シンガポールにおける解雇に関する全国賃金評議会の補足ガイドライン

2020年11月13日(金)

シンガポールにおける解雇に関する全国賃金評議会の補足ガイドラインについてニュースレターを発行いたしました。PDF版は以下からご確認ください。

解雇に関する全国賃金評議会補足ガイドライン

 

2020 年11月13日

One Asia Lawyers シンガポール事務所

 

シンガポールにおける解雇に関する全国賃金評議会の補足ガイドライン

 

1、イントロダクション
全国賃金評議会(National Wage Council、「NWC」) は、人材省や外国商工会議所の代表者などで構成され、景気や雇用市場、経済の見通しなどを勘案し、その年度の賃金改定に関するガイドラインを発表しています。今般、COVID-19拡大によって経済および雇用市場が不況に陥っている状況で、事業を持続し、雇用を維持するために、NWCは本年(2020年)3月末に発表したガイドラインに加え、10月16日に補足ガイドライン を発表しました。NWCガイドラインに法的拘束力はありませんが、団体交渉の基準点として用いられています。この最新の補足ガイドラインは2020年11月1日から2021年6月30日までの期間に適用されます 。

2、補足ガイドラインの概要
NWCから発表された補足ガイドラインの主な内容は、以下の通りです。
① 雇用主は、可能な限り適切なコスト削減策を講じて既存の従業員を維持し、従業員を再教育し、社内の新しい業務に再配置して、特にシンガポールコア に向けて将来のためのスキルを提供し、人材を継続的に育成するべき。
② 賃金の引下げは、部門や企業の業績や見通しに応じて、慎重に決定するべき。そして、引き下げた場合でも、経営状況が許せば元に戻すべき。
③ 解雇は最終手段とし、解雇を行う場合にも雇用主は三者評議会による勧告(the Tripartite Advisory) を遵守し、責任をもって行うべき。
④ 変動制賃金制度(Flexible Wage System、「FWS」) を導入すべき。柔軟で競争力ある賃金体系によって事業を維持し、雇用を守ることにもつながる 。
⑤ その他の補足点
i. 漸進的賃金モデル(Progressive Wage Model、「PWM」) を採用している業種については、それを継続する。パンデミック期間においても、以前にしていた増額の合意は継続すると考えられる。
ii. サービス利用者は、自営業者に対しては、可能な限り取引のキャンセルを避け、COVID-19によって延期されたプロジェクトの費用の前払い、または一部分割払いを行い、また、自営業者が利用できる雇用促進サービスを推奨するべき。
iii. 業績、見通しが良い企業について、雇用計画の前倒し、ジョブデザインのアップデート、変動払いにより報奨金を公正に支払うこと。

3、まとめ
シンガポール法においては、日本法と異なり、法定された解雇予告期間より前に解雇予告をすれば解雇の理由は問わないとされていますが、経済、労働市場の見通しが立たない現状において、解雇に対して不服申し立て手続きが取られる可能性が高まっているとも考えられます。NWCガイドラインには明確な法的拘束力はありませんが、労使間交渉の指針となるため、尊重することが求められます。柔軟な賃金制度の導入をはじめ、雇用を維持するための諸施策の実施が強く要請されていることから、雇用主、労働組合、従業員、政府が相互信頼を築き、長期的な視点に立って、建設的なアプローチを検討のうえ採用することがますます重要になっています。

以上

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