バングラデシュの投資環境、外資規制、税制について
バングラデシュの投資環境、外資規制、税制についてニュースレターを発行しました。
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バングラデシュの投資環境、外資規制、税制について
2020年9月25日
One Asia Lawyers
南アジアプラクティスチーム
1.バングラデシュの投資環境
バングラデシュは、魅力的な国だ。空港に到着すると、群衆のように人が押し寄せる。空港を出立すると、交通渋滞ですぐに微動だにできなくなる。さすが、世界で一番人口密度が高い国だ。魅力はとにかくバングラデシュの人達で、意外と思われるかもしれないが、基本的に穏やかで優しい人達が多いと感じる。バングラデシュ独自の文化、アート、音楽等も独自なものが多く、均一化する世界で明らかにそこにしかない価値観や独自性を有している素晴らしい国だと思う。
バングラデシュは、ベンガル語で「ベンガル人の国」を意味する。著者と関係の深いメコン川のように大河ガンジス川を有し、豊富な水資源を基礎に、農作が活発で、黄金のベンガルと呼ばれた。現代では若年労働者と低廉な労働力を求め、多国籍製造関連事業者から熱視線を浴びており、今後のさらなる発展に期待だ。今回は、基礎編として、バングラデシュの概況、投資環境、投資規制や基礎的な税制について紹介する。
まず、バングラデシュの概要は下表の通り。
<バングラデシュの概要>
正式国名 |
バングラデシュ人民共和国 (the People’s Republic of Bangladesh) |
地理 |
バングラデシュの首都はダッカ(人口約 1,204 万人、2018/19年[1]) であり、西と北はインド、東はインドとミャンマーに接し、南はインド洋に面している 。面積 147,569k m2で日本の約 4 割の広さ、国土の約 9 割が低地であることから、雨季(6-10月頃)には、サイクロンにより国土の約 1/3 が冠水することがある[2]。 |
国土面積 |
約14万7000平方メートル(日本の約40%程度) |
首都 |
ダッカ |
人口 |
人口は1億6,365万人[3](2019年)であり、特徴として国土が狭く人口密度が高い 。 |
時差 |
日本とは-3時間の時差 |
民族 |
民族は、ベンガル人が約 98%、ミャンマーとの国境に仏教系少数民族が居住。 |
言語 |
公用語はベンガル語、ビジネス関係者は英語話者も多い。 15歳以上成人の識字率は73.91%とされている(2018年、UNESCO[4])。 |
宗教 |
同国の9 割近くがイスラム教徒、ヒンズー教徒が 1 割弱、少数の仏教徒とキリスト教徒が存在する。同国憲法においては、信教の自由が認められている。 |
通貨 |
通貨はタカ(taka)、補助通貨はパイサ。1 米ドル=84.5 タカ(2020 年 9 月 1 日現在、バングラデシュ中央銀行)。 なお、国家会計年度は毎年 7 月 1 日から翌年 6 月末まで 。 |
在留邦人 |
バングラデシュにおける在留邦人 946 人[5] となっている。 |
政治体制 |
バングラデシュは、1971年パキスタンから独立、その後20年に渡る軍事政権から1991年平和裏に民主化に移行、憲法改正により議員内閣制へ。以降、5 年ごとに総選挙が実施され、その都度、政権が交代 。2009 年 前野党のアワミ連盟が総選挙に大勝し政権奪還、ハシナ氏が首相に就任、アワミ連盟のジルル・ラーマン氏が大統領に就任。2013年ラーマン大統領が逝去した後、与党アワミ連盟アブドゥル・ハミド氏が大統領就任、現在に到っている(大統領は象徴的な存在で、政治実権はないとされる)。 国会は一院制で「Jatiya Sangsad」(国民議会)と呼ばれる。350 議席、任期 5 年、議員は小選挙区制選挙にて選出。国土は8つの管区に分かれているが、管区の下の県(2019年時点、56県[6])が実質的な行政主体となっている。 |
続いて、経済についてだが、下表の通り、着実にGDP自体は毎年10%近くが増加し、一人あたりGDPも年々着実に伸ばしている。今後、さらなる成長が期待される。
産業については、ニットをはじめとした衣類製造を主とする軽工業が輸出の主力であり、2020年1月時点の経済成長率は8.5%と順調に成長していたが、COVID-19等の影響により、主力の衣類輸出が18.2%減少、経済成長率は4.5%と下方修正されている状態である[7]。
<主要な経済指標[8]>
|
2014-15 |
2015-16 |
2016-17 |
2017-18 |
2018-19 |
名目GDP (Tk. In billion) |
15158.0 |
17382.6 |
19758.2 |
22504.8 |
25361.8 |
名目GDP (USD in billion) |
195.079 |
221.415 |
249.711 |
274.039 |
302.571 |
一人当たり実質GDP (Tk. ) |
96004 |
108378 |
122152 |
137518 |
153917 |
一人当たり実質GDP (USD) |
1,002.38 |
1,062.04 |
1,127.27 |
1,203.21 |
1,821.50 |
経済成長率 (%) |
6.55 |
7.11 |
7.28 |
7.86 |
8.13 |
インフレ率 (%) |
5.9 |
6.7 |
6.3 |
5.6 |
4.5 |
対USD為替レート |
77.80 |
78.40 |
80.59 |
83.75 |
84.50 |
また、産業についても製造業が最も多く24.21%を占め、次いで卸売業(13.88%)、運送業(10.98%)、農林業(10.11%)と続く。製造業の主力は衣類品(ニット含む)となっている。
<産業別GDP割合[9]>
|
2014-15 |
2015-16 |
2016-17 |
2017-18 |
2018-19 |
農林業 |
12.32 |
11.70 |
11.12 |
10.67 |
10.11 |
水産業 |
3.69 |
3.65 |
3.61 |
3.56 |
3.50 |
鉱業 |
1.68 |
1.77 |
1.80 |
1.78 |
1.77 |
製造業 |
20.16 |
21.01 |
21.74 |
22.85 |
24.21 |
エネルギー業 |
1.42 |
1.50 |
1.52 |
1.54 |
1.57 |
建設業 |
7.16 |
7.26 |
7.36 |
7.50 |
7.59 |
卸売業 |
14.08 |
13.99 |
14.01 |
13.95 |
13.88 |
ホテル・レストラン業 |
0.75 |
0.75 |
0.75 |
0.75 |
0.47 |
運送業 |
11.43 |
11.31 |
11.26 |
11.13 |
10.98 |
金融業 |
3.38 |
3.39 |
3.45 |
3.45 |
3.45 |
不動産業 |
6.81 |
6.64 |
6.49 |
6.31 |
6.13 |
行政・国防 |
3.49 |
3.63 |
3.70 |
3.71 |
3.65 |
2. バングラデシュの投資規制と外資規制
(1) 投資関連状況の概要
バングラデシュは、特に農業、衣料品・繊維製品、皮革・皮革製品、軽工業、エネルギー、情報通信技術(ICT)、インフラストラクチャー分野において、積極的に外国からの投資を求めている。政策上は、外国人投資家と自国民投資家に差別を行うことなく、法人税の減税や様々な投資優遇措置を提供している。産業別外国投資と出資上位国は下表の通り。
<産業別外国投資(2020年)[10]>
産業 |
金額(100万USD) |
割合 |
通信 |
81.24 |
14% |
建設 |
78.11 |
13% |
エネルギー業 |
67.14 |
12% |
縫製・衣料生産業 |
55.05 |
9% |
貿易業 |
46.62 |
8% |
食品生産業 |
45.8 |
8% |
金融 |
40.32 |
7% |
ガス石油 |
25.79 |
4% |
コンピュータソフト・IT |
19.94 |
3% |
皮革 |
10.42 |
2% |
化学薬品 |
10.41 |
2% |
その他 |
101.33 |
17% |
<出資上位国(2020年)[11]>
国名 |
出資額(100万USD) |
割合 |
イギリス |
117.8 |
20% |
中国(香港、台湾含む) |
73.9 |
13% |
ノルウェー |
68.93 |
12% |
インド |
53.04 |
9% |
UAE |
51.23 |
9% |
米国 |
49.94 |
9% |
シンガポール |
42.72 |
7% |
タイ |
37.64 |
6% |
韓国 |
22.04 |
4% |
マレーシア |
20.16 |
3% |
(2) 関係法令、監督省庁
バングラデシュで外国人が現地法人を設立し事業を行うためには、商業登記所での登録、及び、バングラデシュ投資開発庁(BIDA)(旧投資委員会)の審査・承認を得る必要がある。BIDAは外資企業の登録、登録企業への外国人労働許可の審査発行、駐在員事務所や支店の設立認可、海外からの資金調達の許可など、外資出資に関するサービスを担っており、2018年2月、バングラデシュ議会は「ワンストップサービス法案2018」を可決し、ビジネスや投資の登録プロセスのさらなる合理化と効率化を目指している。
(3) 投資可能業種、及び規制業種[12]
外国人はほとんどの種類の事業実施し、会社を設立し、所有し、運営し、持分を処分することができるが、以下4分野については政府による投資対象となっている。
<政府による投資対象分野>
政府投資対象分野 |
武器・国防関連機器 |
植林・国有地における機械的伐採 |
原子力エネルギーの製造 |
紙幣印刷、造幣 |
また、以下22分野については関係省庁の許認可を要すると規定されている。
<許認可を要する分野>
許認可を要する分野 |
深海部における漁業 |
銀行及び金融業 |
保険業 |
電気生産、供給業 |
天然ガス・石油採掘、精製及び供給業 |
石炭採掘、精製及び供給業 |
その他鉱物資源の採掘、精製及び供給業 |
大規模インフラ事業(例:高架道路、高架高速道路、モノレール、経済特区、内陸コンテナ倉庫及び物流倉庫) |
原油精製業(リサイクル、燃料として使用された石油の潤滑油としての再精製) |
天然ガスその他の鉱物資源を原材料として利用した中・大規模産業 |
通信サービス(携帯電話サービス及び固定電話) |
衛星チャンネル |
運輸・旅客運送業 |
海運業 |
海港・深海港業 |
VOIP・IP電話 |
海岸に堆積した重質鉱物を利用した産業 |
爆発物製造業 |
酸製造業 |
化学肥料製造業 |
産業汚泥および汚泥を原材料として利用する産業 |
砕石業 |
深海部における漁業 |
銀行及び金融業 |
保険業 |
電気生産、供給業 |
天然ガス・石油採掘、精製及び供給業 |
石炭採掘、精製及び供給業 |
その他鉱物資源の採掘、精製及び供給業 |
大規模インフラ事業(例:高架道路、高架高速道路、モノレール、経済特区、内陸コンテナ倉庫及び物流倉庫) |
原油精製業(リサイクル、燃料として使用された石油の潤滑油としての再精製) |
天然ガスその他の鉱物資源を原材料として利用した中・大規模産業 |
(4) 出資比率[13]
原則、外資100%での出資が可能である。但し、業種によっては、出資金額、出資比率についての規制がある。外国資本の合弁は民間部門、公共部門とも可能となっている。なお、一部物流関連業、保険業、人材派遣業等については、外資出資比率に関する制限があるので、留意が必要である。
(5) 外国企業の土地所有の可否[14]
外国企業でも会社登記すれば、土地所有権を所有できる。ただし、外国人個人の所有は不可。
土地を購入する際は、印紙税の納付、税や登記手数料等の必要な手続きを行った上で、手続きを行う必要がある。なお、輸出加工区(EPZ)の場合は、購入は不可能であるが、長期(30年間)使用権を取得可能である。
(6) 資本金に関する規制[15]
原則、金融業やその他特定の業種以外であれば、最低資本金の規制は存在しない。なお、金融業については、政府の特別許可が必要であり、次の資本金の最低額を設定しているので、留意が必要である。
- 銀行:40億タカ
- 一般保険:4億タカ
- 生命保険:3億タカ
- その他特殊保険:1,500万タカ
- その他の金融機関:10億タカ
(7) 投資奨励措置[16]
法人税免除、輸出加工区(EPZ)進出企業への主な優遇措置、その他主な優遇装置(輸出指向産業・輸出関連産業、 IT・ソフトウエア会社向け含む)など。
(i)法人税免除
2019年7月~2024年6月の間に、事業を開始する以下の特定産業については、法人税の減免措置が与えられる可能性がある。
<法人税免税措置対象特定業種>
法人税免除恩典のある特定業種 |
原薬、放射性医薬品 |
自動車製造業 |
避妊具、ゴムラテックス |
基礎化学製品、化学染料 |
基礎電子部品(例:抵抗、キャパシタ、トランジスタ、電子回路) |
自転車製造業(自転車部品も含む) |
天然肥料 |
バイオテクノロジーを利用した農産品 |
ボイラー(部品も含む) |
コンプレッサー(部品も含む) |
自動ハイブリッドホフマン・クリーン技術を採用したレンガ |
コンピューターのハードウェア |
家具製造業 |
家電機器(ブレンダ―、炊飯器、電子レンジ、電子オーブン、洗濯機、電磁調理器、水フィルターなど) |
殺虫剤、農薬 |
石油化学製品 |
医薬品 |
LEDテレビ |
革・革製品 |
携帯電話 |
プラスティックリサイクル業 |
バングラデシュ産の野菜、果物の加工 |
放射能利用産業 |
繊維機械 |
組織移植 |
玩具製造業 |
タイヤ製造業 |
政府官報による通知で指定される業種 |
インフラ事業 |
深海港 |
高架高速道路 |
輸出加工区 |
高架道路(フライオーバー) |
ガスパイプライン |
ハイテク・パーク |
情報通信技術ビレッジ、またはソフトウェアテクノロジーゾーン |
ITパーク |
大型水処理プラントおよび水供給パイプライン |
LNGターミナル |
携帯電話電波塔 |
モノレール |
都市圏高速鉄道 |
再生可能エネルギー |
港(海/河川) |
有料道路・橋 |
地下鉄 |
廃棄物処理プラント |
その他、政府官報による通知で指定されるインフラ施設 |
(ii) 製造業に対する減税措置
2019年7月~2024年6月までに、市外において製造を開始した工場については、製造開始後の10年間20%の税制恩典措置が受けられる可能性がある。同様に、2019年7月~2024年6月までに、市内から市外へ移管した工場は、10年間20%の税制恩典が受けられる可能性がある。なお、既存の市外の製造工場は、2019年6月まで10%の税制恩典が受けられる。
<民間電力会社に対する法人税減税措置>
期間 |
法人税減税率 |
設立当初の5年間 |
100% |
次の3年間 |
50% |
次の2年間 |
25% |
<経済特区(Bangladesh Economic Zones Authority:BEZA)およびハイテク・パークに対する減免措置>
BEZAおよびハイテク・パークデベロッパー会社は、次の減税が受けられる(S.R.O. No. 227-law/Income Tax/2015およびS.R.O. No. 229-law/Income Tax/2015、2015年7月8日発行)。
期間 |
法人税減税率 |
設立当初の10年間 |
100% |
11年目 |
70% |
12年目 |
30% |
BEZAおよびハイテクパーク内に設立した企業に対して、次の減税が受けられる(S.R.O. No. 226-law/Income Tax/2015およびS.R.O. No. 228-law/Income、2015年7月8日発行)。
期間 |
法人税減税率 |
設立当初の3年間 |
100% |
4年目 |
70% |
5年目 |
30% |
6年目 |
60% |
7年目 |
50% |
8年目 |
40% |
9年目 |
30% |
10年目 |
20% |
なお、既存ビジネスの再編もしくは分離分割による事業、既存ビジネスで設置された機械や設備の移設による事業は、これら減税措置の対象外となり、既存事業の拡張の場合も、これら減税措置の対象外となるので、留意が必要である。新規事業を別法人で行う場合には、免税措置を適用可能である。また、免税措置を受けた法人は、免税となった所得の30%以上を免税期間中に再投資しなければならない。
(iii) 輸出加工区(EPZ)
1980年12月の輸出加工区法(The Export Processing Zone Act、以下「EPZ」)により規定されている。現在、バングラデシュには8か所の輸出加工区(EPZ)があるが、首都ダッカおよび第2の都市チッタゴン周辺のEPZ5件は既に手狭な状態となっている。
EPZ内の工場で、2012年1月以降に登録した企業について、法人税の減税措置がある(期間及び減税率は地区によって異なる)。
その他、EPZ進出企業へは以下のような主な優遇措置がある。
- 建築資材、機械、設備、部品等の輸入関税免除
- 原材料の輸入関税および完成品の輸出関税免除
- 配当課税の免除
- 一般特恵関税制度が利用可能
- 機械および工場に対する加速度償却の許可
- ロイヤルティー、技術指導料、コンサルティング料の送金許可
- EU、カナダ、ノルウェー、オーストラリア等への割当無制限の免税措置
- 資本金、配当の本国への送金許可
- 海外からの外貨ローンの自動承認
- 非居住者外貨預金の許可 等
3. バングラデシュの税制
(1)法人税
バングラデシュの法人課税制度は次の通り、規定されている。
会社の性質 |
||
バングラデシュ法人 |
非公開会社 |
|
当該課税年度の利益または損失にかかわらず、税務年度のすべての源泉所得からの会社の総受取額に対して計算される最低課税 |
0.6〜2.0% (製造業については、最初の三年間は0.1%) |
|
配当所得(全法人共通) |
20% |
|
支店利益税 |
20% |
|
その他の特定企業 |
上場会社* |
25%(例外あり) |
たばこ製造会社 |
45% |
|
銀行・保険・金融会社(上場) |
37.5% |
|
銀行・保険・金融会社(非公開) |
40% |
|
マーチャントバンク |
37.5% |
|
携帯電話事業会社 |
45% |
|
特定SRO (自主規制団体) |
既製服輸出業 国際的なグリーンビルディング認証を受けた工場 |
12% 10% |
※タバコ、ビディ(インドタバコ)、ザルダ(刻みタバコ)等各種たばこ製品の製造事業から生じる収益に対しては、2.5%の課徴金が課せられる。
<キャピタルゲイン課税>
バングラデシュで事業を行っている企業は、資本資産の譲渡から生じるキャピタルゲインに対して15%を支払う義務がある
(2) 個人所得税
所得税を申告するよう特に規定されたすべての個人は、課税年度の終了(6月30日)後、11月30日までに、年次申告書を提出しなければならない。料率や居住者の定義は下表の通り。
(3)租税条約
外国人投資家は、二国間租税回避条約(以下、「租税条約」)に基づき、二重課税を回避することが可能である。バングラデシュ歳入庁は、バングラデシュにおける外資投資を促進するため、外国との二重課税協定の交渉を行う権限を有している。
バングラデシュが現在租税条約を締約している国は、日本(1991年2月、二重課税防止に関する二国間協定締結)のほか、ベルギー、カナダ、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、インド、イタリア、マレーシア、パキスタン、ポーランド、ルーマニア、シンガポール、韓国、スリランカ、スウェーデン、タイ、オランダ、英国、米国、ノルウェー、トルコ、フィリピン、ベトナム、インドネシア、スイス、モーリシャス、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ミャンマー、ベラルーシ、クウェート、バーレーンの34カ国となっている。
(4)税務申告(Tax Return)
税務申告とは、課税所得の申告書を所定の書式で税務副長官に提出するプロセスをいう。各所得税の納税者または申告を指定された者は、所得税申告書を、税務署または歳入庁ウェブサイト(www.nbr-bd.org)から無償で入手することができる。所得税額を計算した後、各申請者はPO(ペイメントオーダー)またはシャラン(主に南アジアで使用される銀行小切手)の形式で、その金額を国に預託し、署名・確認済みの申告書と必要書類を、該当する税務当局に提出する。
法人または個人は、所得年度終了翌日に税務申告書を提出しなければならない。提出期限は、税務副長官が2か月を限度として延長することができ、さらに当局の承認により、さらに2か月延長することが可能である。
法人の場合の課税日は、所得年度終了後7か月目の15日、または所得年度終了後の9月15日のいずれか早い日となる。個人の納税日は、所得年度終了後の11月30日となっている。
(5)付加価値税(VAT)[17]
2019年7月にVAT法改定。基本的に15%となっているが、一部例外が存在している。例えば、①衣類品の購入:5%、②スーパーでの購入:5%、③車庫および車修理業、造船所、輸送・運搬コンストラクター(石油製品以外):10%、④建設会社、家具の製造、信用格付:7.5%、⑤家具の流通、調達プロバイダー、輸送・運搬コントラクター(石油製品)、⑥入札商品購入、⑦IT対応サービス:5%等である。
年間売上3000万タカ以上の全ての事業者は、VAT登録を行い、定められた料率に基づきVATを支払う義務がある。年間売上3000万タカ以下の場合は、売上高の4%を売上税(Turnover Tax)として納税する。
なお、VATは毎月15日を基準として毎月納税を行う。VATの還付についても翌月15日までに申請を行うものとする。現在VAT納付申請は手作業で処理されているが、オンラインによるVAT申請プロジェクトが進んでおり、将来的にはオンライン申請が可能になると期待されている。
(6)輸入税
バングラデシュ国内の貨物の輸入に対しては、一般に関税、付加価値税、前払所得税等といった税金が課される。統一関税制度は、物品の輸入に対して輸入税を課すために用いられる。バングラデシュに輸入された製品のHSコードに基づき、関税率が決定される。
(7)嗜好税(Supplement Duty)
バングラデシュに輸入される高級品または非必需品に対して、10%から500%の追加関税が課される可能性がある。また、国内で生産され、供給される非必需品または社会的に望ましくない物品にも、5%から65%の範囲の追加税が課される可能性がある。
[1] ジェトロ ダッカ事務所 ウェブサイト(https://www.jetro.go.jp/world/asia/bd/basic_01.html)
[2] 同上
[3] 世界銀行ウェブサイト (https://data.worldbank.org/country/bangladesh?view=chart)
[4] UNESCO (http://uis.unesco.org/en/country/bd)
[5] 海外在留邦人数調査統計(令和元年版)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000043.html)
[6] バングラデシュ統計局 (http://www.bbs.gov.bd/site/page/2888a55d-d686-4736-bad0-54b70462afda/-)
[7] 米国務省投資レポート2019 (https://www.state.gov/report/custom/d67ebeb418/)及び ジェトロ ダッカ事務所 ウェブサイト(https://www.jetro.go.jp/world/asia/bd/)
[8] バングラデシュ財務省 Bangladesh Economic Review 2019(https://mof.portal.gov.bd/sites/default/files/files/mof.portal.gov.bd/page/f2d8fabb_29c1_423a_9d37_cdb500260002/D.%20Appendices%20%28English-2019%29.pdf)
USDデータは世界銀行データベース(https://data.worldbank.org/country/bangladesh?view=chart)
為替レートはバングラデシュ銀行データベースより 各年6月末日の基準レート(https://www.bb.org.bd/econdata/exchangerate.php)
[9] バングラデシュ財務省 Bangladesh Economic Review 2019 より
[10] バングラデシュ銀行データ (https://www.bb.org.bd/econdata/fdi.pdf)
[11] バングラデシュ銀行データ (https://www.bb.org.bd/econdata/fdi.pdf)
[12] ジェトロ ダッカ事務所 ウェブサイト(https://www.jetro.go.jp/world/asia/bd/invest_02.html)
[13] ジェトロ ダッカ事務所 ウェブサイト (https://www.jetro.go.jp/world/asia/bd/invest_02.html)
[14] ジェトロ ダッカ事務所 ウェブサイト (https://www.jetro.go.jp/world/asia/bd/invest_02.html)
[15] 同上
[16] ジェトロ ダッカ事務所 ウェブサイト (https://www.jetro.go.jp/world/asia/bd/invest_03.html)
[17] ジェトロ ダッカ事務所ウェブサイト ( https://www.jetro.go.jp/world/asia/bd/invest_04.html) 及びバングラデシュ歳入庁 (http://nbr.gov.bd/regulations/acts/vat-acts/eng)
以 上
本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)