フィリピンにおける競争法の刑事規定に関する実施規則について

2020年12月15日(火)

フィリピンにおける競争法の刑事規定に関する実施規則についてニュースレターを発行しました。
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フィリピンにおける競争法の刑事規定に関する実施規則について

 

フィリピン 競争法の刑事規定に関する実施規則について

2020年12月
One Asia Lawyers フィリピン

1、イントロダクション

 フィリピン司法省は本年(2020)年2月、フィリピン競争法の刑事関連規定の執行強化を目的として、競争制限的行為に対する予備的審査や訴追、リニエンシーに基づく減免等に関わる手続規則の草案を公表していましたが、本年6月27日、司法省回覧16号(Department of Justice Circular No.016)によってフィリピン競争法の刑事規定に関する実施規則(Rules Implementing the Criminal Provisions of Republic Act No. 10667, Otherwise Known As the Philippines Competition Act)が公布され、同年7月17日に同規則が発効しています。本ニュースレターでは、同規則の主な内容について概説します。

2、競争法の刑事規定に関する実施規則の概要

(1)予備的調査の開始タイミング

 司法省傘下にある競争局(the Office For Competition: OFC)による予備的調査の開始について、フィリピン競争委員会(the Philippine Competition Commission: PCC)その他の関連当局より、競争法その他の競争関連法制の違反に関する苦情をOFCが受領して初めて開始されるとし、予備的調査が開始される契機を示しています(同規則ルール3第2条)。

(2)リニエンシー

①OFCにて係属する予備的調査の対象者がリニエンシーに基づく免除申請を行い、当該リニエンシーの申請がすべての申請要件を満たした場合、予備的調査は60暦日を超えない範囲で一時停止されるとしています(同規則ルール4第3条)。また、OFCがリニエンシーの条件付免除(conditional immunity)を認めた場合、対象者に対する申立は暫定的に棄却されるとしています(PCA刑事規定規則ルール4第6条)。このように、PCA刑事規定規則ルールでは、リニエンシー申請がなされた場合のOFCによる予備的調査および訴追の取扱いが明示されています。

②OFCによるリニエンシーの審査期間は、リニエンシー申請がすべての申請要件が満たされてから30暦日とされています(同規則ルール4第6条)。

③OFCがリニエンシー申請を却下した場合、または条件付免除を撤回した場合、対象者は、OFCからの通知受領後15日以内に司法省長官に対して不服申立てを行うことができるとされています(同規則ルール4第12条)。なお、不服申立てによっては、OFCによる手続の進行または命令・決定が中止されることはない旨が明記されています(同条)。

(3)刑事事件の管轄裁判所、時効

①刑事事件は、違反者が主たる事業所を有する都市または州を管轄する地域裁判所(Regional Trial Court:RTC)において開始するとしています(同規則ルール3第4条)

②刑事事件は、その対象となる違法行為について、違反の被当事者または関連当局によって当該違反行為が発見された日から5年を経過するまでに行わなければならないとし、その時効が示されています(同規則ルール3第5条)。

(4)電磁的方法による申請・提出

 競争法上の刑事事件に関する苦情その他の申立、リニエンシー手続の申請および関連書類の提出については、電磁的方法による申請・提出を認めるとしており(現在、当該電磁的方法による申請等に係る専用オンラインプラットフォームの整備が進められている)、電磁的方法による申請等は、OFCが実際に受領した日時において完了されたものとみなされます(同規則ルール5第1条および第2条)。

3、まとめ

 フィリピンでは、海外投資を積極的に呼び込むため、国内の競争環境および競争政策の整備は国家の重要課題の一つとされております。競争委員会による調査および執行も年々強化の動きが見られますので、今後も引続き競争法の発展動向を注視する必要があります。