マレーシアにおける現地法人設立の流れについて
マレーシアにおける現地法人設立の流れについてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。
現地法人設立の流れについて
2021年3月
日本法弁護士 橋本 有輝
本稿では、マレーシアに現地法人を設立する際の基本的知識や設立の手続き・所要時間などについて概説します。
1 マレーシアでの会社設立の基本情報
① 取締役の条件
取締役は1名でも構いません。マレーシア人を取締役にしなければならないという規則もありません。但し、取締役のうち最低1名はマレーシアに居住している必要があります。
② 最低資本金
最低資本金は1リンギットです(2021年2月時点で約25円~26円/リンギット)。
ただし、別の記事で述べます通り、労働ビザ(Employment Pass)との関係で様々な最低資本金が課せられている状況です。
③ 会社秘書役(Company Secretary)
会社秘書役とは、マレーシアの会社で選任が義務付けられている役職であり、会社の登記手続き関連した職務を担います。
2 会社設立の流れ
(1)会社名候補の選定
まず、会社名の候補となる社名(英語)が、使用可能か否かを調査します[1] 。調査はCCMという登記所にて行います。通常1日~2日程度で結果が判明します。
会社形態を株式有限会社かつ非公開会社とした場合、社名の後ろには必ず「Sdn. Bhd.」という文字が付けなければなりません(Sendirian Berhadの略で、Private Company Limitedの意味です)。
(2)登記申請書・必要書類の作成、準備、提出
所定の登記申請書に必要書類を添付し、登記料金1,000リンギットを支払らった上、CCMにオンラインで申請します。
申請から3日程度でCCMから登記完了通知書が発行され、これを受領することで手続きは完了となります。
なお、2016年に施行された会社法においては、定款の作成は法律上の義務ではありませんが、一般的には作成することが推奨されます。
(3)設立後の手続き
会社設立後、1カ月以内に会社秘書役や取締役を選任する取締役会を開催する必要があります。
[1] 社名に関するガイドラインhttps://www.ssm.com.my/Pages/Legal_Framework/GUIDELINES/1.-Guidelines-For-Naming-A-Company.pdf