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改正再エネ特措法施行規則の概要

2023年10月13日(金)

改正再エネ特措法施行規則の概要を解説する、ニュースレターを発行いたしました。こちらの内容は、以下のリンクよりPDF版でもご覧いただけます。

改正再エネ特措法施行規則の概要

改正再エネ特措法施行規則の概要

2023年10月12日
One Asia Lawyers 東京事務所
弁護士 松宮浩典

 近年、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、安全面、防災面、景観・環境等への影響、将来の廃棄等に対する地域の懸念が顕在化しています[1]。こうした懸念を解消すべく、災害の危険性に直接影響を及ぼし得るような土地開発に関わる関係法令の許認可の取得について、FIT/FIP制度認定の申請要件とすること等が取りまとめられた「再生可能エネルギー電気の利用に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令[2]」が2023年10月1日に施行されました(以下「本改正」といいます)。

1 概要

 本改正では、主に次の2点に関して改正されました。

①森林法・宅地造成及び特定盛土等規制法・砂防三法に係る認定手続厳格化
②屋根設置太陽光発電設備に関する認定手続厳格化

 以下、各改正点について解説いたします。

2 森林法・宅地造成及び特定盛土等規制法・砂防三法に係る認定手続厳格化

 再生可能エネルギー電気の利用に関する特別措置法施行規則(以下「施行規則」といいます)第4条の2は、FIT/FIP認定手続の申請に必要な添付書類について定めており、FIT/FIP認定の要件として、以下の許可等の処分を受けていること等を示す書類が必要添付書類として追加されました(改正施行規則第4条の2第2項第7号の2)。

①森林法第10条の2第1項の開発行為の許可
②宅地造成及び特定盛土等規制法第12条第1項及び第30条第1項の許可
③砂防法第4条第1項の規定に基づく制限として行う処分
④地すべり等防止法第18条第1項及び第42条第1項の許可
⑤急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第7条第1項の許可

 なお、当該認定の申請までに当該許可等の処分を受けていることを求めないことに特段の理由がある場合は、この限りでないとされています。具体的には、当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電設備が風力発電設備又は地熱発電設備であって、環境アセスメント手続の対象である場合を指すとされています。該当する場合においては、認定から3年以内に当該許可等の処分を取得することを条件とした条件付認定を行うとし、下記の場合は認定を取り消すとされています。

(A)環境アセスメント手続完了前に一連の事業に着手した場合
(B)環境アセスメント手続完了後であっても当該許可等の処分取得前に開発行為に着手した場合
(C)認定から3年以内に当該許可等の処分を取得できなかった場合

 さらに、当該許可等の処分の要否に関する変更であって、当該許可等の処分に関連する制度の変更に伴うものは、軽微でない変更に追加されました(改正施行規則第9条第1項第11号の2)。

3 屋根設置太陽光発電設備に関する認定手続厳格化

 FIT/FIP認定の申請に係る再生可能エネルギー発電設備が屋根設置太陽光発電設備である場合は、以下の書類(当該認定の申請までに当該屋根設置太陽光発電設備を設置予定の建築物に関する工事が完了していない場合には、当該書類を当該屋根設置太陽光発電設備の運転開始までに提出することを約する書類)及び当該屋根設置太陽光発電設備の太陽電池の全てが当該建築物の屋根に設けられていることを示す図面が添付書類として追加されました(改正施行規則第4条の2第2項第8号の2)。

(ⅰ)当該建築物に係る建築基準法第7条第5項又は第7条の2第5項の検査済証の写し
(ⅱ)当該建築物に係る不動産登記法第119条第1項の登記事項証明書
(ⅲ)当該屋根設置太陽光発電設備に係る電気事業法施行規則第66条第1項の工事計画(変更)届出書の写し又は第78条第1項の使用前自己確認結果届出書の写し
(ⅳ)当該屋根設置太陽光発電設備の太陽電池の全てが当該建築物の屋根に設けられていることを示す写真

 なお、屋根設置太陽光発電設備については、その出力が10kW以上のものである場合又はその出力が10kW未満のものであって複数太陽光発電設備設置事業を営む者からの認定の申請である場合に限られています。

 また、屋根設置太陽光発電設備について、FIT/FIP認定基準として、以下の事項が追加されました(改正施行規則第5条第1項第10号の2)。

(a)当該屋根設置太陽光発電設備を設ける建築物が建築基準法第7条第5項又は第7条の2第5項の検査済証の交付を受けたものであること(当該認定の申請までに当該建築物に関する工事が完了していない場合には、当該屋根設置太陽光発電設備の運転開始までに当該検査済証の交付を受けるものであること)
(b)当該屋根設置太陽光発電設備を設ける建築物について、当該建築物に係る不動産登記法第47条第1項の表題登記を完了していること(当該認定の申請までに当該建築物に関する工事が完了していない場合には、当該屋根設置太陽光発電設備の運転開始までに当該表題登記を完了するものであること)
(c)当該屋根設置太陽光発電設備の太陽電池の全てについて、当該建築物の屋根に設けるものであること
(d)当該認定の申請までに当該建築物に関する工事が完了していない場合には、当該屋根設置太陽光発電設備の運転開始までに、前述の(i)(ii)(iv)の書類を提出するものであること

[1] 経済産業省「再エネ長期電源化・地域共生WG 第2次取りまとめ(案)の概要①」
[2] 経済産業省「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等の概要」