ラオスにおける土地法改正について

2020年08月31日(月)

ラオスにおける土地法の改正内容についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

ラオスの土地法の改正について

 

ラオスの土地法の改正について

2020 年8月31日

One Asia Lawyersラオス事務所

  • 1.背景

ラオスにおける土地法は1997年に成立していますが、その後、2003 年に一部改正されています。近年、外国企業によるラオスへの投資が増加する一方で、ラオス国内での紛争が増加しております。ラオス裁判所のデータによると、事件数は2017年23,690件から2018年26,809件に増加しております。その中でも、当社のラオス法弁護士によれば、不動産に関連する紛争が増加傾向であるとのコメントを得ております。特に、不動産開発事業者の開発プロジェクトが途中で頓挫する等で、不動産やコンドミニアム等の購入者に対する損害が生じるような事象が社会問題化しています。また、今回の改正においては、2020年5月に施行された民法典(特に所有権、地役権、地上権、担保権)と整合性を取ることも一つの改正の目的となっています。このような事情から、土地法の改正は喫緊の課題でありました。約6年の月日をかけて改正に取り組んでいましたが、ついに2019年6月21日に国会にて承認され、2020年8月12日に官報に掲載されました。官報掲載日(8月12日)から15日後に施行しています。

 

改正土地法は、全188条から構成されており、その半数以上が新規条文となっており、画期的な内容となっています。そのため、外国人投資家にも大きな影響が生じると考えておりますので、段階的にその内容を紹介して参りたいと思っています。但し、いくつかの改正内容については、意味が曖昧であったり、趣旨が不明確であるものも散見されます。そのため、当局に数度確認しておりますが、明確な回答が得られない点もありますので、当局の見解のフォローや具体的な手続き等についても今後時間をかけて調査して参りたいと考えています。

 

今回は、改正の中でも外国投資や外国企業に主に影響を与えうる外国人や外国法人による土地のリース規制、外国人の土地使用権の利用やコンドミニアムに関する規制等を中心に解説いたします。

 

  • 2.外国人の土地使用権について

下記(改正前)の表のとおり、旧法においては「外国人(※脚注を参照)」でも、いわゆる投資目的でラオスに住んでいる外国人は、他の「外国人」とは異なる土地のリース期間が設定されていました。今回の改正により、下記(改正前)の表の灰色の部分が削除され、全ての「外国人」が同じ条件に統一されています。また、2018年に投資奨励法が改正され、コンセッションの期間が99年から50年に短縮されたこともあり、その整合性を取るために、政府から土地をコンセッションして開発する経済特別区域の場合には、75年から50年に改正されています(第118条、第120条)。

 

<改正前>

賃貸人

賃借人

制限

ラオス政府

※削除

外国人居住者[1]もしくは無国籍者[2]、または、それらによる団体

30年を超えない範囲で、活動の方式・規模・条件に応じて設定可能

なお、政府の承認に基づいて延長可能

ラオス国民

※削除

20年を超えない範囲で設定可能

なお、当該土地を所轄する県または首都の役所の承認の下、契約者双方の合意に基づき延長が可能

ラオス政府

ラオス人民民主共和国内において投資を行う外国人

50年を超えない範囲で、活動やプロジェクトの方式・規模・条件に応じて設定可能

なお、政府との合意に基づいて延長が可能

ラオス国民

30年を超えない範囲で、活動やプロジェクトの方式・規模・条件に応じて設定可能

なお、県または首都の役所の申請によって、天然資源環境省土地管理局の承認が得られれば、契約者双方の合意に基づいて延長が可能

経済特定区域および経済特別区域

※削除

土地の賃借や免許権取得は75年を超えない範囲で設定可能

なお、国民議会の承認に基づいて延長が可能

 

<改正後>

賃貸人

賃借人

制限

ラオス政府

(土地コンセッションを含む)

 

外国人居住者、無国籍者、外国人[3]、外国籍のラオス人または、それらによる団体

50年を超えない範囲で、活動の方式・規模・条件に応じて設定可能。

なお、プロジェクト/活動の評価及び政府又は地方自治体の承認のもと、政府又は国民議会の合意に従い延長可能(120条)。

賃借者に対して政府土地権原書発行される(119条)。

 

ラオス国民

 

外国人居住者、無国籍者、外国人、外国籍のラオス人およびそれらによる団体

30年を超えない範囲で設定可能

なお、地方自治体、天然資源環境課の合意のもと、村役場および公証役場、土地を管轄する郡の天然資源環境事務所の認証を得れれば、賃貸期間を延長することが可能(117条)。

 

ラオス政府

各国の大使館や国際機関

 

99年を超えない範囲で、政府同士、ラオス政府と国際機関の合意に基づいて設定可能

なお、外務省からの要請に基づき、天然資源環境省及び関連する地方自治体との協議により延長可能(120条)。

 

  • 3.コンドミニアムに関する規定

ラオスにおいては、前述の通り、コンドミニアムの開発や建設等が続いていますが、今までコンドミニアム開発や区分所有権に関する規定は存在しておりませんでした。このたび、改正土地法第4条29項において、「コンドミニアム」の概念がラオスにおいて、はじめて定義されています。その定義は「事業者がコンドミニアム建設用地として政府に対象の土地を登録し、政府よりコンドミニアム建設許可が得られた複数の部屋を有する高層の建築物」とし、その登記及び購入に関して、下記のとおり定めております。

 

  • (1)コンドミニアム事業者の要件

 

コンドミニアムを建設しようとする国内外の個人又は法人の事業者(以下、「ディベロッパー」)は、以下の許可証を関連する省庁より取得する必要があると規定されています。

 

ア コンドミニアム業事業許可(許可取得元:計画投資省ワンストップサービス)

イ 建設許可(許可取得元:公共事業運輸局)

ウ コンドミニアム建設用地の土地の登録(許可取得元:県レベルの天然資源環境課)

 

上記以外については、その他周辺国でみられるようなエスクロー規制やコンドミニアム開発事業者に対する詳細かつ厳格な要件は確認できておりません。また、ウの建設用地の登録に関しては、県レベルの天然資源管理省は、申請書を受理後、10営業日以内に完了しなければならないと規定されています(第108条)。建設用地が政府の分譲地であったり、個人や法人からリースした土地である場合、登録上の名義は、賃貸人の保持する土地権原書の保有者の名義となるため、事業者やディベロッパーの名称では、登録できないため、留意が必要となっています(第108条)。

 

(2)コンドミニアムの土地の使用権及びユニットの所有権

 

今回の改正において、ラオスにおいてはじめて、いわゆる区分所有権に関する規定が第132条に定められております。ポイントとしては、コンドミニアムのユニット購入者がラオス国籍者である場合、コンドミニアムの土地面積に対するユニットの面積の割合に従って、分譲される土地の使用権(いわゆる、日本でいう敷地利用権)と契約に基づき購入したユニットの所有権を保有することができます。一方、外国人や外国法人が購入した場合、上記のいわゆる敷地利用権は、外国人に対して付与されないと規定されており、注意が必要です。つまり、敷地利用権を取得することができないため、コンドミニアムが滅失等した場合において、どのような処理となるのか等、別途検討が必要となります。また管理組合の設置等についても言及がないため、今後の細則の整備等の動向に注視が必要です。なお、コンドミニアムのユニット所有者は、天然資源環境課において、所有権の登録を行うことになりますが、また詳細な手続きについては明確に定められていない状態であり、今後フォローを行っていきたいと思います。

 

.      土地権原書の発行について

 

不動産へ投資する際に重要となる土地権原書については、今までは県レベルの土地管理局より発行されていましたが、今後は手続きの迅速化を図るため、土地が存在する場所により近い管理組織である郡レベルの天然資源環境事務所より発行されることになっております(第170条)。

また、コンピューター上で管理された国家土地データベースに一般市民がアクセスできるシステムを導入することが規定されており、導入が非常に楽しみであります(第91条)。

 

なお、投資家やディベロッパーが、旧土地法を準拠として土地に関する契約を政府と締結している場合、その契約期間が満了するまで、これまでの条件で契約を継続することができると規定されています(第188条)。

以 上

[1] ラオス国籍以外の国籍を保有し、ラオス国内に居を構えて長期的に滞在している外国人

[2] ラオス領土内に暮らしている国籍を持たない外国人

[3] ラオス国籍以外の国籍を保有し、ある任務のため、契約に基づき、もしくは期限付きで、一時的ないし長期的に滞在している外国人

 

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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)