タイ・シンガポール間のリアルタイム送金システムの相互接続について
タイ・シンガポール間のリアルタイム送金システムの相互接続について報告いたします。
タイ・シンガポール間のリアルタイム送金システムの相互接続について
2021年7月12日
One Asia Lawyersタイ事務所
1 はじめに
2021年4月29日、タイ中央銀行とシンガポール金融管理局は、タイの「PromptPay」とシンガポールの「PayNow」のリアルタイムのデジタル送金システムの連携を開始したと発表した。これにより送金相手の電話番号さえわかれば、スマートフォンの銀行アプリを利用してたった数分でタイ・シンガポール間の送金が可能となり、世界でも初の試みとなる。
2「PromptPay」及び「Paynow」とは?
どちらも銀行口座に携帯電話番号を紐づけることにより、タイまたはシンガポール国内での送金を即座に可能とするデジタル送金システムであり、タイでは2016年6月の導入後、4,000万口座以上がPromptPayサービスに接続済と報告されている。利用希望者はそれぞれの国の提携銀行[1]にて「PromptPay」または「PayNow」の利用登録申請を行う必要があるが、登録が完了すれば送金時に受取人の氏名や銀行口座情報などを入力する必要はなくなる。
3 送金手数料・送金上限額
「PromptPay」を利用しタイからシンガポールに送金した場合の手数料は、2021年7月31日まで1件につき75THB、2021年8月1日以降は1件につき150THBとなっている。
また、シンガポールへの送金額上限は1日当たり1,000シンガポールドル(1日の送金額合計が上限以下であれば、送金回数に制限なし)、タイでの受け取り上限は1件当たり2万5,000バーツまで(複数の送金者から何度でも受け取り可能)と設定されているが、今後上限額は拡大していく見込みである。
4 同一名義口座への送金
タイ国籍保持者によるタイ国内の自身の口座とシンガポール国内の自身の口座間の送金は認められていないが、外国人についてはその旨規定されていない。そのため外国人に限っては、同サービスを利用し自己資金をタイ・シンガポール間で移動させることも可能であると考えられる。
5 さいごに
タイ中央銀行はシンガポールとの連携だけでなく、他のASEAN諸国とのデジタル決済システムの連携も強めている。カンボジア、ベトナム、日本、ラオスとの間では現在QRコードによる決済が可能で、インドネシア及びマレーシアも近いうちに連携が開始される予定となっている。現在タイ・シンガポール間の送金においてQRコードによる決済は導入されていないが、今後も引き続き動向を注視していく必要がある。
[1] 2021年4月29日にBOTが公表したQ&Aによると、本デジタル送金システムの利用が可能なタイ側の提携銀行はバンコク銀行、クルンタイ銀行、カシコン銀行、サイアム商業銀行、シンガポール側の提携銀行はDBS銀行、OCBC銀行、UOB銀行となっている。
以上
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