ラオスにおける管財人に関する合意について
ラオスにおける管財人に関する合意についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
ラオスにおける管財人に関する合意について
2024年3月21日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景
2020年5月より「会社更生及び破産法(以下、改正破産法)」が施行されています(詳細は2020年6月5日付のニュースレターをご参照ください)。管財人に関しては、改正破産法の第32条から第36条に規定がありますが、管財人に対する職業訓練、報酬、責務に関するより詳細な規定と財産管理サービスを提供する事業者(以下、「管財人サービス会社」)に関する新たな規定を加えた「管財人及び管財人サービス会社に関する司法省大臣合意(No329)(以下、「合意」)」が2024年3月18日付で発行されました。合意は、2024年5月1日から有効となります(合意第28条)。
2.管財人の基準と条件
日本の場合、破産管財人は弁護士である必要がありますが、ラオスの場合、以下の基準と条件を満たすことで管財人となることが可能です(合意第4条)。
(1)法律、会計、監査又は学士以上経営学を習得し、少なくとも3年の実務経験があること
(2)管財人になるための職業訓練を受講すること
(3)現役の国家公務員、軍人及び警察でないこと
(4)公務から免職されたり、故意の犯罪行為によって自由剥奪刑を受けたことがないこと
(5)健康であること
上記(1)(3)(4)及び(5)の条件を満たしている人は、管財人になるための職業訓練を受講するために、司法省管轄下の国家司法研究所へ申請書を提出し、司法大臣の許可のもと、訓練が実施されます。訓練修了後には、受講証明書が発行されます(合意第5条)。
3.管財人名簿及び管財人サービス会社リスト(以下、「管財人リスト」)について
司法省司法制度管理促進局が管財人リストを作成し、印刷媒体で一般に公開されます。裁判官は、会社更生や破産手続きにおいて、管財人リストに基づき、管財人を選任することになりますが(合意第8条)、2022年12月27日付Lao Economic Daily(https://laoedaily.com.la/2022/12/27/119968/)によると、28名の管財人が国内で初めて、正式に管財人として認められたとあります。
4.管財人サービス会社について
管財人サービス会社を設立する場合、商工省/局で会社を登記(合意第14条)、企業登録書(Enterprise Registration Certificate)を取得し、その後、司法省司法制度管理促進局から事業許可証(Business Operation License)を取得する必要があります(合意第15条)。管財人サービス会社には管財人を最低一人雇用する必要があります(合意第14条)。
管財人は、一度に複数の債務者(2社以上)の管財人となることは、禁止されています(合意第23条)。また、他の管財人サービス会社に所属している管財人を雇用することはできません(合意第24条)。
5.報酬及びその他の費用
管財人に対する報酬は、会社更生又は破産申立てを行った債務者が支払い義務を負いますが、債権者集会での合意に基づき、裁判所の規定に則り、業務期間、業務の難易度、成果を鑑みて、その額が決定されます(合意第21条)。
なお、管財人の業務に必要な費用(所有権の譲渡、資産評価売却にかかる費用、宿泊費、交通費、印刷費など)についても、債権者集会で合意を得る必要があります(合意第22条)。
以上
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)