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シンガポールにおけるCOVID-19暫定措置法第3次修正法案

2020年11月13日(金)

シンガポールにおけるCOVID-19暫定措置法第3次修正法案についてニュースレターを発行いたしました。PDF版は以下からご確認ください。

→COVID-19暫定措置法第3次修正法案

 

2020 年11月13日

One Asia Lawyers シンガポール事務所

 

シンガポールにおけるCOVID-19暫定措置法第3次修正法案

 

1、イントロダクション
COVID-19によって、企業に大きな影響があり、経済、社会的活動が停滞しています。シンガポールでは、COVID-19暫定措置法(COVID-19 (Temporary Measures) Act 2020) を制定し、契約を履行できない当事者の救済が図られています。COVID-19暫定措置法は2020年4月7日に発効し、発効後1年間は効力を有するとされています。これまでに第1次修正(6月5日)および第2次修正(9月18日)が行われており、債務者に対する訴訟提起その他の法的措置の一時停止期間の延長、非居住用不動産の賃貸借契約における賃料免除に関する争いについての第三者査定人による解決支援など、救済措置が追加的に図られてきました。

2、法案の概要
現在、COVID-19暫定措置法第3次修正法案(COVID-19 (Temporary Measures) 3rd Amendment (“Re-Align Framework”)) が発表されており、特定の種類に属する契約について、さらなる追加的救済が予定されています。第3次修正法案による追加的救済は、2020年3月25日以前に締結され、2020年11月2日時点で効力を有しており、シンガポール法に準拠し、契約当事者の少なくとも一方がシンガポールに事業所を有する場合に適用するとされており、概要は以下の通りです 。

① 建設契約について、いまだ建設完了の認証を受けていない場合、122日納期が延長される。また、受益者たる契約相手方が個人(個人事業主は除く)ではない建設契約について、COVID-19のために元々の納期までに建設完了できない場合、費用の50%か契約金の0.2%の少ないほうの金額を契約相手方に対して請求できる。
② 住居用または商業用不動産の売買契約について、引渡し日が122日延長され、延長期間中に購入者が負担した所定費用は開発者が負う。購入者が請求する費用に関して当事者間に争いがある場合には査定官による審査の申請を行うことができ、査定官による決定は当事者を拘束する。
③ 特定の契約に対するさらなる救済
非居住用不動産の賃貸借またはライセンス契約 、商用機器の購入またリース契約、商品またはサービスの供給に関する契約を対象として、以下の救済が与えられる。
i. 当事者は他方当事者に対して、調整救済査定人への申立も含め契約内容の交渉を求めることができる。この交渉が失敗すると当該契約は終了する。
ii. 契約が終了した場合、契約終了以前に既に発生していた債権は存続するが、終了以降に生じる債権は消滅する。貸主は、借主が事前に支払っていた契約終了日以降の期間に係るリース料や保証金などは返還しなければならない。
iii. 債権額に争いがある場合、調整救済査定人によって最終決定を受けることができる。この際、調整救済査定人は当事者が申し立てた事情以外の事情も考慮に入れて決定する。この決定には司法上の効力が生じ、従わない場合にはSGD 1,000以下の罰金が科されうる。

3、まとめ
COVID暫定措置法第3次修正法案は11月3日に議会を通過していますが 、今後の社会情勢および経済情勢によっては、依然として内容が修正される可能性もあり、引続き注視していく必要があります。しかしながら、法務省は、第3次修正法案の成立を待つことなく、当事者間で債権債務額その他の契約条件の調整または変更について交渉することを推奨しており 、現在までに公表されている第3次修正法案の概要を踏まえて、契約の早期終了も含めて交渉を進めることができると考えられます。
他方、シンガポール企業と取引を行う外国企業については、相手方のシンガポール企業から交渉を求められることが想定され、後に査定人が介在して契約条件の調整または変更に関する決定がなされた場合には同決定に拘束されますので、相互の経済状態を考慮して柔軟に交渉することが重要になってきます。

以上

本記事に関するご照会は以下までお願い致します。
info@oneasia.legal