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日本におけるプラスチック資源循環法の概要について

2022年03月11日(金)

日本におけるプラスチック資源循環法の概要についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

日本:【令和4年4月1日施行】プラスチック資源循環法の概要

 

日本:【令和4年4月1日施行】プラスチック資源循環法の概要

2022年3月11日
One Asia Lawyers Group
弁護士法人One Asia大阪オフィス
弁護士 難 波  泰 明

1. はじめに

  昨年(2021年)6月4日に成立し同月11日に公布された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(以下「プラスチック資源循環法」又は「本法」といいます。)は、同法施行令及び施行期日が本年(2022年)1月14日に閣議決定され、いよいよ、本年4月1日から施行されます。

  本法は、プラスチック製品を提供、使用するほぼ全ての事業者に影響がある事項が定められており、各企業において対応が迫られるだけでなく、自主回収、再資源化事業に関して一部規制が緩和される制度を含んでおり、新たな事業展開のヒントを与える内容となっています。

  本稿では、本法の概要について、事業者に関わる部分を中心にお伝えします。

2. プラスチック資源循環法制定の背景と全体像

  プラスチックは、現代社会において幅広い製品や容器包装の素材として広く普及している一方、海洋プラスチックごみ問題の深刻化や諸外国の廃棄物輸入規制が強化されたことなどにより、日本国内においても、3R+Renewable(リデュース、リユース、リサイクル+再生可能資源の活用)の基本原則に基づいたプラスチック資源の循環促進の重要性が高まっています。

  本法は、プラスチック使用製品の設計・製造から販売・提供、排出・回収・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体において、プラスチック資源の循環等の取組みを促進するべく、各段階について施策を講じるものです。

  本法の全体像は以下のとおりとなっています。

ライフサイクル

制度

対象物

対象者

内容

設計

製造

プラスチック使用製品設計指針

プラスチック使用製品

プラスチック使用製品製造・設計事業者

努力義務

設計認定制度

販売

提供

特定プラスチック使用製品の使用の合理化

特定プラスチック使用製品(12品目)

特定プラスチック使用製品提供事業者(小売・サービス事業者等)

多量提供事業者については勧告・公表・命令制度あり

排出

回収

リサイクル

市町村による分別収集・再商品化

プラスチック使用製品廃棄物

市町村

市町村からの受託業者に関する廃棄物処理法の許可の緩和

製造・販売事業者等による自主回収・再資源化

自らが製造・販売・提供したプラスチック使用製品

プラスチック使用製品の製造・販売事業者等

廃棄物処理法における業許可の緩和

プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制・再資源化

プラスチック使用製品産業廃棄物

排出事業者

多量排出事業者については勧告・公表・命令制度あり

排出事業者による再資源化事業

プラスチック使用製品産業廃棄物等

排出事業者/複数の排出事業者から委託を受けた再資源化事業者

廃棄物処理法における業許可の緩和

3.  プラスチック使用製品設計指針

 ⑴ 概要

 プラスチックの使用量の削減、部品の再使用、再生利用を容易にするため、プラスチック使用製品の設計又はその部品もしくは原材料の種類の工夫、代替素材や再生プラスチック、バイオプラスチックの利用等の取組みを促進するために、対象事業者が取り組むべき事項及び配慮すべき事項が定められました。

 設計指針において定められる事項は、①構造(減量化、包装の簡略化、単一素材化等、②材料(代替素材、再生利用が容易な材料、再生プラスチック、バイオプラスチックの使用)、③製品のライフサイクル評価、④情報発信及び体制の整備、⑤関係者との連携、⑥製品分野ごとの設計の標準化や設計ガイドライン等の策定及び遵守です。

 ⑵ 対象製品及び対象事業者

 本指針の対象となる事業者は、①プラスチック使用製品の製造を業として行う者(その設計を行う者に限る。)及び②専らプラスチック使用製品の設計を業として行う者です(本法第7条第1項。以下、合わせて「プラスチック使用製品製造事業者等」といいます。)。

 製品の一部にプラスチックを使用している場合は、この対象製品に含まれます。

 ⑶ 指針に即した設計努力義務

 プラスチック使用製品製造事業者等は、本法第7条第1項の規定によりプラスチック使用製品設計指針が定められたときは、これに即してプラスチック使用製品を設計するよう努めなければなりません(同条第5項)。

 ⑷ 設計認定制度の創設(任意)

 プラスチック使用製品製造事業者等は、指定調査機関に設計調査の申請を行い、設計指針に適合している旨の認定を受けることができます。製品分野ごとの審査項目、基準は順次策定されていく予定です。

 設計認定制度は任意の制度となっていますが、認定されたプラスチック使用製品について、国によるグリーン購入法上の配慮、情報の公表などによるメリットを受けることができます。

4.  特定プラスチック使用製品の使用の合理化

 ⑴ 概要

   日本国内においても使い捨てプラスチック、シングルユース・プラスチックの使用を抑制するため、一部のプラスチック使用製品を特定プラスチック使用製品として定めた上で、これらの使用の合理化により、特定プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するために取り組むべき措置の判断基準が定められます。

 ⑵ 制度の対象 ―特定プラスチック使用製品及び特定プラスチック使用製品提供事業者

   特定プラスチック使用製品は、商品の販売又は役務の提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチック使用製品(容器包装再商品化法第2条第1項に規定する容器包装を除く。)とされており、その事業において特定プラスチック使用製品を提供する事業者であって特定プラスチック使用製品の使用の合理化を行うことが特に必要な業種として政令で定めるものに属する事業を行う者(特定プラスチック使用製品提供事業者)が、本制度の対象となっています。

  

特定プラスチック使用製品

特定プラスチック使用製品提供事業者

フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー及び飲料用ストロー

各種商品小売業(無店舗のものを含む。)、飲食料品小売業(野菜・果実小売業、食肉小売業、鮮魚小売業及び酒小売業を除き、無店舗のものを含む。)、宿泊業、飲食店及び持ち帰り・配達飲食サービス業

ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ及び歯ブラシ

宿泊業

衣類用ハンガー及び衣類用カバー

各種商品小売業(無店舗のものを含む。)及び洗濯業

 ⑶ 特定プラスチック使用製品多量提供事業者

   特定プラスチック使用製品提供事業者のうち、当該年度の前年度において提供した特定プラスチック使用製品の量が5トン以上の事業者は、「特定プラスチック使用製品多量提供事業者」に該当し、排出抑制の状況が著しく不十分な場合に、勧告・公表・命令等が行われる対象となります。提供量は、事業所単位ではなく事業者単位で計算されます。

5.市町村による分別収集・再商品化

  市町村が分別収集したプラスチック使用製品廃棄物について、①容器包装リサイクル法に規定する指定法人に委託し、再商品化を行う方法と、②市町村が単独で又は共同して再商品化計画を作成し、国の認定を受けることで、市町村が再商品化実施者と連携して再商品化を行う方法が定められました。本制度により市町村の委託を受けて分別収集物の再商品化に必要な行為(産業廃棄物の運搬又は処理)について、廃棄物処理法の許可を受けずに実施できることとされました。

6.製造・販売事業者等による自主回収・再資源化事業

  プラスチック使用製品の製造・販売事業者自身による自主回収・再資源化を促進するための規制緩和が定められました。製造・販売事業者は、自主回収・再資源化事業計画の認定を受けることによって、廃棄物処理法上の許可を受けずに、使用済プラスチック使用製品の再資源化に必要な行為を業として実施できることとされました。

7.プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制・再資源化等

 ⑴ 概要

   プラスチック使用製品産業廃棄物の排出を一層抑制し、再資源化を促進するため、排出事業者が取り組むべき措置に関して、当該排出事業者の判断基準となるべき事項が定められました。

   主務大臣は、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等を促進するため必要があると認めるときは、排出事業者に対し、当該判断基準に基づいて必要な指導及び助言をすることができるとされました。

 ⑵ プラスチック使用製品産業廃棄物及び排出事業者

   プラスチック使用製品産業廃棄物には、事業活動に伴って排出されたものであれば、一般的なオフィスで使用されるボールペンやクリアファイルなども対象に含まれ、工場や店舗などでは、プラスチック製の端材や緩衝材等も対象になります。

   排出事業者は、プラスチック使用製品産業廃棄物等を排出する事業者をいいますので、事業所、工場、店舗等で事業を行う事業者の多くが対象になります。ただし、常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、5人)以下の小規模企業者は除外されます。

 ⑶ 多量排出事業者

   排出事業者のうち、当該年度の前年度におけるプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が250トン以上の者は、多量排出事業者とされ、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等に対する取組みが著しく不十分な場合に、勧告・公表・命令等が行われる可能性があります。ここでの排出量も、事業者単位で計算されます。

   多量排出事業者は、排出の抑制及び再資源化等に関する目標を定め、計画的に取り組みを行うことが求められ、毎年度、達成状況に関する情報をインターネット等により公表するよう努めなければならないとされました。

   また、命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が処せられます。

8.排出事業者による再資源化事業

  プラスチック使用製品廃棄物の排出事業者及び複数の排出事業者から委託を受けた再資源化事業者による再資源化を促進するための規制緩和が定められました。排出事業者及び複数の排出事業者から委託を受けた再資源化事業者は、プラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化のためのプラスチック使用製品産業廃棄物等の収集、運搬及び処分の事業の実施に関する計画の認定を受けることができます。

  この認定再資源化事業計画に基づいて再資源化に必要な行為を業として実施する者は、廃棄物処理法上の業許可を受けずに、使用済プラスチック使用製品産業廃棄物の再資源化に必要な行為を業として実施できることとされました。ただし、廃棄物処理法における業許可以外の規定は引き続き適用されるため、注意が必要です。

 

【参考】

・環境省関連ページ https://www.env.go.jp/recycle/plastic/circulation.html

・パンフレット https://plastic-circulation.env.go.jp/wp-content/themes/plastic/assets/pdf/pamphlet.pdf

・概要資料(英語版 Overview English version)https://www.env.go.jp/recycle/plastic/pdf/14.pdf