ラオスにおけるSIMカード登録義務について
ラオスにおけるSIMカードの登録義務についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
→SIMカード登録義務化
ラオス:SIMカードの登録義務化について
2023年9月27日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1. 背景
2020年3月30日付の郵便電気通信省(現在の技術通信省)大臣合意(No903)において、SIMカード利用者の個人情報登録、デジタル暗証番号設定、社会秩序の維持等のため、ラオス国内で販売されているSIMカード(通話及びインターネット用)の登録義務化が発表されました(以下「旧合意」)。
当初の登録期限は、2020年12月31日までと設定されていましたが(2020年6月17日付「郵政電気通信省による告知(No1056)」)、コロナ禍もあり登録が進まず、その期限が、2022年1月31日までに延期されていました 。しかしながら、それでも国民への周知が進んでいない状況にあるため、技術通信省は、旧合意を改正し、2023年8月30日付で「電話番号登録に関する大臣合意(No.2347) (以下、「合意」)」を発行し、登録期限を2023年12月16日と改めて設定しました。本稿では、SIMカードの登録方法及び登録しなかった場合の罰則規定について簡単に解説いたします。
2. 対象となる電話番号
ラオス国内販売されているSIMカードは国内及び海外での使用を問わず登録する必要があります。対象となる電話番号は以下の通りです。
(1)020から始まる通話及びインターネット用の携帯電話番号(月払い及びプリペイド方式)
(2)030から始まるワイヤレス固定電話
なお、個人の場合は、5回線まで、法人の場合は、50回線まで、自社製品 に使用する場合は、100回線まで登録可能となっています(合意第10条)。なお、使用者が15歳未満の場合は、保護者が代わりに登録する必要があります(合意9条)。
3. 登録方法
登録方法は、登録サービスを提供している窓口(通信会社の窓口など)で登録する方法とアプリケーションを使用して自分で登録する方法の2つがあります(合意第7条)。個人の場合、登録には、パスポート又はIDカードが必要となります。法人の場合は、企業登録書やマネージングダイレクターの顔写真など多くの書類を準備する必要があります(合意第9条)。なお、同合意が施行後に販売される新しいSIMカードは、電気通信会社が指定した店舗でしか購入及び登録することができませんので留意が必要です(合意第7条)。これまでは、中古を含めた携帯電話を販売しているお店や雑貨店などでSIMカードが購入できましたが、今後は、販売場所が制限されます。
(1)サービス窓口
個人の場合は、3Grab App というアプリケーションで登録が行われます。他方、法人や団体等は、http://kyc.simreg.gov.la上で登録されます。登録の可否は、3時間以内に通知されます。
(2)自身で登録する場合
Lao KYC App上で登録を行います。登録の可否は72時間以内または3日以内にSMS経由で通知があります。
(3)登録の確認方法
電話番号が登録済みであるのか確認する方法は、以下の3つがあります。
①携帯電話から 「*1021#」へ電話する
②Lao KYC Appで確認する
③http://kyc.simreg.gov.la のウェブサイト上で確認する
4.罰則規定
ラオス国内外を問わず、ラオスのSIMカード利用者が合意に違反した場合、以下のとおり、罰金が科せられる場合がありますので、留意する必要があります(合意第28条)。
(1)SIMカードを登録せずに使用した場合:1,000,000キープ /回線
(2)SIMカードを使用して、社会の秩序を乱したり、国の治安に影響を与えた場合:10,000,000キープ/回線
(3)海外のSIMカードをラオス国内へ輸入・販売した場合:5,000,000キープ/回線
(4)登録済のSIMカードを他人へ譲渡し、新しい使用者の情報で再登録せずに使用した場合:1,000,000キープ/回線
(5)許可なしに他人のSIMカードを登録した場合:1,000,000キープ/回線
(6)登録に協力しない場合:1,000,000キープ/回線
(7)登録に必要な書類等を偽造した場合:1,000,000キープ/回線
以 上
本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)