ラオスにおける対外貸付・借入について
ラオスにおける対外貸付・借入についてのニューズレターを発行しました。
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ラオスにおける対外貸付・借入について
2026 年9月9日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景
対外貸付・借入については、2019年にラオス中央銀行(以下「BOL」)が発行した「ラオスへの資金の輸出入及び対外貸付・借入並びに貿易信用に関する合意(No.453)」により規定されています。
BOLは、対外貸付・借入及び貿易信用に関する規定を改正し、「対外貸付・借入に関するBOL総裁による合意(No.707)」(以下「合意」)を2026年8月5日付で発行しました。
対外貸付・借入を行うにあたりBOLの許可が必要である点は、従来のNo.453から変わりません。従来のNo.453が主に許可申請の手続及び必要書類について規定していたのに対し、合意は、新たに対外貸付・借入を「直接的な対外貸付・借入」と「間接的な対外貸付・借入」に分類し、それぞれについて具体的な貸付・借入条件の規定を設けています。加えて、合意では、対外借入により流入した外貨の一部をキープに両替することを義務付ける「強制両替ルール」が新たに導入されました(第22条)。これは、近年ラオス政府が一貫して進めてきたキープの安定と外貨確保に向けた政策の延長線上に位置づけられる規定と言えます。
本ニュースレターでは、合意の主な内容を整理するとともに、企業が対外貸付・借入を行う際に実務上留意すべきポイントについて解説します。
2.対外貸付・借入について
(1)対外貸付・借入の分類(第5条)
対外貸付・借入は、直接的な貸付・借入と間接的な貸付・借入に分類されます。
直接貸付・借入:資金の貸付又は借入からなる
間接貸付・借入:外国での社債の発行・売出、担保の差入れ・受入れ、及び1年を超える貿易信用(Trade Credits and Advances)の供与・受入れが含まれる。
(2)直接貸付・借入の申請条件
直接貸付・借入を行おうとする個人・法人は、BOL外国為替管理局に対して、許可申請書及び必要書類を提出し、事前に許可を取得する必要があります(第7条)。
BOLは、必要書類がすべて揃った申請を受理した後、原則として15営業日以内に許可証を発行します。ただし、貸付・借入の金額が50,000,000米ドルを超える場合は、審査に最大30営業日を要することがあります(第10条)。
①貸付の条件(第8条1項)
貸付を行う場合の条件は、以下の表のとおりです。貸付を行う者が個人であるか法人であるかによって、適用される条件が異なります。
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項目 |
個人 |
法人 |
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外貨原資の保有 |
貸付に充てる自己資金としての外貨原資を有すること(貸付のために借り入れた資金は不可) |
同左 |
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貸付先の要件 |
貸付先が、貸付人の事業と直接関連し、かつ外国への投資が認められている親会社、子会社又はグループ会社であること |
― |
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事業実績 |
― |
3年以上の事業実績があること |
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登録資本金 |
― |
関係法令・規則に従い登録資本金を全額払込んでいること |
|
国内銀行口座 |
― |
ラオス国内の銀行に口座を保有し、6か月以上の取引実績があり、かつ、直近2か月以上、貸付に充てる金額の2倍を下回らない残高を有すること |
|
金額上限 |
貸付限度額が20万米ドル又は相当額を超えないこと |
― |
②借入の条件(第8条2項)
借入の条件は、以下の表のとおりです。借入者が個人か法人かによって、条件が異なります。
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項目 |
個人 |
法人 |
|
登録資本金 |
― |
関係法令・規則に従い登録資本金を全額払込んでいること |
|
金額上限/自己資本比率 |
借入額が30万米ドル(又はその相当額)以下であること |
外貨収入の場合:総資本金額の75%を超えないこと |
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金利 |
国際市場の基準金利と同水準又はこれに近い水準とすること |
国際市場の基準金利と同水準又はこれに近い水準とすること |
|
通貨 |
― |
借入通貨と返済通貨は同じ通貨であること |
|
監査報告書 |
― |
借入残高の累計額と新規借入額の合計が1億米ドル以上となる場合、国際的に認められた外部監査法人による監査報告書の提出が必要 |
(3)直接貸付・借入の必要書類
直接貸付・借入の申請書類は次のとおりです。
①貸付・借入共通書類(第9条1項):
・BOL外国為替管理局所定様式の申請書
・借入契約書(ドラフト)
・貸付・借入に関する株主総会又は取締役会の決議書
・ 企業登録書の写し
・事業許可証、投資許可証及び/又はコンセッション契約書の写し(該当する場合)
・10万米ドル又は相当額以上の大規模な対外借入国家プロジェクトの場合、国民議会からの対外借入承認議事録
・直近の登録資本金輸入証明書の写し(外国籍の法人の場合)
・過去に受けた借入承認書及び関連書類の写し(既往の許可がある場合)
・委任状(申請手続を第三者に委任する場合)
②貸付にかかる追加書類(第9条2項):
・借手と貸手のビジネス関係を示す書類
・直近6か月分の銀行取引明細(Bank Statement)
・ 5千万米ドル又は相当額以上の貸付の場合、国際的に認められた外部監査法人による監査を経た直近3年分の会計報告書または財務諸表
・送金計画および資金回収計画
③借入にかかる追加書類
・資金の受入計画
・借入金の使途計画および返済計画
・借入申請者の収支計画
(4)間接貸付・借入の要件
ラオスに居住している個人・法人で、外国での社債の発行・売出、担保の差入れ・受入れ、または期間1年を超える貿易信用の提供・受入れを目的とする者は、BOL外国為替管理局に許可申請書と関係書類を提出しなければなりません。
(5)間接貸付・借入申請に必要な書類(第16条):
①貸付・借入共通書類:
・BOL外国為替管理局所定様式の申請書
・企業登録書の写し
・事業許可証、投資許可証及び/又はコンセッション契約書の写し(該当する場合)
・10万米ドル又は相当額以上の大規模な対外借入国家プロジェクトの場合、国民議会からの対外借入承認議事録
・直近の登録資本金輸入証明書の写し(外国籍の法人の場合)
・過去に受けた借入承認書及び関連書類の写し(既往の許可がある場合)
・委任状(申請手続を第三者に委任する場合)
②外国での社債の発行・売出に関する追加書類:
・ 社債発行に関するラオス証券取引管理委員会からの許可および承認証の写し
・ 社債売出し計画・資金使途計画・返済(利息も含む)計画
③担保に関する追加書類:
・担保契約書(ドラフト)
・担保に係る費用・手数料の負担計画
④貿易信用の授受に関する追加書類:
・ 貿易信用契約書(ドラフト)
・貿易信用に係る輸出入(受払)計画
・貿易信用の受払・決済計画
3.罰則規定
合意第26条は、対外借入人が行ってはならない禁止事項を定めています。その第1項では、BOL(外国為替管理局)の許可を得ずに対外借入を行うことが禁止されています。
これらの禁止事項に違反した場合、軽微な違反でかつ初回の違反であれば、教育的指導および/または文書による警告がなされます。警告を受けた後も是正せず、又は再度違反した場合には、違反の内容に応じて過料が科されます。
特に注意が必要なのは、上記第26条第1項(無許可での対外借入の禁止)です。対外借入を行う際は、ローン契約書に当事者が署名する前に、そのドラフトをBOLへ提出して許可を取得する必要があります。署名前のドラフトを提出せず、許可を得ないまま借入を実行した場合には、「無許可での対外借入」として第26条第1項違反とみなされ、借入契約額の10%に相当する過料が科されます(第28条)。
したがって、対外借入を行う場合には、ローン契約書に署名する前に、必ずそのドラフトをBOLへ提出し、許可を取得しておく必要がある点に留意する必要があります。
4.日系企業への影響
今回の合意により、対外借入を行う企業には、新たに「強制両替ルール」が設けられました(第22条)。
具体的には、外貨で対外借入を行った場合、借入人は、その入金日に、入金額の少なくとも10%を、借入金の受取口座を開設した商業銀行において、キープに両替しなければなりません(ただし、債務再編のための借入等は除きます)。
このルールにより、外貨で借り入れても、その全額を外貨のまま口座に預金しておくことはできなくなります。なお、この強制両替を怠った場合、商業銀行が翌営業日に借入人の口座から両替を実行することとされており(第25条4項)、留意が必要です。
以上
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)

