ラオスにおける模造品対策について

2020年10月12日(月)

ラオスにおける模造品対策についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

ラオスの模造品対策について

 

ラオスにおける模造品対策について

2020 年10月9日

One Asia Lawyers ラオス事務所

ラオスは、自国生産可能な物品等が少なく、日用品をはじめ、食品、電気機器、バイク、車、建設資材等に至るまで、多くの商品が隣国のタイ、ベトナム、中国などから輸入されている状態です。特に、模造品であっても、廉価なため購入することに抵抗を感じる人は少ないといった状態です。他方、数年前において、ラオスにおいて大手企業の飲料メーカーの模造品がラオス国内に出回り、模倣品を取り扱う業者に対して、知的財産権の侵害に基づき刑罰が科せられた事例も出てきております。

こうした知的財産分野の法整備がさらに進めば、日系企業のラオスでの事業展開や事業進出も容易になるのではないかと感じます。

ラオスにおいて、知的財産権を監督する科学技術省知的財産局が主催する知的財産フェアーでは、模造品と本物の判別の仕方など紹介することで、消費者に啓蒙活動を行うなど「経済社会を持続的に発展させるために、まずは知的財産について知るところから始めよう!」と呼びかけています。今回は、企業の知的財産権が侵害されたときの対応について、法的な視点から基本的な情報を共有致します。

 

1.模造品防止に関する法律は?

 

模造品の流通禁止に関する法令は、次のような法律が存在しております。

(1)2010年6月30日付 消費者保護法(第02号/国会)

※商工業省の消費者保護に対する責任や消費者保護の観点から商工業省の権能について規定しています。

(2)2017年5月17日付 刑法典(第26号/国会)

※知的財産権に関連して他人に損害を与えた者に対する禁固刑/罰金刑等が明示されております。

※模倣品等を製造、販売した者に対する禁固刑/罰金刑等が明示されております。

(3)2017年11月15日付 知的財産法(第38号/国会)

※商標権を侵害する商品を販売し、広告又は輸入または輸出する行為を規制しています。

(4)2018年12月6日付 民法典(第55号/国会)

※不法行為に関する一般規定が規定されています。

 

2.模造品の被害に遭った場合の救済措置の方法は?

 

ラオスにおける模倣品対策の対応については、調停的措置、行政的措置と法的措置の三つの方法が存在しております。ラオスの実務においては、まずは調停的な措置をまずは取った上で改善されない場合に行政措置を取り、それでも解決しない場合に法的措置を取るといったことが一般的です。

 

 

調停的措置

行政的

実施内容

模造品販売者と直接面談、和解交渉行う

実施当局が迅速に模造品を押収

実施機関

・MOIC(郡レベル)

・村役場(村長)

・科学技術省知的財産局(IPD)

・治安維持省

メリット

・実施が容易

・低コスト

・特別対策チームが編成される

(警察、財務省などがメンバー)

デメリット

・一時的な措置となり、一定の期間が過ぎると模造品に関する被害が繰り返される傾向にある

・組織構築に1か月から3か月程度の時間が生ずる

・高コスト

 

 3.調停的措置と実施行政機関

 

調停的措置については、①村役場による調停、②商工業省による調停、指導があります。①については、村長に要請書を提出し、村長を調停人として、村役場で当事者による交渉の場を設けることができます。しかしながら、実際には、模造品販売業者は、警告書を無視して、村長が招集する会議に参加しないことが多くあります。また、②商工業省(MOIC)による調停や指導は、MOIC内の国内貿易局に通知することになります。彼らの機能は、消費者を模造品被害から保護することが主な役割となりますので、違反業者に対する指導等により模造品の販売を停止させることができることがあります。

 

4行政的措置/法的措置と実施行政機関

 

知的財産法に基づき、科学技術省知的財産局が監督行政機関となり、科学技術大臣の特命決定に従い、治安維持省(警察)、財務省、および関連する当局をメンバーとした、特別な対策チームが編成されます。同チームは、警察もメンバーに入っているため、模造品を直ちに差押え、場合によっては現行犯逮捕も可能です。このような措置をとることで、ほかの模造品販売店への警告となる効果がありますが、チームの組織化にかかる費用はすべて、依頼者が負担する必要がありますので、相当の費用と時間がかかるため、実際に利用されるケースは多くありません。

 

また、知的財産法に基づき、民事訴訟と刑事訴訟の両方を行うことができます。実務上は、刑事事件として警察の捜査を受けると同時に、不法行為法に基づく民事事件として損害賠償を請求することが一般的です。なお、上記3または4の措置を経ていない場合、裁判所自体を受理しないことが多いため、留意が必要です。また、原告が警察に被害届を提出する等の刑事告訴も可能ですが、過去の経験上、相当の時間を要します。

 

 5.その他(税関による水際措置)

その他知的財産法に基づき、模造品を輸入販売している会社に対して、明確な証拠がある場合、税関が模造品の輸入を一時的に差し止めることが可能となっています。過去、何件か水際措置に関する判例が存在しております。

以 上

 

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