ミャンマーにおけるオンライン商標出願制度について
ミャンマーにおけるオンライン商標出願制度についてニュースレターを発行致しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
ミャンマーにおけるオンライン商標出願制度について
2020年9月7日
One Asia Lawyersミャンマー事務所
1 はじめに
過去のニュースレター[1]にて共有させて頂きました通り、2019年に知財4法が成立し、順次施行がなされております。2020年8月28日の商務省令第63/2020(以下「省令」という。)において、オンラインでの商標出願制度の開始日を2020年10月1日に設定することを発表しました。新しいオンライン出願システムは、ソフトオープンと本格適用の2段階に分けて実施されます。なお、本格適用の開始時期については、現時点では明確な日付は示されておりません。
2 ソフトオープンに関する概要
(1)申請可能な主体
ソフトオープンにおいて、申請ができる主体の要件[2]は次の通りです(省令第1条)。
・登記局に登録済み商標の権利者
・基準日[3]以前に商標を使用していたことを証明できる未登録商標の権利者
(2)申請期間
2020年10月1日から本格適用が開始される時期までとされています(省令第2条)。
(3)その他
ミャンマーは、ソフトオープン期間中に「使用者優先主義」から「出願者優先主義」へと移行します。ソフトオープン期間中に商標登録(再登録)を行った者には、優先権[4]が与えられる仕組みとなっております。優先権は、「(再)登録出願が正式に受理された日」(本格適用が開始される日付)から開始されると規定されています。(省令第2条及び第3条(c))
3 出願費用
出願手数料については、別途発表される予定になっております(省令第6条)。国際的な出願と同様に、クラス毎に個別の手数料が必要となる予定です。また、ソフトオープンの段階では、おそらくオンライン決済システム統合が複雑なため料金を支払うことができず、本格適用後に支払うことになるであろうと予想されます。その結果、新システムでの商標登録は、現行システムでの商標登録に比べて大幅に費用が生じる可能性があります。なお、一方で、過去の実務で求められていた新聞社に告示を掲載する費用を支払う必要はなくなります。
- 4 オンラインでの出願方法等
(1) オンラインによる出願(省令第3条(a)及び (b)項)
オンラインによる出願方法は次の通りです。
・法律事務所やサービスプロバイダのサービスを利用して行う方法、又は
・商標の権利者自身や代理申請可能な者が行う方法
(2) 出願の流れ
実務的な出願の流れは次のようになると思われます。
① オンライン上で申請書に必要事項を入力
② 商標画像ファイル、委任状(代理人選任)、旧商標登録証または使用証明書をアップロード
③ 入力済みの申請書を印刷
④ 申請書にサイン
⑤ 申請書をスキャンしてアップロード
⑥ 申請番号が記載された申請受領証をダウンロード
(3)出願に必要な情報や書類等
出願に必要となる主な情報や書類等については、以下の通りです(省令第7条及び商標法第17条を参考)。
詳細につきましては、必ず法令等でのご確認をお願い致します。
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登記局に商標登録済みの権利者 |
未登記商標の権利者 |
1 |
当該商標のデータ |
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2 |
使用色の詳細(ロゴに使用されている全色) |
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3 |
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当該商標が使用されている物品またはサービス(国際分類[5]によるもの) |
4 |
登記証書(登記局押印の証明書): PDFデータで良いと思われる。 |
当該商標がミャンマー国内で使用されていることの証拠(日付が入っていること) 例:新聞告知、新聞公告等 |
5 |
申請者が登記局に登記された権利者と同一でない場合、権利者や権利者名称等が変更されたことの証拠 |
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6 |
委任状(代理人任命書):PDFデータで良いと思われる。 |
以 上
[1] 2020年1月「ミャンマーにおける知財に関するアップデート」
[2] 商標法第93条(a)項に規定された権利者
[3] ソフトオープン期間中に商標登録を希望する既存登録をしていない商標の権利者にとっての基準日は、「商標法が施行された日」となります。この日は大統領通達により決定され、現在からソフトオープン開始日(2020年10月1日)までの間となります。
[4] 商標法第93条(b)項に規定された使用による優先権、省令第3条(c)にも記載あり。
[5] 商標法第17条(a)項v号
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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)