ラオスにおける交通ルール違反に対する罰則規定について
ラオスにおける交通ルール違反に対する罰則規定についてニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
ラオスにおける交通ルール違反に対する罰則規定について
2021年10月7日
One Asia Lawyers ラオス事務所
1.背景
ラオスにおいて、陸上交通に関して規定した法令は、道路交通法(2012)、陸上輸送法(2012)、公道法(2016)などがありますが、いずれも、交通ルールを違反した者に対する罰則は規定されていませんでした。そこで、ラオス政府は、全国統一的に交通違反を取り締まるため、2021年9月16日付で「道路交通に関連する法令違反者に対する罰則規定等に関する政府令(No568)」を発行しました。
今回は、年齢、飲酒運転、速度違反等の罰金を中心に解説いたします。
2.年齢制限(第6条)
下記で規定される年齢で乗り物を運転した場合、その保護者に対して罰金が科せられます。
乗り物 |
年齢 |
罰金 |
自転車 |
9歳未満 |
20,000キープ |
Moped[1] |
12歳未満 |
30,000キープ |
二輪車 |
15歳未満 |
50,000キープ |
普通乗用車 |
18歳未満 |
100,000キープ |
三輪自動車(トゥクトゥク/ジャンボー) |
18歳未満 |
80,000キープ |
※10,000キープ=約1USD(2021年10月現在)
3.飲酒運転(第7条)
二輪車の場合、体内に[2]、1リットル中のアルコール濃度が0.14mg以上検出された場合、150,000キープの罰金が科せられます。
あらゆる種類の4輪車の場合、体内に、1リットル中のアルコール濃度が0.24mg以上検出された場合、300,000キープの罰金が科せられます。
4.速度違反(第14条)
超過速度が時速15㎞までであれば、警告及び登録のみで解放されます。
超過速度が時速16㎞以上30㎞までの場合、乗り物別の罰金の額は以下の通りです。
乗り物 |
罰金 |
二輪車 |
70,000キープ |
三輪自動車(耕運機等) |
100,000キープ |
普通自動車 |
150,000キープ |
超過速度が時速31㎞以上50㎞までの場合、乗り物別の罰金の額は以下の通りです。
乗り物 |
罰金 |
二輪車 |
100,000キープ |
三輪自動車(耕運機等) |
120,000キープ |
普通自動車 |
180,000キープ |
超過速度が時速51㎞以上100㎞までの場合、乗り物別の罰金の額は以下の通りです。
乗り物 |
罰金 |
二輪車 |
120,000キープ |
三輪自動車(耕運機等) |
150,000キープ |
普通自動車 |
200,000キープ |
5.その他
幹線道路沿いに街灯が少なかった時代は、夕方以降はヘルメットを被ると視界が暗くなるため、被らなくてもよいという暗黙の了解がありましたが、同政府令第31条によると、ヘルメットを着用していない又はかぶっているけれどもあごひもをつけていない場合は、50,000キープの罰金が科せられるとあります(二人乗りの場合は同乗者も着用の義務あり)。また、普通自動車の場合、シートベルトを締めていない場合は、70,000キープの罰金が科せられますのでご留意下さい。
ラオスでは、道路に牛などの家畜がうろついている光景がよく見られますが、道路にいる家畜(4本足の動物)が原因で事故を引き起こした場合、家畜の所有者は1頭につき30,000キープの罰金を支払う必要があります。
6.最後に
ラオスでは、交通警察が、小遣いを稼ぐために、交通ルールを守っていても、運転者を故意に停止させ、不当な理由で法外な額の罰金を徴収することが常習化しています。同政府令は交通事故の抑止力になるだけではなく、交通警察が不当に罰金を科さないように管理するための効果もあることが期待されています。
[1] 排気量50㏄ 未満又は0.25~4キロワットを超えない発電機を搭載した二輪及び三輪のペダル付きかつ、最高時速50㎞を超えない乗り物を指します。
[2] アルコールを検出するための検査方法(呼気、尿、血液 )についての記載はありません。
以 上
本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)