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インドネシアにおける住民登録番号(NIK)を納税者識別番号として利用する旨を定めた財務大臣規則の施行について

2022年09月15日(木)

インドネシアにおける住民登録番号(NIK)を納税者識別番号として利用する旨を定めた財務大臣規則の施行についてニュースレターを発行いたしました。
PDF版は以下からご確認ください。

住民登録番号(NIK)を納税者識別番号として利用する旨を定めた財務大臣規則の施行について

 

住民登録番号(NIK)を納税者識別番号として利用する旨を定めた財務大臣規則の施行について

2022年9月
One Asia Lawyers Indonesia Office
日本法弁護士  馬居 光二
インドネシア法弁護士  Prisilia Sitompul

1.はじめに

 財務大臣は、2022年7月8日に個人納税者、法人納税者、政府機関納税者のための納税者番号/Nomor Pokok Wajib Pajak(以下、「NPWP)に関する規則112/PMK.03/2022(以下、「MoF 112/2022」)を発行しました。 この規則は、住民登録番号/Nomor Induk Kependudukan(以下「NIK」)の使用を含む、NPWPの使用に関連するいくつかの適用条項を規定しています。

 NIKとは、MoF112/2022の1条3項に定義されるインドネシア住民として登録された人に交付けられる、唯一または特徴的、かつ独特の住民識別番号を意味します。本規定に基づき、2022年7月14日からNIKはNPWPとして正式に使用を開始されることになります。なお、上記変更は2023年までを移行期間とした上で、2024年1月1日から全面的に適用される予定です。

2.3つの新フォーマット

 MoF 112/2022に基づき、2022年7月14日から新しいNPWPのフォーマットが導入されました。

 a) 個人納税者(居住者)はNIKを使用することになります。この場合の居住者とは、インドネシア人及びインドネシアに居住する外国人を含みます(第1条第2項)
 b) 個人納税者(非居住者)、法人納税者、政府機関納税者は、16 桁の NPWP(現行は15桁)を使用することになります。
 c) 支店納税者は、事業活動拠点の識別番号を使用することになります。

 MoF 112/2022第1条5項にあるように、支店納税者とは、納税者の居住地や住所地とは別の事業活動地でNPWPを受け取る納税者、または所得税、付加価値税、贅沢品消費税、土地・建物税、炭素税を源泉徴収する権利や義務を行使するために与えられる納税者で、中央を利用することができない納税者を指します。

2.移行期間

 移行期間中は、すべての行政サービスが新しい形式の納税者番号に対応できるわけではないことを考慮し、2023年12月31日までは、現行の15桁の納税者番号の形式を引き続き使用することができるとされております(2条6項)。

 移行期間の詳細は、以下のとおりです。

 a) 2022年7月8日~2023年12月31日の期間
MOF 112/2022 の発効日から 2023 年 12 月 31 日までに、NPWP 登録を行った納税者、または役職に基づき NPWP を発行された納税者は、税務局長による以下の措置(第 10 項第 1 号)を受けることになります。
 -居住者である個人納税者のNIKがNPWPとしてアクティベートされる
 -インドネシア国民でない個人納税者、法人納税者、政府機関納税者に対しては16桁のNPWPが発行される(既存の番号の最初に0が追加される)。ただし2023年12月31日までは従前の15桁のNPWPが使用できる。
 -支店納税者には支店NPWPとビジネスIDナンバーが発行される。

 b) 2024年1月1日以降の期間(第11条)
 -納税者は、税務局長およびその他の団体などが組織する税務行政に関連して、NIK及び16桁のNPWPを納税者識別番号として使用する。
 -納税者は、居住地や住所とは別の事業所の身分証明書として事業所識別番号を使用する。
 -NPWP の添付が必要な行政サービス(輸出入サービス、銀行・金融サービス等)を組織する他の団体は、NIKをNPWP として使用する。

3.外国籍住民への影響

 2013年の人口行政に関する法律第24号第63条第1項には、次のように記されています。

 ”インドネシア国民と永住権を持つ外国人で17歳、または結婚しているか、結婚歴がある場合はe-KTPを取得するものとする。

 電子 ID カード/Kartu Tanda Penduduk(「e-KTP」)とは、実施機関によって発行される、居住者の身元を証明する公的な ID であるチップを搭載した居住者 識別カードをいいます。e-KTPは、NIK、氏名、住所、地名、生年月日、血液型から、指紋や網膜という生体データに至るまで、さまざまなデータを含んでおります。

 これに伴い、e-KTPに含まれるNIKを既に有する外国人は、インドネシア人住民と同様にNIKをNPWPとして使用することができるようになります。ただし、実際の移行手続きについては、まず外国人労働者が働いている会社の内部税務部門に相談し、その後、税務局長に相談することができますとされております。

 以上より、法文上は、2022年7月14日以降、NIKを持たない納税者は、新たに16桁のNPWPを使用することになります。これに伴い、すでに15桁の旧NPWPを有している外国人納税者、法人納税者、政府機関納税者については、2024年1月1日までにNPWPが15桁から16桁に変更されることになっております。一方、新たに登録される外国人納税者、法人納税者、政府機関納税者は、そのまま16桁のNPWPが交付されることになります。

4.結論

 政府は本改正について、NPWPにNIKの機能を追加することで、効率と効果を向上させることが目的であるとしております。多くの在インドネシアの日系企業に置いても、上記変更による対応が必要になる可能性がありますので、今後の移行手続きに注意する必要があるかと思います。