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タイのデジタルプラットフォームサービス規制について

2024年03月29日(金)

タイのデジタルプラットフォームサービス規制についてのニュースレターを発行いたしました。こちらの内容は、以下のリンクよりPDF版でもご覧いただけます。

タイのデジタルプラットフォームサービス規制について

 

タイのデジタルプラットフォームサービス規制について

2024年3月29日
One Asia Lawyers タイ事務所

ニュースレターの目的

本ニュースレターは、タイのデジタルプラットフォームサービス規制について特に勅令の内容に焦点を当て、国内外の事業者に課されるタイ電子取引開発庁(Electronic Transactions Development Agency、以下「ETDA」)への事前届出義務、デジタルプラットフォームサービスの定義及び種別、提出期限、及びその他主な義務等について解説することを目的としています。

勅令:

事前届出が義務付けられるデジタルプラットフォームサービスの運営に関する2565(2022)年勅令(以下、「勅令」)及びその下位規則が2023年8月21日に施行され、デジタルプラットフォームサービスを提供する事業者はETDAへの事業開始前の事前届出及び事業開始後の一定事項の届出が義務付けられることになりました。

本勅令はタイ国内の事業者だけでなく、以下の特徴を有するタイ国外からデジタルプラットフォームサービスを運営する事業者にも適用され、ETDAへの届出義務が課せられています。

  • コンテンツの全部または一部をタイ語で表示している場合。
  • 拡張子「.th」または「.ไทย」、タイを意味するその他の名称、またはタイ語のドメイン名を使用している場合。
  • THB通貨での支払いオプションを要求または許可している場合。
  • タイ法を準拠法としている場合、またはデジタルプラットフォームサービスに関連する紛争解決方法としてタイの裁判所での解決を条件としている場合。
  • タイ国内のユーザーが事業者のデジタルプラットフォームサービスにアクセスしやすくするため、検索エンジンのプロバイダーにサービス料を支払っている場合。
  • タイ国内のユーザーをサポートするために、タイに拠点や人員を配置している場合。
  • その他、当局の定める特徴を有している場合。


なお、タイ国外のデジタルプラットフォームサービス事業者による事前届出の際、現地コーディネーター(連絡窓口)を設置する必要がありますが、タイ国内での拠点の有無については問われません。つまり、タイ国外の事業者によるタイでの法人登記は不要で、当局からの連絡窓口として対応可能な法人または個人を選任し所定の様式で当局に届け出ておくことが求められます。

デジタルプラットフォームサービスの定義:

勅令第3条によれば、「デジタルプラットフォームサービス」とは、報酬の有無を問わず、コンピュータネットワークを通じて、電子的取引を目的として、事業者、消費者またはサービス利用者間のマッチングを促進するためにデータを管理する電子媒体を提供するサービスと定義されています。ただし、デジタルプラットフォームサービス事業者またはその関連会社が、デジタルプラットフォームサービス事業者が運営するプラットフォーム上で、商品またはサービスを提供する場合は、勅令の適用対象外となっています。つまり、小売業者のように自社のプラットフォーム上で自社(または関連会社)により商品が販売される場合には、勅令で定めるデジタルプラットフォームサービスには該当しないことを意味します。例えば、Uniqloのオンラインショップ、Centralデパートのオンラインショップ、Topsスーパーマーケットのオンラインショップは、事業者がデジタルプラットフォームであるオンラインショップを経由してユーザーや顧客に商品やサービスを直接販売しており、このような場合は勅令の適用対象外であるといえます。ただし、後述の通り、例えば小売業者のオンラインショップ上に、ウェブボード(電子掲示板)やバナー等による他社の広告が掲載されているオンラインショップは、勅令で定めるデジタルプラットフォームであるとみなされるため、注意が必要です。

なお、勅令の下位規則では、デジタルプラットフォームサービスの例として、オンラインマーケットプレイス、シェアリングエコノミー、オンラインコミュニケーション、ソーシャルメディア、広告サービス、オーディオビジュアル及び音楽の共有、検索ツールなどがデジタルプラットフォームサービスに該当すると明記されています。

デジタルプラットフォームサービスの種別:

ETDAはデジタルプラットフォームサービスを大きく以下の2つのグループに分類し、それぞれのグループに対し異なる届出書の提出を求めています。小規模デジタルプラットフォームサービスについては、後述するとおり簡易な内容の届出で足りることになっています。

No. デジタルプラットフォームサービスの種別 略式フォーム 本式フォーム
1 小規模デジタルプラットフォームサービス  
2 総合デジタルプラットフォームサービス*[1]  

 

上記1及び2のデジタルプラットフォームサービスの基準は以下の通りです。

No. デジタルプラットフォームサービスの種別 基準
1 小規模デジタルプラットフォームサービス

小規模デジタルプラットフォームサービス:

  • 事業者(法人)の年間売上高が5,000万バーツ以下であり、かつ月間平均アクティブユーザー数(AMAU)が5,000人以下である。

影響が小さいデジタルプラットフォームサービス:

  • ウェブボード、ハイパーリンク、またはバナー等で構成される電子サービス(例:Apple Support CommunitiesやReddit web board等)
2 一般デジタルプラットフォームサービス
  • 事業者(法人)の年間売上高が5,000万バーツを超えている、または月間平均アクティブユーザー数(AMAU)が5,000人を超えている。

届出書の様式:

事前届出書には、前述のとおり、略式と本式の2種類があります。

略式フォームには、事業者、デジタルプラットフォームサービス、及び現地コーディネーター(国外の事業者のみ)に関する基本情報が必要となり、事業者の名前、住所、法人登記番号、サービス名、提供されるデジタルプラットフォームサービスの種別、デジタルプラットフォームが提供されるチャネル(URL等)などの詳細が含まれます。

他方、本式フォームは略式届出に求められる情報に加え、ユーザータイプ、ユーザー数等のユーザー情報[2]や、デジタルプラットフォームサービスに関連する最も頻繁に報告された苦情(上位5つ)に関する情報などが含まれます。

また、デジタルプラットフォーム事業者には当局への年次報告義務が課されており、一般デジタルプラットフォームサービス事業者については上記事前届出書記載の情報、小規模デジタルプラットフォームサービス事業者については、事前届出書の情報に加え、デジタルプラットフォームサービス上で成立した取引額、タイ国内でのデジタルプラットフォームサービス提供による収入、及びユーザー数等を、会計年度の末日から60日以内(事業者が法人の場合)に当局所定の書式にて年次報告をすることが義務づけられています。

届出期限:

届出書の事前提出期限は、デジタルプラットフォームサービスの種別により異なります。

<2023年8月21日以前にサービスの提供を開始した事業者>

  • 小規模デジタルプラットフォームサービス:2024年8月20日
  • 一般デジタルプラットフォームサービス:2023年11月18日

< 2023年8月21日以降にサービスの提供を開始した事業者>

  • 小規模及び一般デジタルプラットフォームサービス共に、サービスの提供開始前まで。

期限までに届出を行わない場合、違反が発覚した法人は10万バーツ以下の罰金、1年以下の懲役、または併科となる可能性があります。また、両罰規定により法人の取締役(署名権限を問わない)及び当該事業に従事するマネージャー等も法人と同様、罰せられる可能性があります。

提出方法:

届出書は、ETDAオンラインポータルまたはETDA事務局で提出可能となっています。

事業者に課されるその他の義務:

届出書の提出に加え、デジタルプラットフォームサービス事業者は以下の義務も有しています。

 その他の主要な義務

デジタルプラットフォームサービスの種別

小規模デジタルプラットフォームサービスサービス

一般デジタルプラットフォームサービス

(1)[3]

(2)[4]

(3)[5]

(4)[6]

(5)[7]

サービス利用者に対する条件の告知。

×

×

×

×

×

被害の監視及び補償に関する手順と方針、及び保険契約に関する通知。

×

×

当局への営業停止に関する期限内の通知。

デジタルプラットフォームサービス利用開始後の顧客サービス計画及び方針に関するETDAへの通知。

各ユーザーへの営業停止の告知。

まとめ:

デジタルプラットフォームサービス事業者は、勅令およびその下位規則に従い以下の対応を行う必要があります。

  1. 現在の事業内容がデジタルプラットフォームサービスの定義に該当するかどうかを評価する。
  2. デジタルプラットフォームサービスの定義に該当する場合、勅令およびその下位規則で課される義務を確認するため、自社の事業に適用されるデジタルプラットフォームサービスの種別を特定する。ただし、事前届出義務は、種別を問わず、全てのデジタルプラットフォームサービスに適用されるためご留意下さい。

 

[1]勅令において一般デジタルプラットフォームサービスはさらに、(1)一般デジタルプラットフォームサービス、(2)商業デジタルプラットフォームサービス/検索エンジンデジタルプラットフォームサービス、(3)大規模デジタルプラットフォームサービス、(4)特定の事項に潜在的なリスクをもたらすデジタルプラットフォームサービス、(5)重要な事項に影響を与えるデジタルプラットフォームサービスの5つに分類されます。
[2] ユーザー情報については勅令の施行前にデジタルプラットフォームサービスの提供を開始している場合にのみ必要となる。
[3] 一般デジタルプラットフォームサービス
[4] 商業デジタルプラットフォームサービス/検索エンジンデジタルプラットフォームサービス
[5] 大規模デジタルプラットフォームサービス
[6] 特定の事項に潜在的なリスクをもたらすデジタルプラットフォームサービス
[7] 重要な事項に影響を与えるデジタルプラットフォームサービス