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フィリピンにおいて公共サービスの外国人の100%所有を求める法案が上院で可決された件について

2022年01月11日(火)

フィリピンにおいて公共サービスの外国人の100%所有を求める法案が上院で可決された件についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

フィリピン:公共サービスの外国人の100%所有を求める法案が上院で可決

 

フィリピン:公共サービスの外国人の100%所有を求める法案が上院で可決

2022年1月
シンガポール法・日本法・アメリカNY州法弁護士  栗田 哲郎
フィリピン法弁護士  Cainday, Jennebeth Kae

第1      はじめに

 フィリピンの改善点のひとつに、通信・交通サービスの質をあげることがあるといわれています。現在、フィリピンにおいては、これらのサービスを提供する事業者の選択肢が限定されており、その理由のひとつとして、1987年のフィリピン憲法に基づき、公益事業(Public Utility)への外国資本の参入が制限されていることが原因として挙げられます。  

2021年12月、フィリピン上院は上院法案番号2094(Senate Bill (S.B.) No. 2094)の最終読会を承認し、その後法律として成立した場合、外国人がフィリピンの通信会社、航空会社、内航船会社、鉄道、地下鉄を完全に所有することを可能となります。

上院公共サービス委員会の委員長で法案の提出者であるグレース・ポー上院議員 (Senator Grace Poe)によると、この措置は主にフィリピンの消費者に「より多くの、より良い選択肢」を提供することを意図しているといいます。また、国の公共サービスを自由化することで、将来のフィリピン人世代が「真に恩恵を受ける」ことになると付け加えました。

第2 S.B. No. 2094

 1987年のフィリピン憲法では、フィリピン国民が60%以上を所有する企業を除き、公益事業(Public Utility)の運営に関する認可を外資企業に与えることを明確に禁止しています。

 「公益事業」(Public Utility)の定義は、公共サービス法として知られる連邦法第(Commonwealth Act)146号に記載されており、S.B. 2094は、85年前の法律を改正しようとしています。重要な改正案の中には、「公共サービス」と「公益事業」という用語の明確な定義が含まれています。

 法案では、公益事業(Public Utility)とは、以下のいずれかを「公共の用に供するために運営、管理または支配する公共サービス」を指します。

 -送配電
 -石油・石油製品パイプラインの流通システム
 -水道管配水システム、下水道管配水システム
 ー空港
 -海港
 -公共車両
 -有料道路、高速道路

 そのため、公益事業に分類されないものは、外国人所有の制限に縛られない公益事業とみなされることになります。これらの公共サービスには、電気通信、航空会社、内航海運、鉄道、地下鉄が含まれます。

 フィリピンにおいて上記のような外資規制が撤廃された場合においては、日本企業にも大きなビジネスチャンスとなる可能性が高く、今後の改正状況のアップデートを中止することが推奨され、今後、当事務所のニューズレターにおいてもアップデートをしていく予定です。