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インドネシア:AHUが企業に対する年次報告書提出制度の運用を開始 ~MOL 49/2025に基づく新たなコンプライアンス対応が本格化~

2026年06月16日(火)

「AHUが企業に対する年次報告書提出制度の運用を開始 ~MOL 49/2025に基づく新たなコンプライアンス対応が本格化~」に関するニューズレターを発行いたしました。こちらの内容は以下のPDFからもご覧いただけます。
HUが企業に対する年次報告書提出制度の運用を開始 ~MOL 49/2025に基づく新たなコンプライアンス対応が本格化~

AHUが企業に対する年次報告書提出制度の運用を開始
MOL 49/2025に基づく新たなコンプライアンス対応が本格化~

2026年6月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士 馬居 光二
インドネシア法弁護士 Prisilia Sitompul
インドネシア法弁護士 Achmad Firmansyah
インドネシア弁護士/イングランド・ウェールズ事務弁護士 Mohammad Irham

1. はじめに

インドネシア法務省法務総局(Direktorat Jenderal Administrasi Hukum Umum:AHU)は、2026年6月1日付で、有限責任会社(Perseroan Terbatas)の年次報告書(Laporan Tahunan)の提出手続を法務行政システム(SABH)上で開始したことを公表しました。
本公表(以下「AHU公表」)は、2025年に制定された法務大臣規則2025年49号(以下「MOL 49/2025」)により導入された年次報告書提出制度の実務運用開始を示すものとして注目されます。
MOL 49/2025は2025年12月に施行されていましたが、これまで実際の提出システムや運用方針は明らかになっておりませんでした[1]。今回の公表により、提出開始時期や今後の制裁適用スケジュールが初めて具体的に示されました形となります。

2. AHU公表の主な内容

AHU公表は主に以下の点を記載しております。
(1) 年次報告書の提出受付を開始
2026年6月1日より、各企業はSABHを通じて年次報告書を提出できるようになりました。
(2) 当面は提出手数料なし
現時点では、年次報告書の提出に関する国家非税収入(PNBP)は課されていません。
ただし、今後新たな政府規則が制定された場合には、手数料が導入される可能性があります。 
(3)
経過措置の適用
AHUは、通常であれば30日の有効期間を経過した会社関連の公正証書についても、当面は年次報告書提出のために利用できることを明らかにしています。
(4) 現時点では行政制裁なし
年次報告書未提出に対する行政制裁は、現時点では適用されないとされております。
もっとも、AHUによれば、以下のような手続を行う際に、年次報告書を確認する運用が開始されるとされております。

・取締役(Direksi)の変更
・監査役(Komisaris)の変更
・株式譲渡
・株主名義変更

そのため、未提出の会社については、将来的に各種登記・届出手続に影響が生じる可能性があります。
(5) 202611月から行政制裁を開始予定
AHU公表においては、年次報告書提出義務違反に対する行政制裁を2026年11月から適用する予定である旨が記載されております。
ただし、制裁内容の詳細については現時点では明らかにされていません。

3. 実務上の影響

インドネシア会社法上、取締役は毎事業年度終了後に年次報告書を作成し、株主総会の承認を取得する義務を負っています。
もっとも、従来は年次報告書を政府機関へ提出する運用が実質的に行われておらず、多くの企業にとって年次報告書は社内管理文書として取り扱われていました。
今回の制度運用開始により、年次報告書は単なる社内文書ではなく、AHUへの提出を要する法令遵守事項として位置付けられることになります。
特に、取締役変更や株式譲渡などのコーポレートアクションを予定している企業は、自社の年次報告書作成・提出状況を早期に確認しておくことが望まれます。

4. 結論

今回のAHU公表は、新たな法令を制定するものではありません。しかしながら、MOL 49/2025によって導入された年次報告書提出制度が、実際の行政運用および将来的な制裁適用に向けて動き始めたことを示す重要な発表といえます。
現時点では制裁は適用されていないものの、AHUは既に一部のコーポレートアクションにおいて年次報告書の提出状況を確認する運用を開始しています。
また、外資系企業(PMA)についても適用除外は設けられておらず、インドネシア子会社を有する日本企業は対応が必要となります。
そのため、企業としては2026年11月の行政制裁開始を待つのではなく、早期に対応体制を整備し、今後公表される詳細な運用指針や制裁内容を継続的に注視することが重要となります。

[1] MOL 49/2025の内容については、こちらのニュースレターをご参照ください。