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インドネシアにおけるBPJPHによるハラル認証ラベルの決定について

2022年04月14日(木)

インドネシアにおけるBPJPHによるハラル認証ラベルの決定についてニュースレターを発行いたしました。 PDF版は以下からご確認ください。

BPJPHによるハラル認証ラベルの決定

 

BPJPHによるハラル認証ラベルの決定

2022年4月 <style=”text-align: right;”>One Asia Lawyers Indonesia Office <style=”text-align: right;”>日本法弁護士  馬居 光二 <style=”text-align: right;”>インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

1.はじめに

 2022年2月10日、日、ハラール製品保証実施機関(Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal:BPJPH)は、BPJPH決定2022年40号によって、ハラル認証ラベルを決定しました。本ニュースレターでは、ハラル認証についての現状及び上記決定についてご説明致します。

2.ハラール認証制度

 イスラム教徒が人口のおよそ86.9%を占めるインドネシアではハラール(イスラム教で許されたもの)製品に対する需要が高く存在します。当該ハラールについて、政府は高まるハラール製品需要及び国内のハラール産業の活性化等を意図して2014年にハラール製品保証法を制定し、その後政府規則2019年31 号及び同規則を改正するオムニバス法の施行規則である政府規則2021年39号によって、ハラール認証の取得義務について細かく規定されております(以下の条項の記載は全て政府規則2021年39号を前提とします)。

(a) 認証機関 

 従前、ハラール認証は、国内の各イスラム教団体によって構成されるインドネシア・ウラマー評議会(Majelis Ulama Indonesia:MUI)が行ってきましたが、上記規則によって、ハラール認証の発行権限を宗教大臣直轄の組織であるハラール製品保証実施機関(Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal:BPJPH)にその権限が移されました。これにより、インドネシア政府がハラール認証を行う形となっております(もっとも、製品がハラムか否かの判断は継続してM U Iが行うこととされております)。

(b) 認証対象

 政府規則2021年39号2条は、原則として、インドネシア領土内に流通する全ての製品がハラール認証の対象とします。ただし、非ハラールの材料から製造された製品はハラール認証義務を免除され、代わりに非ハラールについての説明を当該製品に添付する必要があるとされております。 

(c) 認証内容  

 ハラル認証を理解するにあたっては、ハラルに基づいて何が許容されるのかを理解すると共に、その認証内容を理解する必要がございます。

この認証の内容は、原材料がハラールかどうかだけでなく、保管や製造過程で汚染されずに、清潔な状態が保たれているか、従業員は十分に理解できているか、ハラールと非ハラールが分けて管理されているか、体制や書類管理に問題がないかなど、いわゆる「農場から食卓まで」のプロセス全てを含むとされております(政府規則2021年39号49条参照)。

(d) 認証手続

 申請者は申請にあたって当該手続きの担当者となるハラールスーパーバイザーを任命する必要があります(66条)。当該ハラールスパーバイザーはハラール製品に関する幅広い知識と理解(ハラールスーパーバイザー証明書により証明)を有するムスリムの市民のみがなり得るとされております(53条)。事業者はBPJPHのオンラインシステムから、必要書類を添付してハラールスーパーバイザー任命の申請を行ないます。

 当該スーパーバイザーを任命した上で、事業者下記の手続にしたがってハラール認証を申請することになります。

 ①ハラール認証申請書の提出(59~66条)  ②BPJPH及びハラール検査機関(Lembaga Pemerikasa Halal, LPH)による必要書類が揃っているかの確認(66条、67条)   ③LPHによる申請書類の検討(68、72、73、75条)  ④MUIによるハラール、非ハラールの決定(76、77条)  ⑤BPJPHによるハラール認証の発行(78条)

(e) 対応期限 

・ハラールの表示義務化に関する対応期限

 政府は、ハラル認証は対象となる品目が多岐に渡るため、義務化を段階的に行う必要があるとして、下記のような対応期限を定めております。

製品

対応期間

食品および飲料、と畜およびと畜サービスから生じる製品 2019年10月17日〜2024年10月17日
伝統的な薬、医薬部外品、健康補助食品 2021年10月17日〜2026年10月17日

市販薬と限定市販薬

2021年10月17日〜2029年10月17日

処方薬(麻薬を除く)

2021年10月17日〜2034年10月17日

化粧品、化学製品、遺伝子組み換え製品

2021年10月17日〜2026年10月17日

衣類、帽子、アクセサリ

2021年10月17日〜2026年10月17日

家庭用ヘルスケア製品、家電製品、イスラム教徒の祈りの道具、文房具

2021年10月17日〜2026年10月17日

医療機器(リスククラスA)

医療機器(リスククラスB)

2021年10月17日〜2026年10月17日

2021年10月17日〜2029年10月17日

医療機器(リスククラスC)

2021年10月17日〜2034年10月17日

関連する原材料および/または製造プロセスがまだハラール条項に適合していない医薬品、生物学的製品、および医療機器

法定規制に準拠

・経過規定

 また、上記政府規則2021年39号は以下のような経過規定を定めております(169条)。

・ 政府規則2021年39号が施行日(2021年2月2日)前にMUIが認めた外国ハラール認証は、その外国ハラール認証の有効期間が終了するまで有効である ・ 同施行日前に MUI または BPJPH が発行したハラール認証は、当該ハラール認証の有効期間 が終了するまで有効であるものとする。 ・ 同施行日前に MUI が規定したハラールロゴは、同規則施行から最長 5 年間使用することができる。

2.新しいハラール認証ラベル

 上記ハラル認証手続を経て認証の交付を受けた製品にはハラル認証のラベルを添付することになります。前述のように、BPJPHは2022年3月1日付でBPJPH決定2022年40号を施行し、ハラル認証ラベルを決定致しました。同決定により、今後のラベルはBPJPHが発行することになります。前述のように、本規則施行前にMUIが発行したラベルについては、政府規則2021年39号が施行されてから5年間は有効とされております(政府規則2021年39号169条d)。

 しかし、BPJPHの責任者(Muhammad Aqil Irham)によると、現在もMUIハラールラベルを使用し、MUIハラールラベル付きのパッケージを持つ事業体は、既存のパッケージストックを使用することが認められているとのことです。MUIハラールラベルの包装在庫がなくなり、MUIからのハラール判定番号の有効期限も切れた場合、BPJPH決定2022年40号の政令に従い、新たにハラールラベルを製品に記載する義務があります。[1]

 

[1] Conventus Law Website : https://conventuslaw.com/report/indonesia-halal-label-protected-by-intellectual-property/ (accessed April 4th 2022)