年以下の禁錮又はこれらの併科という、軽くないペナルティが科せられる恐れがありますので注意が必要と言えます。

4,適合性評価規則の改正

 以上のほか、SPRING及びCABによる適合性評価基準に関する規則であるStandards, Productivity and Innovation Board (Conformity Assessment) Regulationsも改正されました。これにより、今後は、欧州連合(EU)の適合性評価機関が発行する適合性認証書も認められます。

SPRINGが指定する適合性評価機関(シンガポールと欧州連合との自由貿易協定(EUSFTA)の批准国に所在)が発行した適合性認証書は、規制品目の登録の目的上認められるようになります。

以 上