ラオスにおける電気自動車の使用に関する政府方針について
ラオスにおける電気自動車の使用に関する政府方針についてのニュースレターを発行しました。
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ラオスにおける電気自動車の使用に関する政府方針について
2021年10月15日
One Asia Lawyers ラオス事務所
- 1.背景
ラオス政府は、2025年までに全自動車の少なくとも1%、そして、2030年までに30%以上を電気自動車へ移行することを国会で決議し、2021年10月4日付けで「ラオスにおける電気自動車使用優遇措置の承認に関する決議」を発布しました。
政府が電気自動車への移行を推進する主な目的として、①ガソリンの輸入による外貨流出の抑制、②自動車使用者の経費削減、③ガソリンエンジンによる排気ガスの削減の3つを掲げています。また、電気自動車への移行は、ラオス国内で増産傾向にある電力の使用を推進するためであるとされています。
2.電気自動車の輸入と販売者に対する方針
電気自動車の輸入・販売に対する優遇措置は以下のとおりです。
1)投資奨励法、税管理法、税関法等の関連法に規定された優遇措置を適用すること
2)電気自動車の輸入台数の割り当てを制限しないこと
3)ラオスへ輸入・販売する電気自動車は、国際基準の品質、安全性、技術を保証すること。また、アフターサービスを充実させるとともに、使用済みのバッテリー等の電気自動車の部品を適切に廃棄する仕組みを整え、環境への負担を減らすこと
4)特別なナンバープレートやマーク等により電気自動車であることを当局や一般の人が簡単に識別できるようにすること
3.電気自動車の生産と組立事業者に対する方針
電気自動車の生産又は組立工場を建設する国内外の投資家に対して、ラオス政府は、機械や車の部品の輸入等にかかる関税、法人税などの諸税金の減税、政府の土地の借地料の減額等を実施すべく、関連する法令上の優遇措置を適用させるとしています。
4.電気自動車充電スタンドサービス提供者に対する方針
特に充電スタンド設置に対する方針は以下の通りです。
・充電スタンドに必要な設備の輸入にかかる関税の免税又は減税とします
・ラオス電力公社(EDL)が充電スタンド開発者に供給する電気料金を季節ごとに決定します(雨季は乾季よりも安く設定予定)。
・ガソリンスタンド経営者に対して、徐々に充電スタンドの開発・運営を促します。
5.最後に
同決議では、手始めに、試行期間として、政府使用車や官僚が使用する車を新しく購入する際は、すべて電気自動車とし、その後、国営企業や公共交通機関を電気自動車へ移行するとあります。また、電気自動車使用者の年間道路使用料をガソリン車よりも30%割り引く等の使用者に対する優遇措置も検討されているようですが、エネルギー・鉱山省、公共事業運輸省、財務省、商工業省、治安維持省、天然資源環境省に対して、電気自動車への移行にかかる各業務を委任し、同決議施行後、45日以内に具体的なガイドラインや規則を各省が責任をもって発行するように義務付けています。
以 上
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