シンガポールにおけるCOVID-19特措法 第2次修正について

2020年10月22日(木)

シンガポールにおけるCOVID-19特措法 第2次修正についてニュースレターを発行いたしました。 PDF版は以下からご確認ください。

シンガポールCOVID-19特措法 第2次修正について

ONE ASIA LAWYERS ニューズレター

2020年10月号

● シンガポール COVID-19 特措法 第 2 次修正について

1、イントロダクション
 2020 年 9 月 18 日、シンガポール COVID-19 特別措置法(COVID-19 (Temporary Measures) Act
2020)に関する第 2 次修正(COVID-19 (Temporary Measures) (Amendment No.2) Act 2020)が成立し、2020 年 9 月 30 日より発効しています。第 2 次修正では、特別措置法に基づき認められていた救済措置の期間延長などによって企業および個人に対する法的支援の枠組を更に強化された
一方で、一部の救済措置が終了しています。

2、第 2 次修正における救済措置の期間延長
(1)法的措置の禁止期間の延長

COVID-19 特別措置法では、特定の類型に属する契約(2020 年 3月 25 日以前に締結または更新され、2020 年 2 月 1 日以降に義務履行がなされるものに限る)については、2020 年 10 月 19 日ま
で、債務者から債権者に所定の救済通知(Notification forRelief)が送付された場合、COVID-19 を主たる原因とする債務者の履行不能に対する債権者による法的措置の実行(訴訟・仲裁の提起、担保権の実行など)が禁止されていました。
今般の第 2 次修正では、債権者による法的措置の実行の禁止期間について、下表のとおり個別の
契約類型に応じて 1 ヶ月から 5 ヶ月程度の延長がなされました。なお、第 2 次修正による延長期
間満了後に更に延長の可能性があるか否かについては、シンガポール法務省(Ministry of Law
Singapore)のウェブサイトにおいて、「延長期間の満了によって、従前に送付された救済通知
に基づく救済は終了し、以降は、契約および法令の定めに従って法的措置が講じられることと
なる」旨の記述がなされており、再延長される可能性は低いと考えられます。

契約類型

救済期間(延長後)

・中小企業向け融資契約 ・非居住用不動産の賃貸契約またはライセンス契約 ・商業用車両または商業目的に利用される工場・設備等に関する賃貸借契約または条件付き販売契約

2020年11月19日まで

・イベントまたは観光に関する契約 ・不動産開発業者との選択権付き購入契約または売買契約

2020年12月30日まで

・建設契約もしくは(資材等の)供給契約、またはこれらに基づく履行保証 2021年3月31日まで

 

(2)破産・倒産申請に係る金額基準、Statutory Demand による督促後の猶予期間

COVID-19 特措法は、経済的に困窮状態にある個人または企業を救済するため、破産・倒産申請
の負債金額基準および法定催告(Statutory Demand)による支払督促後の猶予期間について、
2020 年 10 月 19 日まで、以下の救済措置を採っていました。

①破産申請に係る負債金額基準について、負債総額 60,000 シンガポールドル以上とする(通常
 は 15,000 シンガポールドル)
②倒産申請に係る負債金額基準について、負債総額 100,000 シンガポールドル以上とする(通
 常、会社法に基づく場合は 10,000 シンガポールドル、新倒産法に基づく場合は 15,000 シンガ
 ポールドル)
③債権者による破産申請について、法定催告(Statutory Demand)による督促後 6 ヶ月経過後と
 する(通常は督促後 21 日)

今般の第 2 次修正では、上記の救済措置について延長が行われず、10 月 20 日以降、破産・倒産
申請に係る金額基準および猶予期間のいずれも、従来の基準に従って運用されることとなりま
す。

3、まとめ
 シンガポールでは 2020 年 4 月以降、COVID-19 特別措置法に基づく種々の暫定的な救済措置が
講じられてきましたが、今般の第 2 次修正では一部の救済措置の終了も見られ、近い将来におい
て通常の法的枠組に戻ることが予想されますので、債権者および債務者いずれの立場からも、
法的請求への対応について、救済措置の終了を見越して準備・検討を進めておくことが必要と
考えられます。

以上