• Instgram
  • LinkeIn
  • Lexologoy

インドネシアにおける性的暴力を伴う犯罪行為に関する法律(TPKS法)の制定について

2022年05月13日(金)

インドネシアにおける性的暴力を伴う犯罪行為に関する法律(TPKS法)の制定についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

性的暴力を伴う犯罪行為に関する法律(TPKS法)の制定

 

性的暴力を伴う犯罪行為に関する法律(TPKS法)の制定

2022年5月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士  馬居 光二
インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

 

1.はじめに

 2022年4月12日、「性的暴力を伴う犯罪行為(Tindak Pidana Kekerasan Seksual(以下、TPKS」)に関する法律(以下「TPKS」)が可決されました。本法は、あらゆる形態の性暴力を予防し、対処し、性暴力被害者を保護、回復することを目的としております。

2.TPKS

 TPKS法4条は、TPKSとして非身体的セクシャル・ハラスメントや身体的セクシャル・ハラスメント等9種の犯罪を挙げた上、さらに強姦やわいせつ行為等10種類の行為もTPKSに含まれると定めております。

3.職場におけるTPKSの加害者は被害者の上司

 TPKS法はまた、上記で挙げた9種類の行為を職場の経営者や上司等が被雇用者等に対してこれを行った場合、通常の刑罰に3分の1を加重する形でより厳しい罰則を処すこととしております。

4.その他の規定

 その他TPKS法は、法人がこれを行った場合の刑罰、TPKSの報告方法、被害者救済、法的手続等を包括的に定めております。

5.結論

 TPKS法はTPKSに該当する犯罪行為を特定し、特に女性、子ども、障害者等を保護する法的根拠、枠組みを提供することで、性的暴力の脅威から人々を保護するものとされております。

 また、職場におけるTPKSについては刑罰を加重する旨が規定されているところ、本法の成立による、セクシャルハラスメントが抑制されることが期待されるとともに、各企業に置いては従業員への本法の周知徹底を含め、これまで以上に社内におけるセクシャルハラスメントを防止するための措置を講じていく必要が強まるものと考えられます。