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ラオスにおける海外のDigital Platform (Eコマース)事業者に課せられる付加価値税について

2024年03月02日(土)

ラオスにおける海外のDigital Platform (Eコマース)事業者に課せられる付加価値税について
のニュースレターを発行しました。

PDF版は以下からご確認下さい。

EコマースVAT納税義務

 

ラオス:海外のDigital Platform (Eコマース)
事業者に課せられる付加価値税について

2024年3月2日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所

1.背景

2021年4月に施行された「電子商取引に関する政府令(No.296)」(詳細は、ニューズレターをご覧ください)では、電子商取引(以下「eコマース」)事業における税務上の規定はカバーされておらず、eコマース事業に適用される税については、2022年2月24日財務省発行「非居住者のデジタルプラットフォームおよびEコマースサービス事業者に対する納税義務の実施に関する通知(No0541)(以下、「No0541」)」に規定されています(詳細はニューズレターをご覧ください)。

今回、財務省はNo0541の一部を改正したガイドライン「海外からのデジタル商品及びデジタルプラットフォーム又はeコマース提供者の付加価値税の納税義務の実施に関するガイドライン(No0558)(以下、「ガイドライン」)」を2024年2月14日に発行し、2024年8月1日より、施行予定です。

2.VATの登録について

(1)VAT登録対象者

No0541では、「ラオス国内のユーザーからの収入が年間 4億 キープ(約 20,000 米ドル)を超えるデジタルプラットフォーム事業者は、VAT 登録が必要となる」と規定されています。

一方、ガイドラインでは、海外からのデジタル商品提供者及びデジタルプラットフォーム事業者又はeコマース事業者(以下、「非居住Eコマース事業者」)は、「ラオス国内の利用者から収入を得た場合、VATに登録する必要がある」と改正されています(ガイドライン3)ので、収入の額を問わず、VATの登録が必要となります。

デジタル商品およびサービスがデジタルプラットフォーム事業者を通じて提供される場合 、デジタル・プラットフォーム事業者が、商品・サービスの提供者とみなされ、海外又はラオス国内のデジタル商品・サービス提供者に代わって、VATを納税する必要があります(ガイドライン3)。

なお、VAT登録をした非居住Eコマース事業者は、2024年8月1日より、ラオス国内のサービス利用者からVATを徴収することが義務付けられています(ガイドライン3.4)。

(2)登録方法について

ラオスに居住しておらず、企業登録をしていない海外の個人、法人及び団体は、財務省が開発した電子システムDigital Tax Service System (DTax System) (http://taxservice.mof.gov.la )へアクセスし、VATのオンライン登録をすることができます。このDTax System上で、VATの申告、銀行とリンクしたシステムによる支払い、支払いの確認、各種情報の訂正等も可能となります(ガイドライン4.(6)(7))。なお、DTaxSystemへの登録は、2024年5月から開始される予定です(ガイドライン13.(4))。

 (3)VATへの登録免除について

新聞、雑誌、教科書を電子形式(e-books)で販売する場合、VATが免除され、また、海外からの電子書籍には、VATは課税されず、電子書籍(e-books)の事業者は、VATへの登録する必要はありません(ガイドライン4.(2))。

3. VATの納税について

(1)課税基礎

VATは、デジタル商品の価格やサービス料に手数料(ある場合)を含めた合計の額に対して課税されます(ガイドライン4.(6))。なお、税率はラオス国内で適用されている税率となります(ガイドライン4.(7))。

(2)電子VATインボイス

ラオス国内の個人に対してデジタル商品やサービスを提供した場合、電子VATインボイスを発行する必要はなく、納税時に、又は税務署から要求された時に、情報を提供することになります。

他方、ラオス国内の法人にデジタル商品やサービを提供した場合、電子VATインボイスを発行する必要があります(ガイドライン9.(1)(2))。なお、通貨は、USD、EUR、CNYのいずれかを使用することが可能です。電子インボイス等の会計書類は、10年間保管する必要があります(ガイドライン9.(2))。

(3)VAT申告の時期

VATの申告は、下記の通り、年に3回と規定されています(ガイドライン10)。

① 1月から4月分は、翌月5月に申告

② 5月から8月分は、翌月9月に申告

③ 9月から12月分は、翌年1月に申告

(4)VATの控除と還付

非居住Eコマース事業者はインプットVATを控除することはできません(ガイドライン12)。なお、VATが還付されるのは、原則注文がキャンセルになった場合やシステム上のエラーが生じた場合のみです。

4.罰則規定

 納税申告が遅れた場合、警告、電子システムによる罰金が以下のとおり、科せられます。
1)  VAT の支払いが遅れた場合、四半期ごとに 800 米ドルの罰金が科せられます。

2)  未払いのVATの額に対して 1 日あたり 0.1% の罰金が科せられます。
3)  催促応じなかった場合に、以下の通り罰金が科せられます。

-1 回目の催促に応じなかった場合、支払わなければならないVATの 30% の罰金が科せられます。

– 2 回目の催促に応じなかった場合、支払わなければならないVATの 60% の罰金が科せられます。

– 3 回目の催促に応じなかった場合、支払わなければならないVATの 100% の罰金が科せられます。

 4) 通信技術の担当部署に対して、デジタル商品やサービスのオンライン上の提供を一時的に停止または停止するよう提案します。

 5) ケースに応じて、銀行に対して、決済サービス事業者の支払いツールを一時的または永久的に停止するよう提案します。

                                          以上

 

 

yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)