ネパールの投資環境および投資規制について

2020年10月15日(木)

ネパールの投資環境および投資規制についてニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

ネパールの投資環境および投資規制について

 

 

ネパールの投資環境および投資規制について

2020年10月14日

One Asia Lawyers

南アジアプラクティスチーム

1 はじめに ネパールの基礎知識

 

ネパールでは 1996 年から 2006 年まで紛争が続いていましたが、その後の民主化運動を経て、政府は 2013 年からインフラ整備などの計画を進めています。しかしながら、このような状況の中、2015 年 4 月に起きた ネパール大地震の影響は甚大でした。ネパール政府は地震からの復興をめざし、外国企業による投資を誘致する活動を積極的に行っています。ネパールは、急成長している経済大国 インドと中国の間に位置し、地理的な重要な拠点となっています。また、ネパールは北側の山岳と南側の平野地帯で構成されており、豊富な水資源に恵まれており、水力発電のポテンシャルが非常に高いといわれています。ヒマラヤ、湖、河川、 生物多様性などの自然遺産が豊富で、観光、トレッキング、エコツーリズム等の可能性もあります。ネパールの人口は約 3,000万人、労働人口(15 歳から 65 歳)が 6 割以上を占めており、首都圏や都市部を中心に英語が話せる人の割合が高く、人件費は近隣国と比較して廉価です。以上のような観点から、今後のネパールの発展が期待されています。

 

 (1)  地理について

ネパール連邦民主共和国は,国土面積14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍)の内陸国です。地理的には東西に長く南北に狭いです。世界最高峰のエベレスト(標高8,848m)擁するヒマラヤ山脈から標高100mにも満たないタライ平原まで急激に高度が変わるのが特徴です。首都のカトマンドゥはこの落差激しい南北の中間の丘陵エリアにあり,標高はおよそ1,400mです。北はヒマラヤ山脈に沿って中国と,南は肥沃な平野部でインドと長い国境を接しており,急成長する両大国の大規模な市場へのアクセスが容易です。インドとの間では無関税アクセスが,中国へは約8,000品目の無関税アクセスが認められています。

またヒマラヤ山脈に代表される世界的な観光資源に恵まれているほか,その豊富な水量・急峻な地形を利用した水力発電の高いポテンシャルが見込まれています。

 

(2)  人口・民族・言語について

人口約3,000万人を擁し,その57%が生産年齢人口にあります。安価で豊富な労働力があるのが強みとなっています。

 

<人口動態[1](人)>

1990

1995

2000

2005

2010

2015

2018

18,905,478

21,576,071

23,941,110

25,744,500

27,013,212

27,015,031

28,087,871

100以上の民族が暮らし,言語も90を超えるとされていますが,公用語はネパール語です。英語教育が施されており,ビジネス関係者は英語話者が多いです。

 

(3)  宗教・暦について

ヒンドゥー教徒が最も多く(81.3%),仏教徒(9.0%),イスラム教徒(4.4%)と続きます。ヒンドゥーと仏教の混合も見られます。現在,ヒンドゥー教は国教ではありません。

正式な暦としてビクラム暦が使われています。西暦(グレゴリオ暦)と同じく1年は365日で12の月に分かれていますが,各月の日数は流動的であり,西暦とは新年も年度の区切りも異なります[2]。公的手続の際には留意する必要があります。

 

(4)  国家・政治体制について

1996年からおよそ10年間続いた内戦の末,2008年に王政が廃止されました。現在は複数政党による連邦民主共和制です。国家元首は大統領とされますが,議会に選出された首相が行政の長として議会に責任を負います。連邦議会は上下院からなります。国土は7つの州に分割されており,各州に州議会が置かれています。

 

<行政区分[3]

Provinces[4]

州都

Districts

人口(2011

GDP寄与率(2018/19)[5]

第1州

Biratnagar

14

4,534,943

15%

第2州

Janakpur

8

5,404,145

13%

Bagmati州(旧第3州)

Hetauda[6]

13

5,529,452

41%

Gandaki州

Pokhara

11

2,403,757

8%

Lumbini州

Bhalubang

12

4,499,272

13%

Karnali州

Birendranagar

10

1,570,418

4%

Sudurpaschim州

Dhangadhi

9

2,552,517

6%

           

 

(5) 通貨・経済状況について

通貨はネパール・ルピー(NRs)

1ネパール・ルピー=約0.965円(2016/2017年度平均値,ネパール中央銀行(別称ネパール・ラストラ銀行(Nepal Rastra Bank(以下、「NRB」))

 

<主な経済指標と推移[7]

 

2014/15

2015/16

2016/17

2017/18

2018/19

名目GDP(100万NRs)

2,130,150

2,253,163

2,674,493

3,031,034

3,464,319

〃 (100万US$)

21,410

21,186

25,181

29,041

30,501

1人あたりGDP(NRs)

76,201

79,528

93,141

104,152

117,455

〃       (US$)

766

748

877

998

1,034

経済成長率(%)

3.3

0.6[8]

7.9

6.3

6.5

インフレ率(%)

7.2

9.9

4.5

4.2

4.9

US$為替レート

99.49

106.35

106.21

104.37

113.58

 

(6) 産業について

産業別GDP割合は,多い方から農林業が26.50%,卸売業が14.37%,不動産業が11.53%,建設業が7.77%,運送業が7.23%となっています。農業の占める割合はやや減少傾向にある一方で,金融業,不動産業の割合が緩やかに増加しています。

 

<産業別GDP割合(%)[9]

 

2014/15

2015/16

2016/17

2017/18

2018/19

農林業

31.27

31.08

29.14

27.58

26.50

水産業

0.47

0.53

0.51

0.49

0.48

鉱業

0.60

0.56

0.58

0.61

0.60

製造業

6.03

5.82

5.48

5.54

5.59

エネルギー業

1.12

1.02

1.25

1.23

1.25

建設業

7.06

6.80

7.18

7.55

7.77

卸売業

14.69

14.11

13.55

13.95

14.37

ホテル・レストラン業

2.05

2.00

1.95

2.04

2.05

運送業

8.37

8.06

7.55

7.23

7.23

金融業

4.64

5.19

5.54

6.31

6.32

不動産業

8.47

9.21

10.95

11.32

11.53

社会サービス業

2.61

2.54

2.84

2.66

2.71

教育業

6.56

6.82

7.11

7.12

7.06

医療・社会福祉業

1.67

1.62

1.74

1.68

1.75

その他

4.39

4.65

4.63

4.71

4.78

 

2019年3月中旬時点での累計登録企業は210,165社,うち非公開株式会社が206,066社とほとんどを占めます。外国企業は243社となっています。

 

<形態別登録企業[10]

 

2014/15

2015/16

2016/17

2017/18

2018/19

合計

公開株式会社

1,292

55

89

72

44

1,552

非公開株式会社

134,652

14,455

18,139

21,715

17,105

206,066

非営利会社

783

286

396

442

397

2,304

外国企業

100

22

39

49

33

243

 

210,165

 

(7) 外国投資について

2011年に投資庁を設置し,海外向けの投資プロモーションを実施する等[11],外国投資を誘引する姿勢を明確にしています。

 

<過去10年の外国投資額推移>
※グラフはPDFをご覧ください。

 

累積投資額ベースで見る主要な投資分野は,1件あたりの投資額が大きなエネルギー業(42.16%)がトップであり,これに投資件数の多いサービス業(18.72%),製造業(18.60%),観光業(14.10%)が続きます。農業は国内主力産業ですが,累積投資額は2.25%にとどまっています。

 

<産業別外国投資(2018/19までの累積)>

 

件数

外国投資額(100NRs

割合()

農林業

284

6,611.82

2.25

建設業

46

2,983.01

1.02

エネルギー業

81

123,822.97

42.16

IT

59

1,281.02

0.44

製造業

1,167

54,628.47

18.60

鉱業

72

7,981.01

2.72

サービス業

1,610

54,985.00

18.72

観光業

1,503

41,413.38

14.10

合計

4,822

293,706.68

100

 

2018/19年度の時点までの累積投資額で見る対ネパール投資国は,中国(香港,台湾含む)(42%),インド(32.04%)の2カ国が他を大きく引き離し,イギリス(4.61%),韓国(4. 61%),アメリカ(3.09%)と続きます。日本は第8位(1.05%)となっています。

 

2018/19までの上位投資国(累積額)[12]

順位

国名

件数

投資額(100NRs

割合()

1

中国(香港,台湾含む)

1,556

123,363.00

42.00

2

インド

781

94,111.04

32.04

3

イギリス

196

13,549.11

4.61

4

韓国

354

12,323.75

4.20

5

アメリカ

413

9,063.07

3.09

6

シンガポール

51

4,517.39

1.54

7

モーリシャス

11

3,434.70

1.17

8

日本

272

3,076.21

1.05

9

アラブ首長国連邦

20

2,984.51

1.02

10

スイス

60

2,920.01

0.99

 

その他

1,108

24,363.54

8.30

 

合計

4,822

293,706.68

100

 

 

2 ネパールの投資規制について

 

(1) 関係法令

2016年産業企業法(Industrial Enterprises Act 2016、以下「産業法」)が投資一般に関する規定を設け,外国投資については,2019年外国投資・技術移転法(Foreign Investment and Technology Transfer Act 2019(2075、以下「外国投資法」)により規定されています。従って,外国投資の際には、この2つの法律を参照した上で,現地会社関連規制については会社法(Companies Act 2006および2017年改正)に則って設立および運営を行うことになります。

 

(2) 外資規制

外国投資家が現地法人を設立するためには,その事業活動が,(ⅰ)産業法の「産業」(「ポジティブリスト」)の分類に含まれること,(ⅱ)外国投資法のネガティブリストに該当しないという要件を満たす必要があります[13]

 

(ⅰ)産業法上のポジティブリスト

外資に限らず,ネパールで事業を行うためにはIEAに基づく登録が必要となります。登録申請から15日以内に証明書が発行され,この証明書に記載された日から事業を開始することになり,事業開始は報告する義務があります。また、輸出業に関しては,製品のうち少なくとも60%を輸出しなければなりません。

 

ただし,爆発物や武器関係,貨幣の生産に関連する産業,タバコやアルコールに関連する産業,鉱石類の生産や石油掘削に関連する産業,無線通信機器を製造する産業は,産業大臣が議長を務める産業投資促進委員会(Industry and Investment Promotion Board)の許可が必要となります[14]

 

なお,投資家は登録証の記載通りに事業を開始しなければならず,その責任で事業開始の事実を当局に通知しなければなりません。これを怠ると登録が抹消される可能性があります。

 

IEAの列挙する「産業」の分類は下記の通りです。以下をいわゆる「ポジティブリスト」といいます。

 

 固定資産による分類

1

零細産業

(Micro Industry)

-投資家を含む最大9人の従業員

-年間売上高500万NRs以下

-電力適用値20 KV以下

-固定資産500,000NRs以下

2

家内産業

(Cottage Industry)

-伝統的技術を使用していること

-電力適用値20 KV以下

-IEAのAnnex2参照

3

小規模産業

(Small Industry)

-ミクロ産業および家内産業以外の産業で,固定資産が1億NRs以下のもの

4

中規模産業

(Medium Industry)

-固定資産1億NRsを超え2億5,000万NRs以下の産業

5

大規模産業

(Large Industry)

-固定資産が2億5,000万NRsを超える産業

 

 産業別の分類

1

エネルギー産業(Energy based Industry)

水力,風力,太陽光,石炭,天然油,燃料またはガス,バイオマス,および類似のエネルギー生産産業でエネルギーを生成する産業; エネルギー伝送,配送

2

製造業

(Manufacturing industry)

原材料,補助原材料,半加工原材料の利用または加工産業

3

農業・林業

(Agro and Forest based industry)

養蚕・絹の生産,園芸,果物の加工,鳥を含む畜産,乳業,養鶏業,漁業,茶/コーヒーの栽培と加工,ハーブ加工,野菜の種の栽培,野菜の栽培と加工,組織培養,温室,養蜂,蜂蜜生産,ゴム栽培,園芸および生産,冷蔵・農産物市場,リースホールド森林,農林業等の農業または森林製品に基づく産業

4

鉱業

(Minerals based industry)

鉱物の発掘またはその加工に基づく産業,ただし金属を除く

5

建設産業

(Construction

based industry)

道路,橋,トンネル;ロープウェイ,鉄道,路面電車,トロリーバス,ケーブルカー,モノレール,スライディングカー;航空と空港;カンファレンスセンター;廃棄物管理;給水・配水;灌漑;スポーツ複合施設とスタジアム;駐車場と駐車施設;輸出加工区;カーゴ・コンプレックス;下水処理場;経済特区;電話塔,光ファイバーネットワーク,衛星,衛星伝送センター;家屋・団地;映画スタジオ;商業ビル

6

旅行産業

(Tourism based industry)

ツーリストハウス,モーテル,ホテル,リゾート,レストラン; 旅行代理店,ツアーオペレーター,ヒーリングセンター,カジノ,マッサージ,スパ; アドベンチャーツーリズム; ゴルフコース,ポロ,ポニートレッキング,ハイキング; 村落観光,ホームステイ,エコツーリズム; 文化・宗教・会議・スポーツ旅行;エンターテインメント部門;自然保護;マウンテンフライト

7

情報通信産業

(Information, transmission and

communication

 based industry)

テクノロジーパーク,ITパーク,バイオテクノロジーパーク,ソフトウェア開発,コンピューターおよび関連サービス,データ処理,サイバーカフェ,デジタルマッピング,BPO,データマイニング,クラウドコンピューティングなどのIT産業

インターネット,電気通信,テレポートサービス,衛星の設置と運用,衛星伝送センター,VSAT,ブロードバンド,光ネットワーク,衛星ネットワークなどの通信産業

FMラジオ,デジタルラジオサービス,デジタルテレビ,衛星テレビ,ケーブルテレビ,IPTVおよびオンラインサービス,デジタルケーブルテレビ,ネットワーク,自宅直送衛星サービス,MMDSネットワーク,録音スタジオ,印刷メディア,エンターテイメントサービスなどの伝送産業など

8

サービス業

(Service based industry)

ワークショップ,印刷メディア,コンサルティングサービス,ジンニング・ベイリングビジネス,映画撮影,建設ビジネス,公共交通ビジネス,写真,病院,養護施設,教育および訓練機関,図書館および博物館サービス,実験室,航空サービス,スポーツサービス,非農業 冷蔵,家の配線,電気設備およびメンテナンス,廃棄物管理サービス,貨物および宅配便サービス,広告サービス,包装および補充サービス,外国人雇用サービスなど

 

3)外国投資奨励制度

 

外国投資法の規定によれば,外国投資を行うためには,以下の承認を取得する必要があります。

 

(ⅰ)外国投資法第15条に基づく産業省産業局(Department of Industry、以下「DOI」)の承認(「DOI承認」)

 

(ⅱ)外国投資法第16条では,外国投資家は,DOI承認を受け次第,正規の資金源からネパールに送金されることを明記した申告書をネパール中央銀行(NRB)に提出しなければならないと規定されています。したがって,外国投資法によればNRB承認は別途必要ではなく通知で足りると考えられます。

 

ただし,承認権限者は,投資額やプロジェクト費用によって異なります。固定資産60億NRs未満の産業への外国投資の提案は,DOIによって承認される一方,60億NRs以上外国投資またはプロジェクト費用の提案は,ネパール投資委員会(Investment Board Nepal、以下「IBN」 ) (首相を長とするハイレベルの理事会)によって承認されます。外国投資に関する承認制度は,下表の通りです。

 

外国投資額または事業費

申請先

承認者

事前通知

固定資産が60億NRs未満の業種

DOI

DOI

NRB

固定資産が60億NRs以上の業種

DOI

IBN

NRB

 

 

<手続>※図はPDFをご覧ください。

外国投資の承認および現地法人の設立に関する一般的な流れは,以下の通りです。なお,ネパール政府はワンストップサービスセンターを設置しており,現地法人の外国投資登録

申請はすべて同センターを経由して処理されます。

<所要時間>

新会社・新産業の承認・登録にかかる時間は,約60日となっています。ただし,IBNの承認が必要な場合には,最長90日を要することがあります。

 

<最低外国資本金>

ネパール政府は,官報によって外国投資の最低額を5,000万NRsとしています。ただし,この金額は一括で払い込む必要はなく,一般にNRBへの通知日から2年以内に段階的に払い込めばよいことになっています。また,この2年の制約は厳格なものではありません。DOI/NRB等の機関の承認・条件により,そのビジネスにおける資本金の必要性が考慮されます。なお、現地法人設立ではなく、外国法人の支店を設置する場合には、運用上5,000万NRsが免除されています(2020年9月末日現在)。

 

<承認の効果>

外国投資法第43条によると,承認機関による海外投資の承認は,ビジネスがネパール国内に存続している限りは有効であすが,下記の場合に効力を失うとされています。

(a) 合理的な理由なく,承認から2年間で海外投資をネパールへの持ちこみを開始しなかった場合

(b) 登録された承認済海外投資事業の株式売却により,必要な割合の所有率をネパール投資家に移転した場合

(c) 海外投資として承認を受けた産業やその産業のために設立した会社の債務不履行により登録が失効した場合

 

<外国投資額の振替および記録>

(a) 設立前費用

外国企業は,ネパール中央銀行(NRB)への通知前に投資を行うことはできません。ただし,外国親会社は,当該承認前に,適切な銀行チャネルを通じて,現地代表者または代理人の名義で,払込済資本総額の1%を上限として払込をすることができます。この金額は,登録費用および運転前経費に充当され,ネパールの現地会社の登録に伴い資本金として計上されなければならないとしています。

 

(b) 外国投資の払込および記録

現地会社は,ネパールのライセンス「A」(商業銀行)または「B」クラス(開発銀行)の銀行機関に銀行口座を開設することができます。現地会社の取締役会は,その決議により,銀行口座の開設およびその実行を担当する代表者を指名しなければなりません。現地会社のみが外国親会社から資金を受け取り,これをNRBに記録できます。

 

(4) 経済特区(Special Economic Zone (SEZ)

外資の誘引や輸出業の発展を企図して経済特区(Special Economic Zone (SEZ))が指定されています。Bhairahawaが指定されたのを皮切りに,Simara,Panchkhal,Biratnagar,Kaspilvastu,Jumla,Dhangadi,Nuwakot,Nepalgunj,Jhapa,Dhanusha,Rautahat,Siraha,Gorkhaの14のエリアが対象となって順次整備が進められていますが,先んじて整備が行われたBhairahawa を除けば,2019年時点では多くのエリアがまだ運用段階にありません。

 

SEZでは各種の税制上の優遇(期間ないしエリアに応じた所得税全額免除ないし半額免除,VAT免除)がある他,労働法の適用を回避できる(労働組合やストライキの禁止)等のメリットがあります。投資額の下限が指定され,また生産品のうち一定割合の輸出が義務付けられています。

 

経済特区一覧[15]

経済特区名

所在地

面積(ha

Bhairahawa

(第5州)Rupandehi district, Bagaha V.D.C

36.8

Simara

(第2州)Bara district, Simara

564

Panchkhal

(第3州)Hokse V.D.C, Panchkhal

50

Biratnagar

(第1州)Amaduwa V.D.C of district Sunsari and Biratnagar Sub-Metropoli!an city, Morang

200

Kapilvastu

(第5州)Sauraha V.D.C, Kapilvastu

64

Jumla

(Karnali州)Pandugupha V.D.C, Jumla

47

Dhangadi

(Sudurpaschim州)Shreepur V.D.C, Haraiya

180

Nuwakot

(第3州)Ratmate, Jilling

70

Nepalgunj

(第5州)Naubasta V.D.C

348

Jhapa

(第1州)Ratuwamai Forestry Land,Topganchhi V.C.D Ward no. 5, district Jhapa

300

Dhanusha

(第2州)Umaprempur V.D.C

55

Rautahat

(第2州)Jhunkhunwa V.D.C

106

Siraha

(第2州)Gobindapur V.D.C

106

Gorkha

(Gandaki州)Deurali V.D.C

60

 

IEAは,これらの産業の種類や特性ごとの税制等について定めています。

 

<産業別優遇税制>

製造業は,所得税の20%のタックス還付(減税)が受けられ,道路,橋,トンネル,ロープウェイ,路面電車,トロリーバス,空港,工業団地,インフラ複合体を開発している建設産業は,所得税の40%の還付を受けられます。

 

遠隔地または未開発地域の産業は,果樹ベースのブランデー,サイダー,ワイン生産産業を除き,操業から10年間,それぞれ所得税の90,80,70%の還付が認められます。除外されている果物ベースのブランデー,サイダー,ワイン生産産業は,同じく操業日から10年間,所得税の40%の還付けられます。

 

10億NRs以上で設立され,年間500人以上の直接雇用者を擁する製造業は,操業日から5年間,所得税が免除されます。その後3年間は,所得税の50%の還付が受けられます。既存の製造業であっても,設備容量を25%以上増やして10億ネパール・ルピーに達し,500人以上の直接雇用をしている場合は,増加で得られる所得に対して同様の免税を受けることができます。

 

ネパール暦2080年のChaitra の月(2024年4月中旬)末までに操業を開始する水資源,太陽,空気,バイオマスからのエネルギーの生成・送達・配布を行うエネルギー産業者は,操業から10年間,所得税が免除され,その後も5年間は50%の還付を受けられます。

ネパール暦2075年のChaitra の月(2019年4月中旬)末までに操業を開始する石油または天然ガスおよび燃料の発掘・探査に携わる場合は,操業から7年間,所得税を免除され,その後3年間は50%の還付を受けられます。

 

20億NRs以上で設立された観光産業と,ホテル,リゾートなどのMunicipalityやsub-Municipality以外に50億NRs以上で設立されたインフラベースの観光産業は,操業から5年間,所得税が免除され,その後も3年間は50%の還付を受けられます。既存の観光産業であっても,設備容量を25%以上増やして20億NRsに達した場合は,増加で得られる所得に対して同様の免税を受けることができます。

 

テクノロジーパーク,バイオテクノロジーパーク,およびソフトウェア開発,データ処理,サイバーカフェ,デジタルマッピングなどのITパークに設立された産業などの情報通信産業は,所得税の50%の還付を受けられます。

 

300人以上のネパール人を直接雇用する製造業,情報通院産業は,所得税の15%の還付を受けられます。1,200人以上のネパール人を雇用していれば,所得税の25%の還付を受けられます。 その雇用者の半数が女性,ダリット,障害者である場合,さらに15%加算されます。

 

製品の輸出を行うあらゆる製造業は,その輸出にかかる所得に対して25%の所得税免除が受けられる可能性があります。

 

(ii) 外国投資法上のネガティブリスト(FITTA Schedule)

ネパールにおいては、次の分野の投資については、外国企業の参入が制限されています。

 

1

養鶏,漁業,養蜂,果物,野菜,油糧種子,豆類,乳業,その他の主要な農業生産部門

2

家内産業および小規模産業,

3

個人サービス事業(ヘアカット,仕立て,運転など),

4

武器,弾薬,弾丸および砲弾,火薬または爆発物,および核兵器,生物兵器,化学兵器(N.B.C.)を製造する産業,原子力および放射性物質を生産する産業,

5

不動産事業(建設業を除く),小売業,宅配便,地元のケータリングサービス,両替商,送金サービス,

6

旅行代理店,観光に携わるガイド,トレッキングと登山ガイド,ホームステイを含む農村観光,

7

マスコミュニケーションメディア(新聞,ラジオ,テレビ,オンラインニュース)およびネパール言語の映画産業,

8

経営,会計,エンジニアリング,法律相談サービスおよび語学トレーニング,音楽トレーニング,コンピュータートレーニング事業,

9

外国投資が51%を超えるコンサルティングサービス。

 

[1] 世界銀行人口動態予測より

[2] 新年は4月中旬に,行政年度は7月中旬に始まります。

[3] Central Bureau of Statics(SBC): Provincial Statistic,Ministry of Finance (MoF): Economic Survey 2018/19より

[4] 7州に分割後,東から第1~7州の順に番号が割り振られ,順次州名が決められます。

[5] 2018/19のデータは推定値。以下同様。

[6]首都カトマンドゥは第3州に位置します。

[7] MoF: Economic Survey 2018/19,CBS: National Accounts of Nepal 2018/19より

[8] 2015/2016に起きた大地震とインド国境封鎖の影響で一旦滞ったものの,翌年から高い成長率をみせています。

[9] CBS: National Accounts of Nepal 2018/19より

[10] MoF: Economic Survey 2018/19

[11] 近年は2017年,2019年に「ネパール投資サミット」が開催されています。

[12] Department of Industry: Industrial Statistics(2018/19)より

[13] 2019年に改正されており,従前は外国投資の対象になっていたものもネガティブリストに含まれています。

[14] ただし,これらの産業の中には後述のネガティブリストによって外国投資自体が規制されているものがあるので併せて参照する必要があります。

[15] Special Economic Zone Development Committee資料より

 

以 上

 

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yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)