タイにおける遅延損害金に係る規則の改定

2021年01月26日(火)

タイにおける遅延損害金に係る規則の改定について報告いたします。

遅延損害金に関するアップデート

タイにおける遅延損害金に係る規則の改定

2021年1月26日

One Asia Lawyersタイ事務所

2020年10月28日、タイ中央銀行は遅延損害金の計算方法及び弁済の充当に関する告示第For Kor Ngor. Wor. 245/2563号(以下、「告示」)を発行し、金融機関など金融サービス事業者に適用される遅延損害金に係る規則が改定されました。改定の目的として、中銀ニュース第74/2563号では、①高額な遅延損害金により債務者が弁済できず、システム上での債務残高だけが増加していく仕組みを改定すること、②裁判所での破産手続きを減らすこと、③不良債権の発生を抑えること、④意図せず支払いを遅延してしまった債務者が容易に弁済できるよう支援すること等が挙げられています。告示の概要は以下の通りです。

1.遅延損害金の利率(施行開始日:202141日)

 これまで分割払いやリボ払いの際の遅延損害金の利率については金融サービス事業者が独自に設定することが認められていましたが、告示により、金銭消費貸借契約上の利息の利率に3%以上、上乗せしてはならない、との内容に改定されました。つまり、金銭消費貸借契約上の利息の利率が8%と設定されている場合、遅延損害金の利率は11%以下としなければなりません(契約上の利率が9%だった場合は、遅延損害金の利率は12%以下)。

2.遅延損害金の対象範囲(施行開始日:202141日)

これまでは金融サービス事業者が遅延損害金を計算する際、まだ支払期限に到達していない、つまり、まだ支払遅滞に至っていない債務全額が算定対象に含められ、債務者は一度の支払遅滞で高額な遅延損害金が請求されていましたが、告示により、支払が遅滞している債務(元本)だけを算定対象とするよう改定されました。

 ※図はPDFをご覧ください。

3.弁済時の充当方法(施行開始日:202171日)

 これまで未払債務の一部について弁済がなされた場合、未払債務にかかる全ての遅延損害金及び全ての利息から先に充当され、元本に対する充当は後回しとなっていましたが、告示により、最も長く支払遅滞となっている債務(遅延損害金、利息、元本の順)から先に充当されることになりました。

※図はPDFをご覧ください。

同告示は貸主が金融機関、特別金融機関、ノンバンクの個人向けローン事業者・ナノファイナンス事業者、リース事業者、ハイヤーパーチェス事業者、及び資産管理会社等にのみ適用され、一般の企業が貸付を行う場合には適用されません。

また、上述した1 から3は、告示が定める最低限の基準であって、遅延損害金を請求しない、告示より低い利率を設定する、又は費用からではなく元本から充当するなど、債務者により有利な規則を定めることも可能となっています。

なお、タイ中央銀行は、新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮する債務者数が増加傾向にある現状を踏まえて、上述した中銀ニュースの中で、施行開始日前に発生した遅延損害金についても必要に応じて利息を緩和、又は免除を考慮するよう金融サービス事業者に対し呼びかけています。

以 上

 

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