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ラオスにおけるECプラットフォーム事業者に適用される税について

2022年04月21日(木)

ラオスにおけるECプラットフォーム事業者に適用される税についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
ECプラットフォーム事業者に適用される税について

 

ラオスにおけるECプラットフォーム事業者に適用される税について

2022年4月21日
One Asia Lawyers ラオス事務所

1.背景

2021年4月12日付で「電子商取引に関する政府令(No.296)(以下、政府令)」が発行されています(詳細は、2021年5月31日発行のニューズレターをご覧ください)。本政府令では、eコマース事業における税務上の規定については、規定されていなかったため、今回、財務省は、2022年2月24日付で「eコマース事業及びデジタルプラットフォームに適用される納税の義務(No.0541)(以下、財務省通達)」について通知を発行しました。

なお、eコマースの3種類[1]の形態のうちの「ネット販売」にかかる税については、2021年7月27日発行のニューズレターをご覧ください。

財務省通達は、1.ラオス国内企業登録者 2.外国法人(ラオス非居住者)3.企業登録をしていない国内外の個人事業者の各対象にごとに、税務上の規定が記載されています。

本ニュースレターでは、2. 非居住者である外国法人に適用される税務上の義務について解説いたします。

2. マーケットプレイスの運営法人及びデジタルプラットフォームサービス事業者(以下、ECプラットフォームサービス)について

 ラオスにおいて企業登録をしていないECプラットフォームサービスをラオス国内のユーザーに提供する事業者名が以下の通り、例示されています。

 

サービス内容

オンライン映画、音楽、ゲーム、アプリケーションの提供

YouTube、 JOOX、TikTok、Humble、Zoom、CODASHOPなど

ストリーミング配信

NETFLIX、Apple TV+、Disney+など

広告媒体の提供

Facebook、Googleなど

ホテル、宿泊施設、旅行の予約サイト

Agoda、Booking.com、Airbnbなど

買い手と売り手の間の仲介

Shopee、Lazadaなど

 

 

3. ECプラットフォームサービス事業者に対する税務上の義務について

1)ECプラットフォームサービスに対するラオス国内のユーザーからの収入が年間4億キープ(約34,000米ドル)を超える場合、VAT登録が必要となります。

2)財務省のオンライン納税サービス(TaxRIS:http://taxservice.mof.gov.la/)を通じて、12桁の納税者番号(以下、TIN)を取得する必要があります。

3)ラオス国内のユーザーからのECプラットフォームサービスを通じた商品の販売やサービスの提供に対する売上VAT(VAT Output)を計算・回収し、仕入VAT(VAT Input)を控除せずに、TaxRISを通じて申告・納付する必要があります。

4)OECD Regulation on E-Commerce and Digital Service Tax[2]に従って、法人税(Profit Tax)を計算、TaxRISを通じて申告・納付する必要があります。

5)ECプラットフォームサービス事業に携わるラオスに居住する個人に対して給料等の支払が発生する場合、事業者が源泉徴収を行い、所得税をTaxRISを通じて申告・納付します。ラオス居住者個人へ銀行送金による支払いを行ったことがわかる書類(Transaction Information)が必要となります。

6)ECプラットフォームサービス事業者のVAT及び法人税の申告・納付期限は、7月20日と翌年1月20日の年に2回と規定されています。

7)税務署は、要請に応じて、非居住者である企業に対して、その提供するECプラットフォームサービスに関する追加情報を提供するよう求めることができます。

法人税に関しては、上記 3.4)で引用されているOECDの規定が確認できておりません。他方、ラオスの所得税法に従う場合、ラオ ス国内で企業登録をせずに、ラオス国内で事業を行い収入を得ている非居住者は、ラ オス国内で課税されると規定されています(所得税法第12条)。すなわち、ラオスでは源泉徴収の対象となります。源泉徴収税率は、サービス業の場合は、15%と設定されており(所得税法第15条)、源泉徴収法人税は、総売り上げの3%となります[3]。原則、サービスの購入者が源泉徴収をして納付することになりますが、TaxRISを通して、非居住者自身が申告・納付することが可能であると理解できますが、詳細は、確認できておりません。

[1] ①ネット販売(Online Ordering Function)、②マーケットプレイス(Electronic Marketplace)への出店

及び③マーケットプレイスの運営 (政府令第6条)

[2] 具体的にどの規定を参照しているのか不明

[3] 法人税は、特殊な産業(たばこ、鉱業など)を除いては、一律20%

 

以 上

本記事やご相談に関するご照会は以下までお願い致します。
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)