タイ:タイ中央銀行、現金取引の確認強化へ
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タイ中央銀行、現金取引の確認強化へ
2026年10月8日
One Asia Lawyersタイ事務所
藤原 正樹(弁護士・日本法)
マーシュ 美穂
タイ中央銀行は、「金融機関および特殊金融機関の現金関連取引に係るリスク管理基準」に関する告示案(以下「本告示案」といいます。)を公表しています。本告示案は、金融機関による現金取引のリスク管理を強化するものです。
現行のタイ中央銀行告示第16/2569号「金融機関の現金関連取引に係るリスク管理基準」(以下「現行告示」といいます。)では、支店窓口での現金引出しと、現金で受け取ることができる小切手の現金化を対象としており、これらの取引が1日当たり500万バーツ以上となる場合には、厳格な顧客管理措置(Enhanced Customer Due Diligence:EDD)の実施が求められています。
本告示案では、これらに加え、現金の預入れや紙幣の両替なども規制対象となります。また、顧客の普段の取引状況などに照らして不自然な現金取引については、500万バーツ未満でも厳格な確認の対象となる可能性があります。そのため、企業は、これまで対象とされていなかった種類の現金取引や、500万バーツ未満の取引についても、銀行から資金の出所や取引目的に関する追加の説明・資料提出を求められる可能性があります。
1. 規制対象となる取引の拡大
2026年4月1日に施行された現行告示では、支店窓口での現金引出しおよび、口座への入金に限定されず現金で受け取ることができる小切手の現金化について、金融機関にリスク管理措置を義務付けています。本告示案では、これらに加え、次の取引も対象となります。
- ・現金の預入れ
- ・タイバーツ紙幣の両替
- ・小切手・為替手形の発行に伴う現金の受領
- ・外貨紙幣の売買・両替
また、本告示案では、適用対象となる機関も拡大されます。従来の商業銀行などの金融機関に加え、政府の政策を担うために個別の法律に基づいて設立された「特殊金融機関」[1]も対象となります。
2. 500万バーツ未満でも確認対象に
現行告示では、1日当たり500万バーツ以上の現金取引について、厳格な顧客管理措置(EDD)の実施が求められています。本告示案では、顧客の普段の取引状況などに照らして不自然な現金取引についても、金額にかかわらず、厳格な確認の対象となる可能性があります。
そのため、取引額が500万バーツ未満であっても、顧客情報や普段の取引状況と整合しない場合、または取引の合理性や必要性に疑問がある場合には、資金の出所や取引目的に関する説明・資料提出を求められる可能性があります。
3. 現金取引を行う企業への影響
本告示案は、企業の現金取引を一律に禁止するものではなく、金融機関による確認とリスク管理を強化するものです。企業にとっては、主に次の影響が想定されます。
- ・資金の出所や取引目的について、追加の説明や裏付け資料の提出を求められる。
- ・高額の現金取引について、より安全で追跡可能な非現金決済手段の利用を促される。
- ・必要な情報や説明が不十分な場合、銀行が取引を拒否する可能性がある。
また、銀行がEDDを完了できない場合でも、顧客の合理的な説明と正当な必要性を踏まえて例外的に取引を認める場合、本告示案では、支店長より上位の管理職による承認と、当該顧客の重点的な監視も求められます。
4. 施行状況について
本稿で紹介した内容は、正式に施行された規制ではなく、意見募集の対象となっている告示案です。2026年10月の施行が予定されているとされていますが、正式な公布内容および施行日は別途確認する必要があります。
本件に関してご質問がございましたら、One Asia Lawyers タイ事務所までお気軽にお問い合わせください。
[1] タイ政府貯蓄銀行(GSB)、タイ政府住宅銀行(GHB)、タイ中小企業開発銀行(SME Bank)など

