ラオスにおける担保制度について
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ラオスにおける担保制度について
2020 年9月23日
One Asia Lawyers ラオス事務所
1.担保権を規定する法令
ラオスにおける担保権については、契約履行担保法に規定されています。2020年5月に新民法典(以下、民法)が施行され、一部の条項は民法の中に集約されました。但し、一部契約履行担保法の効果が継続していると思われる箇所もありますが、今回は、新民法に基づいたラオスの担保制度について解説いたします。
2. 物的担保制度について
民法第521条によれば、①動産に対する担保、②不動産に担保、③権利に対する担保が法定されており、動産、不動産や特定の権利について、担保設定が可能となっています。
<担保設定可能な動産、不動産、権利一覧表>
対象物 |
内容 |
登記の要否 |
動産 |
・貴重品 ・機械 ・乗用車 ・倉庫にある商品又は生産に使用する原材料 ・農作物 ・消費財 ・契約当事者が合意するその他の動産等 |
財務関連機関で登録 |
不動産 |
・個人、法人又は組織の土地使用権 ・(コンドミニアム/アパート)のユニット所有権、構造物、例えば、家、ビル、建物など ・関連する法律または契約の定めに基づく、賃貸借契約または土地コンセッション契約上の財産 |
郡の天然資源環境事務所にて登録 |
権利 |
・売掛債権 ・譲渡性のある金融証券 ・銀行預金 ・知的財産権 ・契約当事者が合意するその他の権利 |
特に定めなし |
担保設定契約は、必ず書面である必要があり、主たる契約書に含めることも、別途担保契約を作成してもよいと定められています。また、対象契約は、公証役人又は村長から認証を受け、かつ、証人の署名が必要となる点に留意が必要です(民法第557 条)。契約履行担保法では、少なくても3名の証人の署名が必要と規定されていましたが、民法では、証人の人数についての規定は削除されています。
なお、不動産担保は、土地が存在する郡に所在する天然資源環境事務所での登記、動産に対する担保は財務関連機関で登録が必要となります(民法第562条)。
また、担保契約は、関連する機関にて登記したのちに正式に有効となります(契約履行担保法第31条)。担保を有する債権者は、担保を有さない他の債権者、又は、その物に関して自己より後に担保を有した債権者に先んじて、優先的に弁済を受けることができると規定されています(民法第524条)。
3.人的担保制度について
民法第 558 条によれば、保証契約は、合意に従い保証人の責任の範囲等設定可能と規定されています。但し、保証人は元本のみを返済する義務を負っています。民法第559条では、保証人を複数設定する共同保証制度が定められておます。連帯保証に関しては、内容を確認する限り、タイやカンボジアで設定されているような特殊な制限や規制(タイは個人の場合、そもそも連帯保証が無効、カンボジアの場合、連帯保証人に連帯保証額を手書きで記載させないと無効等)は特になく、自由に設定可能と解釈できます。
以 上
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