• Instgram
  • LinkeIn
  • Lexologoy

ラオスにおける経済特区に関する首相令の改定について

2018年09月01日(土)

ラオスにおける経済特区に関する首相令の改定について報告いたします。

→経済特区に関する首相令について

 

ラオスにおける経済特区に関する首相令の改定について

2018年9月1日
One Asia Lawyers ラオス事務所
藪本 雄登
内野 里美

1.はじめに

 2012年より首相府の下で、経済特区に関する首相令(以下、SEZ首相令)の改定が進められてきました。2014年頃から首相令から法律へ格上げされるという話もありましたが、結果的には、2010年のSEZ首相令(No.443)、タートルアン湿地帯及びラオス国内の経済特区への投資に関する追加方針に関する大臣合意(No75)に置き換わるかたちで、SEZ首相令が2018年7月19日に官報掲載、15日後の2018年8月2日に施行されています。同首相令は、すべての経済遠くに即時に適用されるわけではなく、既存の経済特区が定める独自の規定や政府との契約内容は、その有効期間が終了するまでは、変更されません(同首相令第64条3項)。

 同首相令の改正については、各種税金の免税期間及び税率が注目されておりましたが、主な改正て年は以下の通りとなっています。

  経済特区・特定経済特区に関する首相令(No445)   経済特区(BEZ)に関する首相令法(No188)
2条 経済特区・特定経済特区 2条

経済特区(Special Economic Zone “SEZ”)

→経済特区の概念削除

【SEZの定義】

ハイテク、クリーンな生産、新技術を用いた農業製品生産、省エネ・省資源生産などの優先業種への投資を促進、持続的発展を可能とする地域)

3条 ディベロッパーとは、ラオス政府からビジネス、生産、サービスの拠点としての環境整備、インフラ整備等において、SEZの開発を許可された個人、法人、団体 3条

ディベロッパーとは、ラオス政府からSEZインフラ開発に投資をすることを許可された法人

➡定義から個人が削除

50条 土地管理局がSEZ委員会に土地利用権を発行 51条 天然資源環境省がディベロッパーに土地利用権を発行、SEZ委員会が投資事業者に土地利用権を発行
    52条

土地利用

ディベロッパーは、事業に直接使用することを目的とした土地は80%を超えて使用できず、残りの土地は、公共の場や緑地のために使用する必要がある。

37条

1.関税、税金に関しては、SEZ員会が、投資の規模、活動内容、事業分野によってさまざまな関税や税金の免税あるいが減税の優遇措置を検討する。ただし、課す税金は、関税法や税法の定める税率を上回らないものとする。

2.SEZ内で使用されるラオス国内から搬入された材料は、輸出品としてみなされ、免税、減税の優遇措置をうけることができる。

3.投資奨励法58条に従い、土地借用権、その他固定資産の所有権に対しての優遇措置が受けられる。

41条

ディベロッパーに対する関税、税金に関する優遇措置

1.輸出入にかかる関税及び税金の優遇措置は投資奨励法に従う

2.製造業、観光開発業、医療保健サービス、教育、スポーツ及び不動産開発業従事する事業者の法人税の優遇措置は以下の通り。

地区1:16年間の免税

地区2:8年間の免税

各地区、免税期間終了後、5年間は税法で定める法人税率の35%の税率に減税。その後は、税法の定めに従う。

3.SEZ内の道路工事、電力整備、水道設備、下水処理システム整備及び廃棄物処理整備に従事する事業者は、付加価値税(VAT)が免税される。インフラ整備事業者は、VAT法が定める税率の50%に減税される。

44条

投資家に対する関税、税金に関する優遇措置

※詳細は、以下、本文をご覧ください。

 

 特に、経済特区に進出する投資家に対する免税恩典について解説いたします。

2.法人税

 改正投資奨励法では、SEZは地区3として規定されています。SEZの免税期間は、改正投資奨励法第11条で規定されている、地区別に定められている免税期間+2年と定められています。また、投資奨励業種の中で、特定の分野の業種に対しては、下記の表のとおり、免税期間が終了後5年間、さらに減税の恩典が受けられます。

地区

(投資奨励法に基づく分類)

奨励業種分野

投資奨励法に基づく奨励業種分野分野

(2、3、5、6)

地区1
免税期間

 

10年

 

+5年

地区2
免税期間

 

4年

 

+3年

SEZ(地区3)

地区1及び地区2の各免税期間終了後、追加免税期間

+2年

奨励業種分野(2、3、5、6)

免税期間終了後5年間は、税法で定める法人税率の35%の税率へ減税

3.付加価値税(以下、VAT)

1)100%海外輸出用生産工場建設にかかるVATは免税となります。生産活動に必要な電気代及び水道代にかかるVAT率は、通常の50%減となります。

2)100%海外輸出用ではない工場の建設及び投資家の事業活動に必要なインフラ開発工事にかかるVAT率は、通常の50%減となります。

3)国内販売用商品生産のために輸入する原料、機器及びSEZ内で生産、加工又は組み立てに必要な部品の輸入にかかる関税や税金は、関税法や税法に従う必要があります。