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タイにおける外国人の就労管理について

2018年05月21日(月)

タイにおける外国人の就労管理について報告致します。

タイにおける外国人の就労管理について

 

タイにおける外国人の就労管理について

2018 年 5 月 22 日
One Asia Lawyers タイ事務所

1 はじめに

 タイでは2017年6月23日に外国人の就労管理に関する緊急勅令が出され、外国人の就労法について改正がなされたばかりでしたが、2018年3月27日に再び緊急勅令が発布され、翌28日から同改正が施行されています。

 今回の改正内容について、以下に概要を記載します。その他詳細について情報が必要な方は別途ご連絡下さい。

2 就労の定義変更

 2017 年の緊急勅令では、2008 年の外国⼈就労法における「就労」の定義を変更し、「報酬または利益の有無を問わず、職業⾏為または仕事を⾏うため⾝体的活動⼜は知識を⽤いること」としました。この定義は曖昧で多義的であることから、明確な「就労」概念を観念することは困難でした。

 今回の改正では、「就労」は「外国⼈事業ライセンス保有者がその事業⾏為をする場合を除き、被雇⽤者であるか否かを問わず職業⾏為を⾏うこと」と変更されました。しかし、この定義も未だ曖昧だと考えられますので、今後の実務の運⽤に注視しつつ、就労に該当しうる⾏為を⾏う際には慎重な検討をしていく必要があります。

3 ワークパーミットの取得が不要な類型の拡⼤ 

 今回の改正により、労働許可証の取得が不要である行為類型が拡大されました。以下の外国人は、労働許可証を取得せずに当該行為を行うことが可能となります。

 ①以下の目的で頻繁ではなく時折タイに入国する外国人:意見を述べ、講義をし、又はプレゼンテーションを行うために会議に参加又はこれを開催。講習会、セミナー、展示会、又はスポーツ行事への参加。内閣により定められた活動。

 ②内閣が指定する要件に該当する投資又は事業に従事する者、専門家、熟練者、又は国の発展に貢献する能力、技術を持つ外国人

 ③外国人事業法(FBA)により外国人事業許可を受けた外国法人の代表者

4 労働許可証の申請

 労働許可証の電子申請がタイ国に内外いずれからでも可能となる可能性が高く、不備なく申請された場合には労働省が受領してから15日以内に労働許可証が発行されることとなります。

5 緊急業務届による労働期間の延長

(1)改正前

 一定の業務リストに該当する場合であり、かつ15日以内であれば緊急業務届を提出することでその業務の実施が出来ました。

(2)改正後

 一定の業務リストに該当する場合であれば、緊急業務届を提出することにより、15日以内の業務の実施ができる点では変更はありません。改正により、最初の15日を経過する前に申請することでさらに15日の延長をすることが可能になりました。新しい業務リストは未発表であり、近日中に発表される予定です。

6 雇⽤者の報告義務

 外国⼈を雇⽤した者は、その雇⽤⽇から15⽇以内に被雇⽤者の名前、国籍及び仕事の性質を当局に報告する法的義務が⽣じます。また、雇⽤終了の15⽇以内も報告義務が⽣じます。これを怠った場合には 20,000THB 以下の罰⾦に処せられる可能性があります。
 また、今回の改正時に有効な労働許可を有する外国⼈を既に雇⽤している雇⽤者は、当該労働者の名前と国籍及び仕事の性質を 2018 年 3 ⽉ 28 ⽇から 60 ⽇以内に雇⽤局に報告する必要があります。なお、当該報告義務に関し、具体的な報告⽅法や形式は未発表です。

7 外国人就労と刑事罰の関係

  今回の改正により、刑事罰は以下のように変更されました。
<改正された刑事罰の内容>

  2017 年 6 ⽉ 23 ⽇
(前回の改正)
2018 年 3 ⽉ 27 ⽇
(今回の改正)
労働許可証を持たず又は許可された範囲を超えて就労した場合 5 年以下の禁錮⼜は 2,000〜100,000THB の罰⾦あるいは併科 5,000〜50,000THB の罰⾦
労働許可証を持たない外国
⼈を雇⽤し⼜は許可された
範囲を超えて就労させた場
当該外国⼈1⼈あたり400,000 〜800,000THB の罰⾦ 当該外国⼈1⼈あたり10,000〜100,000THB の罰⾦
緊急業務届を提出せずに当該業務を⾏った場合 20,000〜100,000THB の罰⾦ 50,000THB 以下の罰⾦

以 上