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海外インフラプロジェクトの法的留意点について -アジア新興国のPPP制度-

2020年10月16日(金)

海外インフラプロジェクトの法的留意点(アジア新興国のPPP制度)について記事をアップデート致します。

アジア新興国のPPP制度

 

 

海外インフラプロジェクトの法的留意点について

アジア新興国のPPP制度

2020 年10月16日

One Asia Lawyers

インフラ輸出リーガルプラクティスチーム

      • 1.執筆の背景

      前回の記事「海外インフラプロジェクトの法的留意点-アジア新興国編-」[1]にて述べた通り、全世界において、巨大なインフラニーズが存在している。世界銀行のPrivate Participation in Infrastructure (PPI) Databaseによれば[2]、2005年頃からPublic Private Partnership(以下、「PPP」)が増加しており、特に、東南アジア、南アジア、中央アジアにおける案件が活発となっている。また、当Databaseによれば、鉄道、空港、港湾等のセクターと比較して、道路セクターが伸びており、日系企業もグリーンフィールド型、ブラウンフィールド型、運営維持管理業務型を問わず、案件数を増やしている。

      ただし、アジア新興国の傾向として、財政基盤が脆弱であり、慢性的な財政赤字と対外債務が膨張している。また予算制度が十分に機能していなかったり、行政当局の縦割行政が著しく政府内での見解が異なったりするようなケースが散見される。加えて、それらの地域においてCovid-19の影響は不可避であり、現在、当事務所で対応しているプロジェクトをみても、多くのプロジェクトの事前調査、入札手続き、契約交渉等が長期化したり、政府保証や不可抗力条項、政府補償条約等について一部契約の見直しが生じるような事態も生じており、契約交渉や締結に向けて困難な問題に直面しているという側面もある。

      上記の通り、①外資を含めた民間による資金投下が必須であること、②脆弱な制度上の問題が生じていることを鑑み、特にアジア新興国においては、外資を活用したPPPによるインフラ整備投資への期待から、制度整備が急激に進んでいる。上記で述べたリスクとバランスを取りながら、今後、さらに成長可能性が高いPPP分野における事業展開の可能性を踏まえて、今回はアジア各地のPPP法制について比較し、特に重要な10か国の法規制について解説する。

      • 2.アジア各国におけるPPP法制

      1)総論

      前提として、PPPの法的な枠組みとしては、英米法(Common Law)体系か、大陸法(Civil Law)体系かによって、傾向が若干異なる側面がある。英米法体系の国家においては、当事者の一部が政府であったとしても、当事者意思を重視し、そもそも個別具体的な特定のPPP法が存在しない国もある。他方、大陸法系の多くの国々においては、PPP法が制定、または制定準備がなされており、入札手続等のプロセス、官民の権利義務、政府の役割、PPP契約記載事項や紛争時の処理方法等について、個別具体的に規律されている。とはいえ、下表の通り、英米法系の国であっても、最近の傾向としては、詳細なPPP関連法令を整備する国が多くなってきており、各国によってPPP関連法の整備状況は大きく異るといえる。

      なお、その他PPP法の存否に関わらず、公共調達法(Procurement Law、公共調達の方法やプロセス等を規律する方法)、公共財政管理法(Public Financial Management Law、プロジェクト認可基準、予算取得プロセス、財政上の制限事項等を規律する法律)等に加えて、前回の記事で紹介したような外資企業に対する投資規制、土地取得規制、税法、外国人労働規制等が問題となる。

      <東南アジア、南アジアのPPP法の一覧>

      国名

      法令の有無

      特徴

      タイ

      あり

      2019年3月11日施行

      十分に整備されている。内閣承認が必要となり、手続きが厳格

      ベトナム

      あり

       

      2020年にPPP法が国会で遂に可決

      2021年1月1日施行予定となっている

      カンボジア

      なし

      現在、経済財政相が草案を作成中。2021年中の制定を目標としている。

      ラオス

      なし

      PPP法草案

      現在、ラオス計画投資省が草案を公開している。2021年に制定される可能性あり

      ミャンマー

      なし

      PPP法は特に整備されておらず、個別法により対応

      シンガポール

      あり

      PPPガイドブック

      PPPガイドブックにおいて、政策方針と手続等の詳細が規定されている

       

      マレーシア

      あり

      2009年PPPガイドライン

      PPPガイドラインにおいて、PPPに適したプロジェクトの種類、入札を手続きや適格基準、運営モデル、プロジェクト承認のプロセスフローが明確化されている

      フィリピン

      あり

      1994年BOT法施行

      関連細則等十分に整備されている

      インドネシア

      あり

      2015年大統領令38号施行

      複数の法令が存在。

      改定が多く、複雑化している

       

      インド

      あり

      PPP法は存在しないが、PPPガイドライン等が整備されている

      財務省が基本政策を策定、各種ガイドラインやマニュアルを整備されているが、州毎にルールが異なるので、留意が必要

      バングラデシュ

      あり

      2015年PPP法

      2015年にPPP法が施行。PPP事務局が一括してガイドライン等を整備している。

       

      スリランカ

      あり

      PPPガイドライン

      2016年に財務省内に、PPPユニットが設置され、PPPに関する取り組みを促進、調整機能が存在

       

      ネパール

      あり

      2015年PPPガイドライン

      PPP法草案が公開

      2015年のPPPポリシーとガイドラインによって、入札手続きやPPP契約の内容が明確化された

       

      パキスタン

      あり

      2010年PPPガイドライン

      州レベルでPPP規則が存在

      財務省傘下のインフラプロジェクトユニット内に、中央PPP関連部署が存在。入札手順等について監督している。その他州レベルで、PPPユニットが設置された

       

      アフガニスタン

      あり

      2016年PPP法

      2016年にPPP法が成立。財務省にPPPユニットがあり、ガイドラインの作成、プロジェクト評価等を実施

      2)タイにおけるPPP法制

      ア 背景、状況

      周辺国と比較しても、タイは先行して、PPP法制を整備し、同法の法的枠組みに従ってプロジェクトを推進している。一般的にPPPスキームが浸透しているといえ、PPP法制定までは、インフラ投資は政府主導で行われてきたが、インフラ投資額は政府予算を越えており、さらに民間インフラ投資を呼び込む必要がある。タイにおいては、入札情報等が適切に公開されており、具体的には、国家経済社会開発委員会が準備するインフラ社会開発マスタープランにおいて、プロジェクトの目的、期限、想定総投資額等について記載されているが、それがPPP委員会で承認されると、民間事業者に公開される仕組みとなっており、適切かつ着実に実施がなされている。下記の通り、基本法やガイドライン等も比較的整備されており、事業参入において得に問題ないが、タイ国内企業の技術力等も年々向上しており、外資企業に関しては価格競争力の部分で劣勢に立たされることが多いといわれている。

      イ 法制度の概要

      タイにおいては、1992年にPPPに関する法律が成立しているが、その後、2013年の改正を経て、2019年3月10日に改正PPP法が成立し、11日から施行している。PPPの適用対象事業は、道路、鉄道、空港輸送、港湾、上下水道、エネルギー事業、病院、教育等の12項目が指定されており、いずれかに該当するインフラや公共サービスに関するPPPプロジェクトと定義されている。また、これらのプロジェクトに関して、50億バーツ以上の事業規模とする必要がある。なお、事業規模が未達であったとしても、PPP委員会が許可する場合は、例外として認められる可能性がある。

      PPPプロジェクト推進のためには、プロジェクトの具体的な内容を確定し、PPP法に従って、当局から承認を得る必要がある。プロジェクトを実施する政府機関は、コンサルタントを起用し、プロジェクトの調査報告書を作成し、所轄省庁の大臣に提出し、承認を得る必要がある。その上で、PPP委員会での承認と内閣からの承認を得る必要がある。なお、各審査期間については、PPP委員会が定める期間となっており、明確な期間規定は存在しない。

      その後、政府機関は事業者選定委員会を設置し、当委員会は、入札、選定、契約交渉、契約締結等の役割を負う。選定については、PPP法に従い、原則的に入札によって行われる(政府機関や内閣の承認がある場合は、その限りではない。)。選定業者との交渉が終了すると15日以内に、PPP契約ドラフトは検察庁に送付され、45日以内に審査を完了する必要があると規定されている。その後、所轄大臣に提出され、30日以内に審査を完了し、内閣にて審議される流れとなっている。

      以上が簡単なPPP法上の流れとなるが、タイにおいては内閣承認が必要となるため、比較的厳格な審査手続きが取られていると評価できる。

      3)ベトナムにおけるPPP法制

      ア 背景、状況

      ベトナムのインフラプロジェクトは、主に政府予算によって行われており、そのため国債や地方債が発行されているが、必要投資額の半分程度であり、民間資金の導入が必須の状態である。また、対外債務比率も上昇しており、政府の意向として、今後さらにPPPプロジェクトを活発化させる可能性が高い。ただし、社会主義国ということもあり、どこまで民間(特に外資)に開放されるか、また運用について適切な対応がなされるかについて動向を注視する必要がある。なお、ベトナム計画投資省において、PPP関連情報が定期的に公開されている[3]

      イ 法制度の概要

      ベトナムの法制度上で「PPP」という文言が登場するのは今から10年前の2010年のことであり、当時はあくまで試験的なPPPプロジェクトに対して試験的に適用する規則という位置づけであった[4]。その後、2015年に政令化され、2018年に政令が全面改正されるなどして少しずつ法令の内容拡充が図られ、2020年6月18日にPPP法が可決され、2021年1月1日から施行予定となっている。今後さらにPPPプロジェクトに対する透明性の向上、不確実性の低減化が図られることが期待される。

      今回の主な改正点としては、投資対象が大きく統一的に整理されており、交通運輸、送電・発電、上下水道、ITインフラ等の規定のみとなっており、対象分野が限定されたといえる。また、契約類型としてBuild Transfer方式が削除されたこと、事業収益について、BOT、BTO、BOO方式のPPP事業収益が契約で定めた計画の75%を下回った場合、減収分の半分を政府が負担する保証制度(他方、PPP事業収益が計画の125%を上回った場合は、増益分を政府と投資家で折半する)が盛り込まれたこと、PPPプロジェクト契約は必ずベトナム法に準拠することなどが挙げられる。主な政令63号と新PPP法の相違は、下表の通りである。

       

      【PPP関連法令の概要比較】

       

      2018年政令

      63/2018/ND-CP)

      2020年PPP法

      制定年

      施行年

      2018年5月4日

      2018年6月19日

      2020年6月18日

      2021年1月1日

      「PPP方式の投資」の定義

      インフラ施設の建設、改造、運営、経営、管理、公共サービスを提供するために、所管国家機関、投資家、プロジェクト企業とで交わされるプロジェクト契約に基づき実現される投資形式

      (第3条1項)

      PPPプロジェクトへの民間投資家の参加を誘致することを目的に、国家と民間投資家のあいだで締結し、履行するPPPプロジェクト契約を通じた有期の協力に基づき実行される投資形式(第3条10項)

      対象

      a)交通運輸

      b)発電所、送電線

      c)公共照明システム、上水道システム、排水システム、下水・廃棄物の回収・処理システム、公園、自動車・車両・機械設備の駐車場・置き場、墓地

      d)国家機関庁舎、公務用住宅、社会住宅、再定住住宅

      đ)医療、教育・育成・職業訓練、文化、スポーツ、観光、科学技術・水文・気象、IT応用

      e) 商業インフラ、都市区・経済区・工業団地・産業クラスター・集中IT区インフラ、ハイテクインフラ、インキュベーション施設、技術施設、中小企業を支援するコワーキングエリア

      g) 農業・農村開発、農業商品の加工・消費を伴う生産連携開発サービス

      h) 首相が決定するその他分野

      (第4条)

      a)交通運輸

      b)送電網・発電所(水力発電所、電力法に基づき国が独占するケースを除く)

      c)利水、上水道、下水道、下水処理、廃棄物処理

      d)医療、教育・訓練

      đ)ITインフラ

      (第4条1項)

      PPP事業として認められる投資額

      規定無し

      (公共投資法の規定に基づき、国家重要、A、B、Cグループ分類)

      2,000億VND以上             (医療、教育・訓練は1,000億VND以上)

      (第4条2項a,b)

       

      国の参加比率

      規定無し

      インフラ整備・土地収用での国の資金拠出:総投資額の50%

      (第69条1項、2項)

      投資優遇

      投資家、プロジェクト企業:法人税優遇

      プロジェクト用の輸入品:関税優遇

      投資家、プロジェクト企業:土地使用料/賃貸料の減免

      投資家、プロジェクト企業:その他法定の優遇(第59条)

      投資家、プロジェクト企業:土地使用料、土地賃貸等に関する優遇、および税や土地、投資、その他関連法で定めるその他の優遇

      (第79条)

       

       

       

      4)カンボジアにおけるPPP法制

       

      ア 背景、状況 

      カンボジアにおけるPPP事業は、1990年代から存在し、発電所・空港の設立など相当数の実例が存在している。もっとも、政府の体制、法制度ともに未整備な状態であり、案件ごとにアドホックに、政府と民間のリスク分担なども曖昧なままなされており、投資リスクが高い状況であった。現に、特定の理由なく政府により中途で終了するプロジェクトもあり、PPP投資の障害となっていた。カンボジア政府としてもかかる問題点を認識しており、状況を改善するため、2016年にPPP制度の整備のためのPPPポリシーを策定するとともに、PPPについての包括的な意思決定機関として経済財務省(MEF)主催の省庁横断議会(IMC)を設立した。そして、2017年に、IMCの事務局としてMEFにCentral PPP Unit (CPU)を設置した。さらに現在、MEF主導のもと、PPP法の草案作成が進んでおり、2021年中の制定を予定しているとのことである。また、PPPプロジェクトの手続・手順・要件、各機関の責任や意思決定機関などの詳細を定める標準手順書(SOP)を作成しており、PPP法の制定後速やかに政令として公布することを予定している。

      イ 法制度の概要

      カンボジアにおいて、従来、部分的には2007年コンセッション法や1994年投資法などを適用し、法令が存在しない事項については個別の調整・交渉などにより決定がされてきた。上記で述べたPPP法およびこれに基づく政令による投資の条件や手続き、政府と民間のリスク分担などの透明化・公平化が待たれる。

      5)ラオスにおけるPPP法制

      ア 背景、状況

      ラオスは、これまで国の基盤となる各種インフラの整備を国家予算と外国からの資金援助に頼ってきており、2016年から2020年までの第8次国家社会経済開発5か年計画[5]では、強い経済基盤と経済的脆弱性の低減を成果の一つとして掲げており、ハード・ソフト面両方の実現のため、PPPに期待する声が高まっている。ただ、ラオスにおいては、PPP事業は、多様なリスクが伴うにも関わらず、法制度が未整備な状態で実施されており、民間事業者が政府や各省庁と直接交渉し、個別の契約を締結するような流れとなっている。その事業分野としては主に、水力発電、国道開発整備、空港開発整備等があげられるが、投資の形態としては、外国企業が政府と合弁会社をラオス現地に設立し、政府から土地使用権や事業運営権等の権利を取得して実施する形態が主流となっている。

      イ 法制度の概要

      ラオスにおけるPPPに関する法令としては、2017年4月に施行した改正投資奨励法があり、PPP事業を投資の一形態として定め、そして、PPPをコンセッション事業の分野の一つとしても位置づけている。

      2016年の施行を目標として、2015年頃からPPP法の草案の作成が始まっており、2020年7月の現時点において、まだ草案は完成しておらず、計画投資省のウェブサイトに掲載されているPPP法の草案は、アジア開発銀行の協力のもと作成されたもので、2019年7月を最後にアップデートされていない状態である。同草案は、全体で80条から構成されており、PPP事業方式、入札手続、PPP契約書の内容や締結手続き等に関する規定も盛り込まれており、同草案の内容を踏まると、いかなる分野も統一ルールの下、プロジェクトを行えることが大きなポイントといえる。同法では、PPPの定義、PPPの事業形態、PPPの方式、PPP入札の流れ(下表)等が規定されている。

       

      <PPPプロジェクトの初期提案書の提出から入札までの流れ(草案)>

      手続き

      責任者

      初期提案書の作成・提出

      実施政府機関

      初期提案書の検討 (20日以内)

      官民連携推進委員会(計画投資省)

      発案書の作成・提出(政府開発計画以外の新規   プロジェクトの場合(先端技術の導入など))

      民間セクター

      発案書の検討(15日以内)

      官民連携推進委員会(計画投資省)

      FS及び環境影響評価報告書の作成・提出

      実施政府機関または民間セクター

      FS及び環境影響評価報告書の検討(90日以内) および承認

      官民連携推進委員会(計画投資省)

      (国民議会等の承認必要)

      FS及び環境影響評価報告書の修正(60日以内)

      実施政府機関または民間セクター

      入札要項等の書類準備(上記FS等承認後3日以内)

      実施政府機関及び官民連携推進委員会

      入札管理委員会の選定

      財務局、実施政府機関、技術面のシニアアドバイザー、官民連携推進員会から構成

      6)ミャンマーにおけるPPP法制

      ア 背景、状況

      近年、ミャンマーにおいて日系企業からはODAのみならず、PPPプロジェクトの実施について多く相談を受けており、著者の感覚として、日系企業のミャンマーでのインフラプロジェクトに関する関心は極めて高い。しかしながら、PPP法制度等の整備は進んでおらず、過去監督機関との交渉や方針転換によりリスクが顕在化したようなケースがあり、特にリスクマネジメントについて十分に考慮する必要がある。そのような状況でも、近年、道路分野等では、民間企業へのBOTプロジェクト等が行われており、徐々にPPPプロジェクトの実績が生じている。また、ミャンマー計画財務省において、PPPプロジェクトを管轄する部署が組成されており、今後のPPP法制度整備や組織体制の拡充が期待される。

      イ 法制度の概要

      ミャンマーにおいては、統一的なPPP法は整備されておらず、公共調達法等の個別法により処理される状態である。計画財務省に照会した限りでは、特段PPP法の整備に対する具体的な動きはないようであるが、民間投資によるインフラ整備、投資については、監督当局内部でも関心が高まっているとのことである。

      7)フィリピンにおけるPPP法制

      ア 背景、状況

      フィリピンでは、1990年にBOT法(後述)が成立する以前の1989年に、同国では初めてとなるBOT(Build-Operate-Transfer)契約がNational Power CorporationおよびHopewell Energy Management Ltd社との間で締結され、ナボタスにおける発電所の建設・操業に関する官民連携プロジェクトが実施された。このように、フィリピンは、PPP分野においてはASEAN諸国では比較的に先行した動きを見せており、インフラ整備は重要な国家課題として位置付けられてきた。しかし、今日におけるフィリピンのインフラ整備状況は世界的に見ても低水準にあり[6]、インフラの未整備が問題点として長く指摘されている。そのような状況下、2016年6月に就任したロドリゴ・ドゥテルテ大統領はインフラ向け支出を拡大し、「ビルド・ビルド・ビルド」と呼ばれる大規模なインフラ整備計画[7]を推し進めることで、投資環境の整備や雇用創出、国民所得の向上など一層の経済成長の実現を目指している。PPCセンターによる公表では、2010年以降のPPP件数は41件となっている(2019年4月30日時点)[8]

      イ 法制度の概要

      フィリピンでは、1990年にASEAN諸国では初めてとなる民活インフラ事業の法的枠組みを定めた共和国法6957号BOT法(Build-Operate and Transfer Law, Republic Act No.6957。1994年に共和国法7718号により一部改正された。以下、「改正BOT法」)および同法の実施細則(Implementing Rules and Regulations of R.A. No. 6957 as amended by R.A. No. 7718。以下、「改正BOT法実施細則」といい、改正BOT法とあわせて「改正BOT法等」)が整備されている。また、改正BOT法等を補完するガイドラインとして、国家経済開発庁(National Economic and Development Agency:NEDA)の傘下にあるPPPセンター(PPP Center)より、国家事業マニュアル(PPP Manual for NGAs)、地方事業マニュアル(PPP Manual for LGUs)、セクター毎のガイドライン等が公表されており、また、NEDOからもPPP事業に関するガイドブックが多く発行されている。PPPを主管する政府組織はNEDO傘下にあるPPPセンターであり、PPPセンターは、プロジェクト案件の発掘、実施、管理・モニタリング、地方政府組織を含むプロジェクト実施主体の能力開発・工場など、広くPPPを推進する役割を担っている。

      PPP入札手続については、政府調達改革法(Government Procurement Act, Republic Act No. 9184)が政府機関による物品・サービスの入札プロセスに関するルールを定めている。その他、通行権取得法(Right of Way Acquisition Act, Republic Act No.10572)、下級裁判所による仮処分命令の発行を禁止することで政府インフラプロジェクトの実施・完了を迅速化する法律(Expeditious Implementation and Completion of Government Infrastructure Projects by Prohibiting Lower Courts from Issuing Temporary Restraining Orders, Republic Act No. 8975)、大統領府令432-05号による合弁契約に関するガイドライン(Guidelines on Joint Venture Agreements, Executive Order 432, series 2005)、大統領府令78-12号による全てのPPPおよび合弁事業におけるADRの活用(Use of Alternative Dispute Resolution Mechanisms in all PPP and JV Projects, Executive Order 78, series 2012)など、PPPを推進するために制定された法令・ガイドラインが数多く存する。

      なお、PPP事業が公営事業の管理・運営(operation of public utility)に関わる場合は、1991年外国投資法(Foreign Investment Act of 1991)および現行の第11次ネガティブリストに基づき、外資保有の上限が40%に制限されており、この点は注意が必要となる。

      改正BOT法等では、PPPの対象事業として、各種交通(道路、鉄道、港、空港など)、電力、通信、ICTシステム・設備、農業、運河・ダム・灌漑、上下水、観光・教育・健康施設など、公共インフラとして通常想定されうる事業セクターが広く含められている。なお、電力については、2001年に成立した産業改革法(Electric Power Industry Reform Act: EPIRA)によって国営電力公社(NPC)の民営化や電力市場の自由化が進められてきた関係から、PPTの対象事業として取り扱われるか否かが法的に必ずしも明確に整理されていないとの指摘があるものの、改正BOT法等ではPPPの対象事業として電力が含まれており、実際にPPPスキームによる電力プロジェクトの検討および実施がなされている。

      対象事業は、政府提案型(Solicited Proposal)と民間提案型(Unsolicited Proposal)に分類され、それぞれ事業および事業者の選定の取扱いが異なる。また、公共側の事業実施主体に応じて、国家事業(政府機関や国営企業による実施)と地方事業(地方政府による実施)に分類される。PPP事業は開発および承認(事業選定)、調達(入札)および実施というフェーズに大別される。まず、事業選定フェーズでは、実効性評価や民間事業者からの意見聴取・交換(マーケット。サウンディング)などを経て案件形成されたパイプラインプロジェクトについて、関連承認機関に対する提案および評価・審査がおこなわれ、NEDAに設置された投資調整委員会(Investment Coordination Committee of the NEDA Board:ICC)または大統領を議長としたNEDA理事会によって承認される(下表参照)。PPP事業の入札は、改正BOT法等のほか、政府調達改革法および政府調達委員会(GPPB)作成のガイドラインに基づき実施される。そして、実施フェーズへと移行し、PPT事業契約を締結(金融機関による融資の最終合意も含む)のうえプロジェクト計画に基づき事業が実施される。

      政府提案型

      国家事業:事業総額が3憶ペソ以下の場合は投資委員会(ICC)による承認が必要とされ、事業総額が3億ペソを超える場合はNEDA理事会の承認が必要となる。

      地方事業:原則として地方議会の承認によって事業選定がおこなわれるが、事業総額が2憶ペソを超える場合はICCによる承認が必要となる。

      承認期限は、承認審査条件が充足した日より30営業日以内とされている。なお、政府提案型の入札実施期間については、具体的な日数・期限は示されていない。

      民間提案型

       

      ICCおよび関係承認機関が審査をおこない承認する。民間事業者による提案後、ICCおよび承認機関による審査を経て入札前の承認がなされるまでの所要期間については、期限の明示がないもの(Open Date)もあり、1年超を要する可能性がある。

      また、入札においては、原提案者以外の者による競合提案を募集し(入札図書公表から60営業日以内)、比較評価のうえ、より優れた事業者を選定する「スイスチャレンジ方式」が採用されている。このスイスチャレンジも含めて、入札所要期間は少なくとも4カ月程度は要する。

      8)インドネシアにおけるPPP法制

      ア 背景、状況

      インドネシアでは、政府の財源不足によってインフラ投資が十分に行われない期間が、長期間続いたため、特に都市部での交通渋滞をみても明らかな通り、インフラ整備が相当遅れている状態である。複雑ではあるが、PPP法も整備されており、今後の首都移転プロジェクトと関連インフラ整備との関係でもPPPプロジェクトが増加すると考える。また、インドネシアにおいては、国営企業が多く存在しており、国営企業の民営化の進展にも注目されるが、反対も根強く進展速度は緩やかなものになると想定される。なお、政府側の事情による事業計画の変更や遅延等も多く、留意が必要である。

      イ 法制度の概要

      PPPに関する法制度は、ヨドユノ政権下で制定されたPPPに関する大統領令 2005 年第 67 号 が基本的な事項を定めていたところ、 2015年にPPPに関する大統領令2015年38号が制定され、対象セクター範囲が拡大されるとともに、後述のアヴェイラビリティ・ペイメントが導入された。2005年の大統領令は、2015年の大統領令により廃止されたが、2015年大統領令に反しない限りでその実施細則は有効とされている。具体的な内容は以下のとおりである。

      (ア)PPPの定義

      まず、インドネシアにおけるPPPとは、一般的にPPPに関する大統領令に基づき実施される事業を指す。このPPPの実効性確保のため、上記大統領令では「政府保証」及び「政府支援」について規定している。「政府保証」は後述のIndonesia Infrastructure Guarantee Fund(以下、「IIGF」という)を通して、政府契約機関(Government Contracting Agency(GCA))による契約の履行を保証する制度である。「政府支援」はインドネシア政府による「財産的支援」及び「その他の形態による支援」を指し、「財産的支援」には後述のViability Gap Funding(VGF)が含まれる。なお、インドネシアにおいては、上記大統領令に基づくPPPとは別に、公共事業に対する民間開放が行われていることに注意を要する。これらについては、各セクターが個別の法令を規定している。

      (イ)IIGF(Indonesia Infrastructure Guarantee Fund)

      財務省は100%出資して2009年末にIIGFを設立した。IIGFは、PPP 事業において、政府契約機関(GCA)の契約履行を保証しており、民間事業者のリスクを軽減している。 前述のPPP以外の各セクターの官民連携案件においては、政府保証が政府による Support Letter やConfirmation Note といった形態であったため、その内容が必ずしも明確とは言えなかった。IIGFが設立されたことで、民間事業者は、IIGFとの保証内容の協議を通じて保障内容を明確にする形で保証契約を締結することができるようになった。

      (ウ)VGF(Viability Gap Funding)

      VGFは、財務省から供与される PPP 事業に対する財政的支援である。社会的な利益は大きいにも関わらず事業採算性の低い案件に対して、財務省が建設費の一部を支援することにより、PPP 事業としての成立を支援することを目的としている。VGはPPP事業における建設費の一部を中央政府予算から拠出するものであり、現金で供与される。 VGFは、社会的な便益と事業採算性とのギャップを埋めるものであるが、あくまで当該案件の建設費総額の主要(Dominant)な部分を占めない水準とされている

      (エ)アヴェイラビリティ・ペイメント(Availability Payment)

      アヴェイラビリティ・ペイメントは、前述の大統領2015年38 号で新たに導入された制度である。所定の品質でインフラサービス提供される場合に、その対価として、GCAから民間業者に定額の支払を約束する制度である。これにより民間企業者適切な投資リターンを見込んでPPP事業へ参画することを企図している。

      なお、GCAはアヴェイラビリティ・ペイメントについて民間事業者と契約をするが、当該契約の履行保証については、前述のIIGFを利用することになる。他方で、中央政府がGCAとなるアヴェイラビリティ・ペイメントが利用される案件では、前述のVGFを使用することはできない点に注意が必要である。なお、地方政府がGCAになる案件では、アヴェイラビリティ・ペイメントとVGFの併用が可能となっている。

      (オ)事業者選定方法

      PPP 案件における事業者選定は原則、公募入札方式(Public Tender)で行われる。しかしPPP に関する大統規則2015 年3号により、例外的に直接指名 (Direct Appointment)の可能性についても規定された。 すなわち、対象事業が特定条件(対象となるインフラが既に当該事業者により運転されている場合、当該技術を提供できるのが当該事業者のみの場合、当該事業者が事業に必要な土地を概ねまたは完全にコントロールしている場合)を満たす場合、または、事前資格審査をした結果、通貨事業者が1グループのみの場合には、事業者を直接指名することができる。

      実務上は、最初に公募による事前資格審査が行われ、通過事業者が2グループ以上の場合は原則通り公募入札方式で選定が行われ、通過事業者が1グループのみだった場合には直接指名手続に進むことが認められている。

       

      9)インドにおけるPPP法制

      ア 背景、状況

      インドは、世界でもっとも多くのPPP事例が存在しており、特に道路と空港セクターを中心に一般的に浸透している。モディ政権下においても積極的にPPPプロジェクトの活用が図られている。ただし、州レベルの規制やガイドライン等に基づき、運用が行われており、統一的なPPP法制度がなく、州レベルのローカルルールや恣意的な運用により、外資が参入することは困難なことが多いといわれている。また、政府や監督省庁による計画変更や事業遅延等も生じていることに加えて、現地企業との価格競争を踏まえると、外資企業のプロジェクト推進については困難なことが多いと評価できる。

      イ 法制度の概要

      インドにおいて、連邦政府レベルで統一的なPPP法は存在していない。基本的には、財務省が基本政策を策定し、各種ガイドラインやマニュアルを整備している。具体的には、以下に示す一定の規則、手続き、マニュアル等が整備されている。PPPプロジェクトにおける事前資格基準、調達プロセス、調達者と入札予定者との間の契約事項などについて規定を定めている。

      • 2017年一般的財務規則 (General Financial Rules, 2017)
      • 1978年財務権限委譲規則(Delegation of Financial Powers Rules, 1978)
      • 2017年物品公共調達規則(Manual for Procurement of Goods, 2017)
      • 中央監察委員会ガイダンス(Central Vigilance Commission Guideline)

      その他、個別に①高速道路、②上下水道、③港湾、④廃棄物管理、⑤都市交通の5つのセクターに特化した規則等が存在している。その上で、州政府が個別具体的な政令や規則等を策定し、運用を行っている。また、州レベルの法制度の整備状況は州ごとに異なっており、公共インフラへの民間投資を含むインフラに関する法的枠組みを明確に規律している主な州は以下の通りである。

       

      法規定 

      Andhra Pradesh

      The Andhra Pradesh Infrastructure Development Enabling Act 2001

      Bihar

      The Bihar Infrastructure Development Enabling Act 2006

      Gujarat

      Gujarat Infrastructure Development Act 1999 amended in 2006

      Haryana

      Haryana PPP Policy

      Karnataka

      The Karnataka Infrastructure Policy 2007 amended in 2015 and Guidelines for Procurement of PPP Projects through the Swiss Challenge Proposals Route, 2010

      Punjab

      The Punjab Infrastructure Development and Regulation Act 2002

      Tamil Nadu

      Tamil Nadu Infrastructure Development Act, 2002

      Uttar Pradesh

      Uttar Pradesh Infrastructure and Industrial Investment Policy, 2012

      West Bengal

      The West Bengal Policy on Infrastructure Development through PPP 2003

       

      インドでのPPPにおいては、Public Private Partnership Approval Committee (PPPAC、「PPP評価委員会」)が、その中核を担っている。PPP評価委員会は、内閣経済委員会(CCEA)傘下の中央省庁/中央公共セクター事業(CPU)/法定当局またはその管理下にある事業体から構成されている。PPPAC評価委員会発行のプロジェクト査定・評価・承認のための手順[9]は次の通りである。

       

      ①監督機関は、PPPにおいて実施されるプロジェクトを策定し、適切な資格を持ったコンサルタントの支援を得て、フィジビリティ・スタディとプロジェクト契約の準備を行う必要がある。

      ②必要に応じて、監督機関で議論した内容をPPP評価委員会へ提出するプロジェクト提案書に添付する必要がある。

      ③PPP評価委員会の承認のために、行政庁は、フィジビリティ・スタディ報告書とともに、所定のフォーマットで作成されたプロジェクト提案書を提出する必要がある。

      ④ PPP評価委員会は、提出された書類を関係省庁に展開し、3週間以内に関係省庁との会合を開き、プロジェクトの原則的承認の可否を決定する。

      ⑤原則承認後、行政省は資格審査(RFQ)を提出し、資格のある入札者をリストアップすることが可能となる。そして、提案要請書とすべての契約書の草案を作成する必要がある。

      ⑥最終的な承認を得るため、事前に指定されたフォーマットで作成された提案書をPPP評価委員会に送り、PPP評価委員会の全メンバーの審査を受ける。

      ⑦Niti Aayog(政策委員会)、法律省、およびその他の関係省庁は、意見書をPPP評価委員会に送り、その意見書は行政省に転送される。

      ⑧PPP評価委員会の審査のために、PPP評価委員会の覚書付きの調達書類と契約書の全てを提出する必要がある。

      ⑩PPP評価委員会は、関係当局の最終承認を得るためにプロジェクトを推薦するか、または、PPP評価委員会で更検討するために、行政省にプロジェクトの修正の再提出を提案する。

      ⑪PPP評価委員会の承認後、最終承認のため、監督機関に最終プロジェクトを付託する必要がある。

       

      なお、PPP契約書の作成に際して、以下の条項を必ず記載する必要があるので、注意が必要である。

      ①契約日とコンセッション期限

      ②民間事業者の義務、権利や制限(提供されるサービスと履行義務の説明を含む)

      ③公的主体の義務と権利、プロジェクト収入スキームと支払方法等

      ④履行監視のための要件と手続きや不履行時の処理方法

      ⑤紛争解決規定、不可抗力等の標準条項

       

      10)バングラデシュにおけるPPP法制

      ア 背景、状況

      バングラデシュ政府は、「ビジョン2021」を戦略ペーパーとして作成し、PPPを通じたインフラ整備を最優先課題の一つとしている。政府は、民間投資を持続的に誘致するための環境を整備するため、2004年、バングラデシュプライベート・セクター・インフラ・ガイドライン(PSIG)を発行し、2009年6月には、PPPに関する「PPP-Public Private Partnershipによる投資イニシアティブ活性化」を発表し、そして「官民パートナーシップのための政策と戦略」が2010年に公表されている。それらに加えて、複数のセクターにおけるPPP投資を強化するために明確な規制および手続き上のガイドラインを制定し、首相府が直轄するPPP事務局(PPPO)が設置されている。PPPOにより、各セクターの手続きとガイドラインに関する文書が、定期的に公表されている。そして、2015年9月16日には、バングラデシュ初のPPP法が成立している。

       

      イ 法制度の概要

      PPP法は、全49条から構成される。第9条では、PPPOの権限および責任が詳細に規定されており、政策、規制、ガイドラインの策定の責任を負っている。また投資家の手続き上の負担を低減化するために、関連文書のサンプルを作成し、提供することもその義務となっている。パートナーの選定、プロジェクト入札、契約調印、インセンティブ等の提供や海外での研修、セミナー、学習ツアーを手配する義務も明記されている。また、PPP法13-18条では、PPPプロジェクトの選定と承認に関する規定が存在している。特に第17条では、投資家に対してインセンティブを付与することができると規定されている。ただし、規定自体は非常に簡単な内容となっており、今後の細則等の発表が待たれる。

      また、PPP法第19条では、民間事業者の選定方法、第22条では、当事者間の合意に際して、プロジェクト会社の設立要件や方法等が明記されており、第24条および第25条は、汚職および利益相反に関する規定を定めており、汚職および利益相反の申し立てが生じた場合は、バングラデシュの調達法や汚職防止よりに対応されることが明記されている。また、第26条2項に基づき、法的関係、リスク配分、両当事者の権利および義務は、プロジェクト契約に準拠するとされ、第26条3項は、契約期間、保険、準拠法等のプロジェクト契約に含める必要のある条項が明示されている。

       

      1. 最後に

      新興アジアにおけるインフラ需要は膨大である。ただし、PPPプロジェクトを成功させるためには、PPPプロジェクトが実現可能な環境を整備することが不可欠である。その意味では、PPPプロジェクトを促進するための政策、法的、制度的枠組みの設計や強化等といった政府のアクションが絶対的に必須である。アジア新興国において、上記で述べた通り、2010年に入り、徐々にPPP法制度の制定やPPPガイドラインを策定やPPP専門部署を設置が進んでいることが確認できたのではないだろうか。しかしながら、リスクマネジメントの観点からは、制度等の拡充等のともに、財政的支援や保険制度等の整備が次のステージでは必要となってくるのは間違いない。次回は、アジア新興国におけるPPPプロジェクトの潜在的なリスクマネジメントに対する対応策や偶発債務の管理方法等への対案を検討するため、先進国におけるPPPプロジェクト事例を整理紹介し、アジア新興国でのPPPプロジェクトに活かしていきたい。

以上

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