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日本における株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの補足説明の公表に関する概要について

2022年04月14日(木)

日本における株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの補足説明の公表に関する概要についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの補足説明の公表に関する概要

 

株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの補足説明の公表に関する概要

2022年4月14日
One Asia Lawyers 東京事務所
弁護士 松宮浩典

 2022年2月4日、全国株懇連合会より、「株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの補足説明について」(以下「本補足説明」といいます。)が公表されました。本補足説明は、2021年10月22日に全国株懇連合会が公表した「株主総会資料の電子提供制度に係る定款モデルの改正について」(以下「本改正」といいます。)の説明を補足するものになります。

1 定款モデルの改正について

 本改正は、会社法改正により株主総会資料の電子提供制度が2022年9月1日に施行されることを踏まえ、定款モデルの改正が行われました。

 本改正の内容は、以下の通りです。

 ①現行定款モデル第15条1項に電子提供措置をとる旨の規定の新設
 ②同条第2項で電子提供措置事項のうち法務省令に定めるものの全部又は一部を書面交付請求株主に交付する書面に記載することを要しない旨の規定の新設
 ③同条のインターネット開示の規定の削除

 上記①の定款への定めについては、2022年9月1日における上場会社は電子提供措置を利用することが強制されます。これを受けて、上場会社については、経過措置により施行日を効力発生日として電子提供措置をとる旨の定款の定めを設ける定款変更の株主総会決議をしたものとみなされますが(会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和元年法律第71号。以下「整備法」といいます。)第10条2項)、それ以外の会社は電子提供措置をとる旨の定款変更手続と登記手続が必要となります。

 これに対し、上記②及び③については上場会社であっても適用が強制されないことから、みなし定款変更の適用はありません。そのため、上場会社か否かにかかわらず、上記②及び③については定款変更手続が必要になります。

 以上の通り、上場会社であっても上記②及び③については定款変更手続が必要とされるため、結果的に、上場会社あっても、①ないし③の全てについて定款変更を行う会社が多いと思われます。

 また、みなし定款変更が適用となる施行日時点の上場会社は、株主が書面交付請求できる期間を一定期間保障する観点から、整備法第10条3項は、電子提供制度の施行日から6か月以内の日を株主総会日とする株主総会を招集するときは改正前の会社法に従うこととしているため、2023年3月以降に開催される株主総会から電子提供制度が適用されることになります。そのため、制度施行後最初の株主総会が2023年3月以降(施行日から6か月経過後)に開催される場合には、当該株主総会から電子提供制度が適用されることから、電子提供制度施行に伴う定款変更は、電子提供制度施行前の株主総会、すなわち2022年の定時株主総会等で定款変更議案を付議して整備しておくことが望ましいと考えられます。

2 定款モデルの補足説明について

  本補足説明では、改正定款モデルの附則において、削除・新設となる定款規定を「現行定款第15条」、「変更案第15条」と表記されていた点について、附則で効力発生日等を定める対象となる規定を特定するためにのみ用いてるものであり、「現行定款」、「変更案」の表記は、それぞれの用語が持つ意味を表現する趣旨で用いていない旨の説明がなされています。

 なお、電子提供制度の施行後の定款を作成する際、附則に「現行定款」、「変更案」という表記があることに違和感がある場合には、当該部分を「変更前定款第15条」、「変更後定款第15条」とする表記を用いる、またはいずれの文言も入れない対応が考えられる旨の説明がなされています。また、いずれの文言も入れない場合の定款モデルも公表されています。

以上