One Asia Lawyersコンプライアンスニューズレター(2021年8月号)
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One Asia Lawyersコンプライアンスニューズレター(2021年8月号)
中国:新「データ安全」法
背景
2021年6月10日、中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は、「データ安全法」を可決し、2021年9月1日に発効することとなりました。本法は、中国におけるデジタル経済の発展を制御し、中国の国家的データセキュリティー政策を強化することを目的としています。本法は、中華人民共和国サイバーセキュリティー法、および個人情報保護法(草案二次審議稿)とともにより包括的なデータ保護体制を提供しています。
適用範囲および管轄権
本データ安全法は、国内および国外の両方で効力を有します。中国国内のデータ処理活動およびそのセキュリティー規制に適用される他、中国国外で実施され、中国国民または組織の国家安全保障、公共の利益、または合法的な利益を害するデータ処理活動にも適用されます。[1]
本法にて適用される「データ」の定義は、電子的またはその他の形式(ハードコピーを含む)の情報の記録を意味するため、広範なものとなります。「データ処理活動」の定義には、データの収集、保管、使用、処理、送信、提供、および開示が含まれます。[2]
データ分類と級保護管理制度
本データ安全法はデータの分類制度を導入しているため、データはその重要性・保護レベルの異なるグループに分類されることになります。この階層的な分類システムは、国家の経済的・社会的発展、国家安全保障、公共の利益、個人や組織の合法的な利益に対する重要性レベルに基づいて行われます。本法において、国家データセキュリティー調整機構が関連当局と調整し、地域別および産業別の「重要データ」目録を策定し、「重要データ」の保護を強化することを規定しています。[3] 「重要データ」の概念はサイバーセキュリティー法で初めて導入されたものとなりますが、本法はさらに、より厳しい規制と保護の対象となる「国家基幹データ」[4] という新たなカテゴリーを導入しています。
データ現地保存及び国外転送
本データ安全法は、「重要情報インフラ」の事業者[5]とその他(重要情報インフラ以外)の業者を区別しており、現地保存及び国外転送に関する義務を課しています。[6] 重要情報インフラ事業者については、本法は、サイバーセキュリティー法で定められた要件に従わなければならないことを確認しています。すなわち、重要情報インフラ事業者は、中国での業務中に収集・作成された個人情報、または「重要なデータ」[7]を現地で保管しなければならず、また、業務上の必要性から当該データの移転が必要と判断される場合には、政府当局によるセキュリティー評価を受けなければなりません。[8]
重要情報インフラ事業者以外のデータ処理事業者に関しては、中国での事業活動中に収集または作成された「重要データ」の国外転送は、中国サイバースペース管理局および関連政府当局が策定する規則に従わなければならないと規定されています。
輸出管理および相互措置
本データ安全法は、中国輸出管理法を強化し、国家の安全と利益の保護、および国際的な義務の履行に関連する「管理対象品目」[9]の範囲に入る種類のデータに輸出規制を課します。[10]
また、本法は中国のデータ主権を強化する相互対抗措置のシステムを導入しています。本法にて、中国はデータ、データ開発、利用技術に関連する投資や貿易などの事項に関して、中国に対して差別的な禁止、制限、その他同様の措置をとる国や地域に対して、相互に対抗措置をとることが可能であると規定しています。[11]
以 上
欧州委員会:VBER及び垂直ガイドラインの改定案公表<