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タイにおける金融サービス事業者法に関するアップデート

2018年05月16日(水)

タイにおける金融サービス事業者法に関するアップデートについてご報告致します。

タイにおける金融サービス事業者法に関するアップデートについて

 

タイにおける金融サービス事業者法に関するアップデート

2018 年 5 月 15 日
One Asia Lawyers タイ事務所
藪本 雄登
グリアーとも

1 新法の概要

 現在タイにおいては、2008 年 4 月に施行した商業銀行、証券会社などを規制する金融機関事業法以外に、同法上金融機関と看做されないその他金融サービス事業者を規制する法律が存在しておりませんでした。そこで現在、タイにおける各種金融サービス事業者を規制する新法作成が進められております。

 2018 年 3 月にタイ王国財務省より発表されました金融サービス事業者法草案(Draft ofFinancial Service Provider Act、以下「草案」といいます。)によれば、今後、ハイヤーパーチェス、ファイナンスリース、ファクタリングサービスを提供する事業者(以下、「金融類似サービス事業者」といいます。)は、事業開始日から 30 日以内に金融サービス事業者管理委員会(Financial Service Provider Control Committee、以下、「委員会」といいます。)への登録が義務付けられます(草案第 43 条)。現状、当局に確認する限り、本法の施行のタイミングは未定となっておりますが、今後の動向に注視していく必要があります。

2 事業の要件・基準

 金融サービス事業者及び金融類似サービス事業者は、委員会が定める基準と要件に従わねばならず、①顧客管理、②個人情報、③監査セキュリティ体制、④苦情対応、⑤会計報告、⑥PRの仕様等の事項に関する規則が今後公開されることになっており、そちらの規則に従う必要があります (草案第 45 条)。今後、実施事業について、詳細な監視の目が入る予定となっております。

3 財務報告に関する規制 

 金融サービス事業者は、委員会が規定する形式に従い、会計年度毎に財務諸表を作成し、財務諸表は公認会計士による監査を経た上、会計年度終了後5か月以内に委員会に提出が必要となります(草案第53条)。つまり、今後、金融サービス事業者に対して当局により財務上のチェックが行われることになります。

 なお、提出された財務諸表に不備がある(または委員会が必要と判断した場合)、監査人や専門家による検査が実施される可能性があります。

4 取締役・代表者規制

 草案第47条によれば、金融サービス事業を行う取締役、代表者は、①破産宣告を受けたことがない、②財産犯罪(詐欺、マネーロンダリング、窃盗など)で収監歴がないこと等の要件を満たす必要うがあり、運営者に対して一定の要件が課されることになります。

5 金利・諸料金に関する規定の導入

 草案によれば金利、罰則、サービス科、その他諸料金に関する規制が別途規定されることになっています(草案第46条)。現状の金利設定やサービス科の設定について上限や規制が導入される必要があり、留意する必要がある。

6 罰則規定の導入

 委員会に登録しない金融類似サービス事業者は、10万バーツを超えない罰金の対象となります(草案第63条)。また、委員会の通達に違反する、又は遵守しない金融サービス事業者は、30万バーツを超えない罰金の対象となります(草案第64条)。

 なお、その他、委員会命令の拒否、不履行、公式文書の破棄、情報開示などに関する違反行為があった場合、刑事罰の対象となり、取締役又は/及び法人の代表者にも刑罰が科されることになります。

以 上