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ラオスにおける協調融資(Syndicated Credit)について

2026年05月09日(土)

ラオスにおける協調融資についてのニューズレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
協調融資について

 

 

ラオスにおける協調融資(Syndicated Credit)について


                                                                                                                            2026 年5月5日
                                                                                            One Asia Lawyers Groupラオス事務所

1.背景

従来、ラオスでは協調融資そのものに関する包括的な規定は、商業銀行法上明確ではありませんでした。一方で、2025年11月3日付で公布された「商業銀行の貸出範囲に関するラオス中央銀行総裁合意(No. 1062)」においては、貸出上限規制の例外措置として、「co-lender」および「co-financing」への言及が盛り込まれています。

具体的には、国家社会経済開発計画に基づく優先インフラ案件について、貸出上限規制を超える資金需要が生じる場合には、商業銀行が他の金融機関との共同融資(co-lending)を模索することが想定されています。

このような状況を踏まえ、ラオス中央銀行は、2026年4月9日付で、協調融資を独立して包括的に規律する新たな法令「協調融資(Syndicated Credit)に関するラオス中央銀行総裁合意(No. 310)」(以下「本合意」)を公布しました。

本合意の制定により、複数の金融機関による協調融資の制度的位置づけ、関係当事者の役割分担、融資実行手続、担保管理体制等が明確化され、今後、大型案件や外国投資案件における資金調達環境の一層の整備が期待されます。

2.協調融資の基本構造について

協調融資とは、2機関以上の金融機関(ただし、商業銀行以外の金融機関のみで2機関を構成することは認められない)が、一の借入人に対して、協調融資契約に定められた条件に基づき共同で融資を行う仕組みをいいます(第2条)。

協調融資に任意で参加する金融機関(以下「参加金融機関」)は、「協調融資グループ」を構成し、融資の評価・決定およびその結果について共同で責任を負います(第7条)。

(1)主幹銀行(Lead Bank)
顧客審査から契約締結、融資実行、事後管理までを担う協調融資の中核的役割を担います。具体的には、顧客の適格性審査、事業計画の分析、経歴・背景の確認、返済能力の評価等を行います(第9条)。

(2)取次銀行(Correspondent Bank)
融資の実行状況および契約に基づく進捗について、参加金融機関へ定期的に報告し、顧客情報の共有を行います。また、顧客から元本、利息および手数料を受領し、契約に従い各参加金融機関へ分配します。さらに、顧客の事業状況を継続的に監督し、問題が生じた場合には必要な対応を行い、その内容を報告します(第10条)。

(3)担保管理銀行(Security Bank)
担保の受領、保管および管理を行い、顧客が契約に違反した場合には担保を実行する権限を有します(第11条)。

3.協調融資グループの設立について

協調融資グループは、以下の原則に従って設立・運営されます(第7条)。

(1)協調融資への参加は任意とされ、参加金融機関は顧客への融資について共同で評価・決定を行い、その結果について共同で責任を負います。

(2)各参加金融機関は、契約で定められた割合に応じて融資を実行し、利息および手数料等の利益を受ける権利を有するとともに、費用およびリスクを共同で負担します。ラオス国内の金融機関については、ラオス中央銀行の規制に従うものとします。

(3)協調融資グループの合意により、主幹銀行は取次銀行または担保管理銀行の役割を兼ねることができ、取次銀行も担保管理銀行の役割を兼ねることが可能です。

4.協調融資に関する許可について (第20条)

(1)外国に所在する金融機関が協調融資に参加する場合
協調融資契約を締結する前に、主幹銀行が代表してラオス中央銀行商業銀行管理局(以下「中銀」)の許可を取得する必要があります。融資申請者は、通常外国から借入を行う場合に取得することが義務づけられている中銀からの許可を取得する必要はありません。

(2)ラオス国内に所在する金融機関が協調融資に参加する場合
協調融資への参加承認を受ける前に、中銀の許可を取得する必要があります。複数の金融機関が同一の協調融資グループとして案件に参加する場合には、個別許可の取得のほか、包括的許可の取得も可能です。

5.まとめ

インフラ、エネルギー、経済特区、不動産開発など多額の資金需要を伴う案件において、今後協調融資の活用可能性は高まるものと考えられます。

以上

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

 


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