ラオス: 標準化関連法違反者に対する罰則規定について
ラオスにおける標準化関連法違反者に対する罰則規定についてのニュースレターを発行しました。PDF版は以下からご確認下さい。
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ラオス: 標準化関連法違反者に対する罰則規定について
2023年5月19日
One Asia Lawyers Group ラオス事務所
1.背景
ラオスにおいては「標準化法」が2007年に制定され、その後2014年に改正されています。「標準化法」では、標準化を製品、商品、サービス、プロセス、環境などの規格、分類、品質のレベルを国や国際的な規格団体によって認定された標準に合わせて整えることと定義しています(標準化法第2条)。今回、ラオス政府は、その標準化に関係する法令に違反した者に対する罰則規定について定めた「標準化に関する法令違反者に対する違約金及びその他の罰則に関する首相令(以下、首相令)」を2023年4月7日付で発行、2023年5月9日から施行されています。
標準化法では、違反者に対する罰則の規定については「事案の重大性に応じて、警告、教育、懲戒処分、罰金、民事上の損害賠償、刑事上の処分を受ける」とあるのみで、具体的な違反内容については記載されていません。そのため、罰則の適用の範囲が曖昧であることが問題となっていました。今回発行された首相令では、違反とみなされる行為11項目が記載されたため、違反者に対して、罰則が科せられる根拠を示することが可能となり、全国統一的に運用されることが期待されます。
2. 標準化に関する法令の違反について
首相令第6条によると、法令違反であるとみなされる行為は、以下のとおり11項目あります(以下、違反行為)。
(1)基準及び技術を満たさない製品及び商品の製造、販売及び輸出
(2)基準及び技術を満たさない製品及び商品の輸入
(3)認定されていない製品や商品に国に対して、規格マーク及び品質マーク(以下、Qmark)を使用すること
(4)認定されていない製品や商品に対して、国の規格マークやQmarkに類似した言葉や商標を使用して誤解を与えるような行為
(5)取り消されたり、有効期限が過ぎた国の規格マーク及びQmark認定証を使用すること
(6)取り消されたり、有効期限を過ぎたマネジメントシステム認定証を使用すること
(7)取り消されたり、有効期限が過ぎた国際規格マネジメントシステム認定証を使用すること
(8)取り消されたり、有効期限が過ぎた非破壊検査認定証を使用すること
(9)未承認及び国際規格に則っていない認証マーク(の使用)
(10)規定に則っていないバーコード(Barcode)の使用
(11)規定に則っていない国の基準化ガイドラインの使用
3. 違約金と損害額について
上記、首相令第6条の違反行為に対して、故意の場合又は過失を2回繰り返した場合(刑事上の責任ではない場合)損害額の2倍の罰金が科せられると規定されています(首相令第7条)。損害額の算出基準は以下の表の通りです(首相令第8条)。
首相令第6条の違反行為 |
違約金 |
損害額算出基準 |
(1)及び(2) |
故意の場合、過失2回目:損害額の2倍 |
製品又は商品の価格 |
(3)から(11) |
故意の場合、過失2回目:損害額の2倍
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「手数料及びサービス料に関する首相令」に規定されている標準化に関する業務にかかる手数料とサービス料を根拠として算出 |
なお、首相令第6条の違反行為(1)、(2)及び(6)から(11)の違反行為に対しては、商工業省が責任をもち、(3)から(5)に対しては、県レベルの商工局が所轄します。また、徴収し違約金の60%は、政府の歳入となり、40%は標準化に対する商工業省の活動費用に充てられます。
以 上
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