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ラオスにおける土地に関する事業について

2022年09月14日(水)

ラオスにおける土地に関する事業についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
土地関連事業について

ラオスにおける土地に関する事業について

2022年9月14日
One Asia Lawyers ラオス事務所

1.背景

 ラオスでは、16年ぶりに土地法が改正され、2020年8月に「改正土地法」が施行されています(詳細は2020年8月31日付けのニュースレターを参照ください)。同土地法には、土地に関する事業については、第156条から第158条に事業の種類と条件の一部等が規定されているのみで、詳細はありませんでした。

今回、ラオス天然資源環境省は、土地に関する事業を全国統一的に管理するため、2022年8月25日付で「土地関連事業に関する天然資源環境大臣による合意(No.4392)(以下、合意)」を発行しました。同合意においては、土地関連事業におけるマネー・ローンダリング(資金洗浄)及びテロ資金供与対策に関する規定も含まれています(第30条、第31条)。

ラオスの土地は、ラオス憲法第17条において、「国家共同体の所有に属し」とある通り、何人も土地を所有することができず、「永久的土地使用権」が、ラオス国籍者のみに認められています。このようなシステムの中、外国人や外国法人がどのようなかたちで、土地関連事業に参入できるのかも含めて、解説いたします。

2.土地関連事業の種類と事業者の条件

土地に関する事業は、以下の通り4種類あります(第14条)。

(1)土地の測量サービス業

(2)土地の査定・評価サービス業

(3)土地使用権の売買業

(4)土地使用権の売買に関するコンサルティング及びその他土地に関連するサービス業

上記の事業の中で、外国人[1]、外国法人が参入できるのは、土地の測量及び査定・評価に関するサービス業のみと規定されおり、土地使用権を取扱う業務は許可されていませんので、留意する必要があります(第6条)。

3. 土地関連事業許可証(以下、事業許可証)の申請手続き

申請から事業許可書の発行までの手続きは以下の通りです。

(1)申請書類の審査(第10条)

第7条に記載の必要書類を揃えて天然資源環境省土地局又は県レベル・首都ヴィエンチャンの天然資源環境局(以下、天然資源当局)へ提出します。天然資源当局は、5営業日以内に書類を審査します。

(2)事業における最終的な利益取得者及び法人管理者の審査(第11条、第25条から29条)

マネー・ローンダリング(資金洗浄)及びテロ資金供与対策として、当局内部ガイドラインに従い審査が行われます。主に、会社の取締役、株主、幹部の履歴、事業資金源のチェク等が行われます。また、事業開始以降も、役員等に変更があった場合など適宜審査が行われます。

(3)法人事務所の現地査察(第12条)

天然資源当局による現地査察実施日の遅くても3日前に文書にて通知があります。査察では、主に事業実行可能性調査(フィージビリティスタディ)の報告書に基づき、専門家などの人材が適切に配置されているか、機材等が揃っているかなど、情報収集が行われます。当局による査察は、最大で10日間実施されます。

(4)事業許可証の発行(第13条)

中央の商工省から企業登録書が発行されている場合は、天然資源環境省土地局へ事業許可申請行い、天然資源環境大臣による合意が出されてから3営業日以内に当局から事業許可証が発行されます。

県レベル・首都ヴィエンチャンの商工局から企業登録書が発行されている場合は、県レベル・首都の天然資源環境局へ事業許可申請行い、県知事又はヴィエンチャン都知事の合意が出されてから3営業日以内に天然資源当局から事業許可証が発行されます。

4.土地関連事業許可書について

事業許可証は企業登録後に申請を行います。事業許可証は、3年間有効で更新することが可能です。ただし、更新の時期は、期限満了の90日前に更新手続きを行う必要がありますので、ご留意ください(第21条)。

5.土地関連事業者の責務について

すでに土地関連事業を行っている事業者で、同合意に従い事業許可証を取得していない場合は、事業者の責任で適切な事業許可証を合法的に取得する必要があります。天然資源当局によるチェックにより、事業許可証を取得しないで事業を行っていることを指摘された場合は、6か月以内に事業許可証を取得する必要があります。6か月を超えても取得していないことが発覚した場合は、指導、罰金などの罰則が科せられたり、民事による損害賠償金の支払い又は刑事件として提訴されることもあります(第52条)。

[1]  外国人:①ラオス国籍以外の国籍を保有し、ある任務のため契約に基づき、もしくは期限付きで一時的ないし長期的に滞在している外国人②ラオス領土内に暮らしている国籍を持たない無国籍者③ラオス永住権を所有している外国人④ラオス国籍を保有している外国人

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)