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マレーシアにおける法定のFormについて

2022年06月13日(月)

マレーシアにおける法定のFormについてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

マレーシアにおける法定のFormについて

 

マレーシアにおける法定のFormについて

2021年6月
One Asia Lawyers マレーシア
日本法弁護士 橋本有輝
マレーシア法弁護士 Heng Zhen Hung

1. Company Statutory Forms

マレーシアにおいて、会社が銀行口座を開設したり、借入を行おうとする場合、殆ど全ての場合において、会社の特定乃至認証を目的として、銀行等の金融機関から、法定のFormの提出を要求されることになります。  

本稿は、日本の企業にとって馴染みのないFormのうち、一般的な法定Formを挙げ、そのサンプルやその目的、旧会社法下時代のそれとの対応関係等を説明します。

2. Super Form under Section 14 of Companies Act 2016

(旧会社法下の Form 6 (Section 16(2)), Form 24 (Section 54(1)), Form 44 (Section 120 (1), 333 (1A) and 335 (1)), Form 48A (Section 16 (3A) and 123 (4)), Form 49 (Section 141(6) and Memorandum and Article of Association (Section 18 and 29) に対応)

旧会社法下において、ある者が会社を設立しようとする際には、Form 6, Form 24, Form 44, Form 48A, Form 49 and Memorandum and Article of Associationという各Formを、登記所(SSM)に物理的に提出する必要がありました。

ところが、現在の会社法(the Companies Act 2016、以下「会社法」)の下では、オンライン上にて、これらFormに相当する情報を提出可能となりました(会社法下では“Super Form”と呼ばれます)。また、このSuper Formの提出は、MYCoIDというシステム登録の一環をなしており、この登録も全てオンライン上で行うことが出来ます。

このSuper Formは、以下の5つのパートから成ります。

a. Particulars of Application
b. Clarification
c. Application Details | Directors | Members/Shareholders | Information to Agency
d. Declaration Section
e. Lodger Information

Super Formに情報を入力する際、会社名候補、事業の性質、会社の形態、会社住所、取締役・株主・秘書役の各候補者が要求されます。 ここで入力された各情報は、後日、当局等がMY Data[1]やSSMのe Info[2]というサイトで取得可能となります。

Super Formのサンプルは以下をご参照ください here

(その他、旧会社法下の各サンプルも掲載します。Form 6 here 、Form 24 here、Form 44 here 、Form 48A here 、Form 49 here

2.1 MyCoID について

ご存知の通り、マレーシアにおいても、日本の法人番号に相当するthe company registration numberというものがあり、この番号はMYCoIDにおける“Malaysia Corporate Identity Number”にも相当し、さらに、このMYCoIDにおけるID番号が、その他Inland Revenue BoardやEmployees Provident Fund、Human Resources Development Fund、 Ministry of Human Resources、the Royal Malaysian Customs Department、Social Security Organisation及びSmall and Medium Enterprise Corporation Malaysiaといった数々の機関・システムにおいても共通の番号で管理されています。

MYCoIDは、このように従前各機関によって異なる番号で管理されていたID番号を統一しようと導入されたものなのです。

 3. Notice of registration under Section 15 of the Companies Act 2016 

(旧会社法下に対応するものはない)

Notice of registrationとは、会社の設立申請が成功した際にSSMから発行される公式の通知です。この通知は、Emailの方法で申請者に送付されます。

 4. Certificate of incorporation under Section 17 of the Companies Act 2016

(旧会社法下でのForm 9 (Section 16(4))

これは、会社設立の証明であり、上記3の文書とは別に存在し、MyData 又はSSM e infoにて入手可能です。

サンプルはこちらをご参照ください here

 5. Lodgement of the constitution under Section 32 of the Companies Act 2016

(旧会社法下での Memorandum and article of association (Section 18 and 29))

会社法31条は、非公開会社が定款を持たないことを認めています。とはいえ、いくつかの銀行は、取引時において、定款の提出を要求することが実務上あります。この場合、当該会社は、定款がないことを説明する必要があります。

この会社定款はMyDataにて入手可能です。

6. Return for allotment of shares under Section 78 of Companies Act 2016

(旧会社法下での Form 24 (Section 54 (1))

“Return for allotment of shares”という書類は、新株が発行された際に作成され、SSMに提出されます。この情報もまたMyDataにて入手可能です。

サンプルはこちらをご参照ください here.

7. Notification of change in the Register of Directors, Managers and Secretaries under Section 58 of Companies Act 2016

(旧会社法下での Form 49 (Section 141(6))

会社が取締役や秘書役を変更した場合、“Notification of change in the Register of Directors, Managers and Secretaries”という書類が作成され、SSMに提出されます。.

この書面はMyDataにて入手可能です。

サンプルはこちらをご参照くださいhere. (旧法下の Form 49はこちら here

8. Form of Transfer of Securities under Section 105 of Companies Act 2016

(旧会社法下での Form 32A (Section 103(1))

“Transfer of Securities”は、株式の譲渡がなされた際に作成され、SSMに提出されます。

サンプルはこちらをご参照下さい here(旧法下のForm 32Aはこちら here

9. Statement of Particulars to be Lodged with Charge under Section 352(1), 354 and 356(1) Companies Act 2016

(旧会社法下での Form 34 (Sections 108 (1) and 110(1))

“Statement of Particulars to be Lodged with Charge”は、会社が設定を受けた担保権を登録する際に作成・提出されます。

サンプルはこちらをご参照ください here(旧法下の Form 34はこちら here

10. Certificate of Registration of Charge under Section 357(3) of Companies Act 2016

(旧会社法下での Form 40 (Section 112A (1))

“Certificate of Registration of Charge”は、担保権の設定が適式に完了したことを証明するものです。10番の書類と併せて銀行ローン等を申請する際に要求されます。 これらはMyDataにて入手可能です。

Form 40のサンプルはこちら here.

以上、やや冗長になったかもしれませんが、実務上にも接する機会の多い代表的なFormの説明を行いました。マレーシアでは、日本における取引に比べ融資を受ける際はおろか企業買収等に伴い保証会社を変更する際等でも様々な書類の提出を要求され対応に困惑するケースが多いかと存じます。弊所では、銀行等とのやり取りを仲介し御社が本業に集中することをサポートする等各種サービスを提供しております。お困りの際は、お気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。

[1] https://www.mydata-ssm.com.my/

[2] https://www.ssm-einfo.my/index.php