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ラオスにおける企業登録後の義務違反に対する措置について

2019年10月26日(土)

ラオスにおける企業登録後の義務違反に対する措置について報告いたします。
→義務違反に対する措置について

 

企業登録後の義務違反に対する措置について

2019 年 10 月 25 日
One Asia Lawyers ラオス事務所
藪本 雄登
内野 里美

1.背景

 2019年2月1日から施行されている企業登録に関する合意(No.0023/MOIC.ERA)により、企業登録時における関連当局による審査項目や必要書類が大幅に削減されることになり、会社設立にかかる煩雑な手間は解消されつつあります。

 他方、商工業省は、企業設立後に会社に義務付けられている会社の活動報告や事業許可取得に関する規定に関して、これまでは運用上、緩やかに適用、執行していた状況でしたが、それらを見直し、2019年9月5日付において、企業登録後の会社に課せられる義務違反に関する措置に関するガイドライン(以下、「ガイドライン」)を発行しています。

2.ガイドラインについて

 今回、商工業省は、会社設立後に合法的に会社が運営されているか管理することを目的として、同ガイドラインを発行しました。企業が定められた義務を怠った場合に対する関連当局によって講じられる措置を以下のとおり規定しています。すでに、これらの措置の対象となる100社を超える企業が商工業省の管理するウェブサイト上で、公開されています。

1)年次報告を行うことなく、これまで事業活動を行っていない場合

 商工業省企業登録管理局ウェブサイト(www.ned.gov.la)およびFacebookサイト上で、企業名等を公開し、期限内の改善を求める(最大60日以内)と同時に一時活動停止を命じています。

 期限を過ぎても、正当な理由なく、解決を図らない場合、当局は、永久的活動停止を当該企業に対して命じます。永久的活動停止を受けた企業は、実在しない会社として、「Abandoned Enterprise List(以下、「AEL」)に5年間登録され、その後、会社法第72条に則り、企業登録情報は完全に抹消されます。

2)企業登録後90日以内に事業活動報告を関連当局に行わない場合、年次報告を行わない場合

 商工業省企業登録管理局ウェブサイト(www.ned.gov.la)およびFacebookサイト上で、企業名等を公開し、期限内の改善を求める(最大60日以内)と同時に一時活動停止を命じます。正当な理由ががる場合は、関連当局に申し出て、改善に関する覚書を交わします。

3)事業許可証又は投資許可証を取得していない場合

 商工業省企業等登録管理局ウェブサイト(www.ned.gov.la)およびFacebookサイト上で、企業名等を公開し、期限内の改善を求める(最大60日以内)と同時に一時活動停止を命じます。正当な理由なく解決を図らない場合、実在しない会社として、AELに1年間登録され、その後、会社法第72条に則り、企業登録情報は完全に抹消されます。正当な理由がある場合は、関連当局に申出て、改善に関する覚書を交わします。

4)資本金が未振り込みの場合(外国人投資家の場合)

 商工業省企業等登録管理局ウェブサイト(www.ned.gov.la)およびFacebookサイト上で、企業名等を公開し、期限内の改善を求めます(最大60日以内)。正当な理由なく、投資奨励法第53条(一般事業の資本の輸入)及び会社法第177条(一人会社の場合の出資及び株の譲渡)に従わない場合は、当局は、活動一時停止措置を命じます。正当な理由がある場合は、関連当局に申し出て、改善に関する覚書を交わします。

5)株主リストの未提出の場合

 商工業省企業等登録管理局ウェブサイト(www.ned.gov.la)およびFacebookサイト上で、企業名等を公開し、期限内の改善を求めます(最大60日以内)。正当な理由なく、会社法第112条(株主登録リスト)の規定に従わない場合、当局は、会社登録情報の変更は認めません。正当な理由がある場合は、関連当局に申し出て、改善に関する覚書を交わします。

6)企業看板を設置していない場合、適切でない会社名を使用している場合、会社閉鎖後も看板を外さない場合

 会社法第216条(看板の未設置又は不適切な会社名の使用)及び第218条(会社閉鎖後の看板の使用)の罰則規定に従い罰金を科します。

7)事業許可書又は投資許可証のコピーを関連当局に提出していない場合

 企業登録書の発行元に申し出て、期限内に許可書のコピーを提出することの覚書を交わします。