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ラオスにおける飲食業について

2022年12月19日(月)

いラオスにおける飲食業についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
飲食業について

ラオスにおける飲食業について

 

2022年12月19日
One Asia Lawyers ラオス事務所

1.背景

ラオスは、2022年5月9日より、外国人観光客を隔離なしでの受け入れを全面的に再開してから半年以上が過ぎ、乾季の旅行ハイシーズンを迎えています。情報文化観光省は、コロナ化で観光需要が大きく落ち込んでいる状況を回復すべく、観光業に関する合意(詳細は2022年11月16日付けニューズレターを参照ください)、宿泊施設に関する合意(詳細は2022年11月16日付けニューズレターを参照ください)を発行し、続いて、「飲食業に関する大臣合意(No986)」を発行し、観光客の受け入れ環境の改善をはかっています。

ラオスの飲食業は、投資及び施設の規模によっては、ラオス国籍者にしか営業が許可されない飲食施設もあり、留意する必要があります。なお、同合意が施行される前に飲食業を行っている事業者は、施行後120日以内に同合意で規定する飲食施設の形態へ変更する必要があります。

同合意は、各形態の飲食施設の定義からはじまり、全63条から構成されていますが、今回は、飲食業における会社設立、事業許可証の取得、恩典についての概要を中心に解説いたします。

2.適用の範囲

同合意は、露店、市場、リアカー/自転車/バイク/天秤棒での行商、公務員、宗教施設、僧侶への飲食提供、炊き出し等の常設ではない、利益を伴わない飲食業の形態は含みません(第6条)。

3. 推奨地域、格付け、免税恩典

(1)推奨地域

推奨地域は以下のとおり、3地域に区分され、免税恩典が受けられるのは、地域1と地域3(経済特区)と規定されています(第8条)。

地域1:僻地、経済・社会インフラが未整備であり、投資及びビジネスが難しい地域

地域2:基本的な経済・社会インフラが整っており、投資環境が整備されている地域

地域3:経済特区

(2)免税恩典

地域1において飲食業を行う場合、飲食施設の格付け(ドークチャムパー[1]の数)によって、法人税の免税期間が異なります。地域2において飲食業を行う場合は、特段免税の恩典は与えられていません。また、地域3において飲食業を行う場合は、各経済特区の恩典措置に従うことになります。なお、地域1にある飲食店でも、衛生・安全面でラオス政府が定める基準に達していない場合は、恩典は与えられません(第9条)。

格付け

法人税免税期間

VAT率(免税期間)

関税

5年

0%(1年)

ラオス国内で製造又は調達できない調理用品、加工機械など飲食業に直接関係のある器具等は、免税の対象となります。(第10条)

4

4年

0%(1年)

3年

0%(1年)

2年

0%(1年)

1

1年

0%(1年)

 (3)格付けについて

各飲食施設は、事業許可証を取得後90日以内に、飲食業格付け委員会よりドークチャムパーの数が与えられます。その後、2年ごとに、満期となる月に、事業評価が行われ、格付けの見直しが行われます。同委員会は、情報文化観光省副大臣をはじめ、各関係機関の代表者から構成されています。なお、どのような基準で格付けされるかについては、別途定める規定に従うと規定されています。

4.外資規制

下記の飲食施設に関しては、施設の規模及び投資額等を踏まえて、ラオス国籍者のみに経営が認められており、外国人は参入できない場合がありますので、留意する必要があります(第21条)。

・20から49席までの飲食施設

・19席以下の飲食施設

・露店、市場の中の飲食店、リアカー/自転車/バイク/天秤棒での行商

5.会社設立及び事業許可証の取得

飲食施設連事業を行うものは、商工省(局)にて会社の登記を行います。その後、情報文化観光省の管轄下にあるワンストップサービスにて、事業許可証を取得する流れとなります。

(1)登録資本金

最低登録資本金は、飲食施設の規模によって以下の通り規定されています(第27条)。

① 100席以上の飲食施設:100,000USD以上

② 50から99席までの飲食施設:50,000USD以上

③ 20から49席までの飲食施設:10,000USD以上

④ 19席以下の飲食施設:登録資本金の規定なし及び事業許可証は発行しない。

(2)事業許可証の取得

商工省(局)で企業登録を行ったあと、情報文化観光省管轄下の最寄りのワンストップサービスにて、事業許可証の取得手続きを行います。事業許可の取得に必要な書類は以下の通りです(第20条)。

① 事業許可証申請書

② 企業登録書の写し

③ 企業登録申請書一式の写し

④ 就業規則の写し

⑤ 事業主の顔写真

上記に記載の必要書類を揃えて情報文化観光省管轄下の最寄りのワンストップサービスへ提出します。ワンストップサービスは、書類を受理後、2日以内に精査し、各レベルの情報文化観光管理局へ書類をまわし、当局が、7営業日以内に事業許可証を発行します。事業許可証は、有効期限はありませんが、1年ごとに事業継続許可を行います。事業継続許可に必要な書類は第20条に規定されていますが、納税証明書の写しなどが必要となります。

[1] ドークチャムパーとは、ラオスの国花に指定されている花の名前

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)