• Instgram
  • LinkeIn
  • Lexologoy

ラオスにおける企業登録申請に関する改善点について

2020年02月11日(火)

ラオスにおける企業登録申請に関する改善点について報告いたします。

→会社登記手続きに関する通知

 

ラオスにおける企業登録申請に関する改善点について

2020 年 2 月 11 日
One Asia Lawyers ラオス事務所
藪本 雄登
内野 里美

1.経緯

2018年2月1日より施行されているラオスの投資環境改善に関する首相令が発行され、2年間が経過しました。いまだにビジネス環境ランキングは154位(2019年と同位)と低迷したままです。この2年間、会社設立にかかる煩雑な手続きを改善する法令が多く発行されていますが、法令と実務が乖離している部分も多く存在しており、実務上、混乱することが多かった状態です。計画投資大臣は、ワンストップサービスを効率的に機能させるべく、職員が不足している部署は増員させ、仕事ができない職員は、そのポジションから解任することを明言する等、事態を非常に重く受け止めています。

これまで、投資環境改善に関連する法令は、関連政府機関に向けて発行されたものが多く、投資家は、その手続きの全容を把握することが難しい状況にありました。

今回、商工省事務局は、2020年1月29日付で、国内外の投資家に宛てて「会社登記手続き(No115/商工省事務局)」に関する通知を発行しました。同通知により、この2年間で改善された手続きが明確になりましたので、ご紹介いたします。

2.会社設立手続き1における改善された項目について 

下記の7項目に置いて、手続き自体が不要となり、簡略化されています。

 ア)会社(事務所)住所登録証明証の取得(不要)
 これまでは、会社の所轄住所内の村役場で、住所証明を取得していましたが、その手続きが不要となりました。

 イ)会社定款の財務省での登録(不要)
 これまでは、会社設立時に定款を企業登録管理局へ提出する必要がありましたが、提出の義務がなくなり、その後の財務省国庫管理局への登録も不要となりました。

 ウ)納税者番号(TIN)の取得(簡略化)
 これまでは、ERC が発行された後、納税者番号を別途取得する必要がありましたが、ERCの発行と同時に TIN も発行されるようになり、ERC の中の TIN が印字された状態で ERC が発行されるようになりました。

 エ)税務署による納税に関するオリエンテーション(不要)
 TIN取得後、VAT登録完了後に、納税に関するオリエンテーションを税務署にて受講することが義務付けられていましたが、こちらも不要となりました。

 オ)VAT システムへの登録(不要)
 TIN 取得後に、税務署にて VAT 登録を別途する必要がありましたが、不要となりました。

 カ)社印使用証明書の取得(簡略化)
 これまでは、社印発行後、社印登録証明書及び社印使用証明書をそれぞれ取得する必要がありましたが、社印登録証1枚に集約されています。

 キ)企業看板の内容承認取得(不要)
 会社設立後、情報文化観光局から企業看板の内容について許可を得て、企業看板を作成する必要がありましたが、許可を取得することなく、看板を作成することが可能となりました。

3.会社設立に必要な3つの手続きについて

会社設立に含まれる3つの手続きにかかる所要日数は、以下の通り、法律上明記されています。

1)ERCの取得:10営業日以内
(2019年1月29日付 企業登録に関する合意(No.0023))

2)社印の取得:5営業日以内
(2018年10月2日付 企業印の管理と発行に関する治安維持証大臣合意(No.1784))

3)社会保障基金への加入手続き:2営業日以内
(2019年3月23日付 改正社会保障法の実施に関するガイドライン(No.1206))

今後、政府の関連組織が、投資家に対して、上記2で記載した、不要となった手続きを強要するようなことがあった場合は、企業登録管理局に報告することで、各組織の上層部が、問題の解決を図ることが義務化されています。

以上

 

1 会社設立手続きとは、具体的には企業登録書(ERC)を取得するための申請手続きさし、事業許可証取得のための申請手続きは含まれません。