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オーストラリアにおけるフランチャイズ法改正について

2022年04月13日(水)

オーストラリアにおけるフランチャイズ法改正についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

オーストラリア:フランチャイズ法改正(登記義務および罰則の強化)

 

オーストラリア:フランチャイズ法改正(登記義務および罰則の強化)

2022年4月
One Asia Lawyers Group
オーストラリア・ニュージーランド事務所

1.はじめに

 オーストラリアでフランチャイズ事業を行う場合、または車両の販売代理店契約を締結する場合は、Franchising Code of Conduct[1](以下「Code」という)を遵守しなければなりません。Codeの概要については、前回のニューズレター(https://oneasia.legal/7559)をご参照ください。

 2022年4月には2つの大きな改正法が発効し、①オンラインにて公表されるフランチャイズ開示登記制度(Franchise Disclosure Register)の導入に関する決定、および、②Code違反の最大罰則の強化が行われました。本ニューズレターでは、当該法改正の概要を解説いたします。

2.登記制度

 フランチャイザーは、新たなフランチャイズ開示登記制度(Franchise Disclosure Register)に基づき、2022年11月14日までに、所定の開示情報を政府へ提出する必要があります。提出された情報は、2022年11月15日からオンラインにて公表されます(プラットフォーム(現在開設中):https://franchisedisclosure.gov.au/)。

 なお、最終改正法案においては、昨年の公開草案にて要求されていた開示書類(Disclosure Documents)、フランチャイズ契約等の登記要件は削除されており、これらの書類の提出は任意です。政府へ提出が求められる情報は、主に、以下の最低限の事項です。

 ・オーストラリアでフランチャイズに関連する事業を行う際に使うフランチャイザーの名称
 ・フランチャイザーのABS(Australian Business Number)
 ・オーストラリアでの登録住所または事業所の住所
 ・電話番号およびメールアドレス
 ・統計庁(Australian Bureau of Statistics)発行の事業分類番号

 フランチャイザーは、毎年、フランチャイザーの会計年度末から4か月以内に、政府に対してこれらの情報に変更がないことの通知、または変更点の通知を行わなければなりません。

3.罰則の強化

 前回のニューズレターでお伝えした通り、2021年9月に施行された法改正により、競争消費者法における最高額と同等(1000万豪ドル、違反から得た利益の3倍、または年間連結売上の10%)の罰則設定が可能となっています。また、当該設定がなされない場合は、最高600ペナルティ・ユニット(およそ13万豪ドル)まで科料が可能とされています。当該法改正に基づき、政府は、2022年4月15日より、以下の最高罰則の適用を開始します。

・主に以下の違反行為・・・1000万豪ドル、違反から得た利益の3倍、または年間売上の10%:
 -フランチャイズ契約締結前の事前開示義務の重大な違反(重大情報の非開示)
 -フランチャイジーによる連合の自由の制限
 -新車販売代理店契約に関する一定の要件の違反
・主に以下の違反行為・・・600ペナルティ・ユニット(133,200豪ドル):
 -誠実義務(obligation to act in good faith)の違反
 -事前開示義務の違反
 -契約更新の意思に関する通知義務の違反
 -契約終了に関する義務の違反
 -法務費用の負担強制
 -マーケティング・ファンドに関する義務の違反
 -法定の紛争解決プロセスへの不参加
 -重大な設備投資(Significant Capital Expenditure)の強制

4.おわりに

 フランチャイズ法には上述の他にも細かな規定が存在するため、フランチャイズ候補または販売代理店候補との交渉の段階から、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。

以 上

[1] Competition and Consumer (Industry Codes – Franchising) Regulation 2014, Schedule 1