地球温暖化対策推進法の改正の概要について

2021年07月14日(水)

地球温暖化対策推進法の改正の概要についてニュースレターをアップ致しました。
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地球温暖化対策推進法の改正の概要

 

地球温暖化対策推進法の改正の概要

2021年7月9日
One Asia Lawyers 東京事務所
パートナー弁護士 松宮浩典

 

 2021年5月26日に地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「地球温暖化対策推進法」といいます。)の一部を改正する法律が成立し、2022年4月に施行される予定です。

1 改正の背景

 昨年10月、パリ協定を踏まえ、日本政府は2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロを宣言しました。これに伴い、ゼロカーボンシティを表明する地方自治体や、脱炭素経営に取り組む企業が増加しており、地球温暖化対策のさらなる推進に向けて地球温暖化対策推進法が改正されました。

2 改正点

 主な改正点は以下の通りです。

① 2050年までの脱炭素社会の実現を明記
  2050年までの脱炭素社会の実現に向けて、官民一体で行う旨の基本理念を新設しました(地球温暖化対策推進法第2条の2)。

② 地域の再生エネルギーを活用した脱炭素化を促進する事業(地域脱炭素化促進事業)を推進するための計画・認定制度の創設
  生態系への影響や景観の悪化に対する懸念から、再生エネルギー事業に対する地域住民の反対や地域トラブルが見られ、地域における合意形成が課題にありました。このような状況を踏まえ、実行計画制度を拡充し、地域の環境保全や地域の課題解決に貢献する再生エネルギーを活用した地域脱炭素化促進事業を推進する仕組みが創設される予定です(地球温暖化対策推進法第21条第4項~第7項)。

  また、市町村から地方公共団体実行計画に適合していること等の認定を受けることができた地域脱炭素化促進事業計画に記載された事業については、関係法(自然公園法、温泉法、廃棄物処理法、農地法、森林法、河川法)の手続のワンストップ化や、事業計画の立案段階における環境影響評価法の配慮書手続の省略の特例を受けることが可能になる予定です(地球温暖化対策推進法第22条の2、5~11)。このような仕組みにより、地域の合意形成を円滑化し、地域の脱炭素化を促進するようになると思われます。

③ 企業の温室効果ガスの排出量情報のデジタル化及びオープンデータ化の推進
  従来の企業の温室効果ガス排出量の算定報告公表制度は、報告から公表まで約2年を要し、また、事業所ごとの排出量情報については、開示請求の手続きを経なければ開示することができませんでした。この点を改正法では、企業の温室効果ガスの排出量に係る算定報告公表制度について電子システムによる報告を原則化し、事業所ごとの排出量情報については開示請求制度を廃止し、開示請求の手続なしで公表される仕組みをつくる予定です(地球温暖化対策推進法第29条、第32条)。

  排出量の公表は、ESG(環境・社会・企業統治)の観点で投資先を選ぶ目安になるため、脱炭素の取り組みは資金調達に影響し、企業の経営課題の一つとなっています。そのため今後企業にとって、自社の温室効果ガスの排出について透明性が求められていくと考えられます。

以上