• Instgram
  • LinkeIn
  • Lexologoy

労働条件明示規制の改正の概要

2024年03月13日(水)

労働条件明示規制の改正の概要についてのニュースレターを発行いたしました。こちらの内容は、以下のリンクよりPDF版でもご覧いただけます。

労働条件明示規制の改正の概要

 

労働条件明示規制の改正の概要

2024年3月13日
One Asia Lawyers 東京事務所
弁護士 松宮浩典

 2023年5月号「労働条件明示の制度改正の概要」で取り上げた労働条件明示事項の改正が4月1日より施行されます(以下「本改正」といいます)。
 今月のニューズレターでは、2023年10月12日に公表された「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令等の施行等について(無期転換ルール・労働契約関係の明確化等)[1]」ついて解説いたします(以下「本通達」といいます)。

1 概要

 本通達は、本改正に関連して、具体的な取扱い等のうち、無期転換ルール・労働契約関係の明確化等について通知するものです。
 なお、本改正における概要は、次のとおりです。

  対象 明示のタイミング 新しく追加される明示事項
1 すべての労働者 労働契約の締結時と有期労働契約の更新時 就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲
2 有期契約労働者 有期労働契約の締結時と更新時 更新上限の有無と内容
3 無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時 無期転換申込機会、無期転換後の労働条件
+無期転換後の労働条件を決定するに当たり、他の正社員等とのバランスを考慮した事項の説明に努めること

2 就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲

 本改正により、すべての労働契約の締結及び有期労働契約の更新のタイミングごとに、「就業の場所及び従事すべき業務」に加え、「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」を明示する必要があります(改正労働基準法施行規則[2]第5条1項1号の3)。
 具体的に「就業の場所及び従事すべき業務」とは、労働者が通常就業することが想定されている就業の場所及び労働者が通常従事することが想定されている業務をいい、配置転換及び在籍型出向が命じられた場合の当該配置転換及び在籍型出向先の場所及び業務が含まれます。ただし、臨時的な他部門への応援業務や出張、研修等、就業の場所及び従事すべき業務が一時的に変更される場合の当該一時的な変更先の場所及び業務は含まないとされています。
 また、「変更の範囲」とは、今後の見込みも含め、当該労働契約の期間中における就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲をいい、労働者のキャリアパスを明らかにする等の観点から明示が求められています[3]
 さらに、労働者がテレワークを行うことが通常想定されている場合には、テレワークを行う場所が就業の場所の変更の範囲に含まれることに留意する必要があります。

3 通算契約期間又は有期労働契約の更新回数の上限

 本改正により、有期労働契約の締結及び契約更新のタイミングごとに、「更新上限の有無(有期労働契約の通算契約期間又は更新回数の上限)と内容」を明示する必要があります(改正労働基準法施行規則第5条1項1号の2)。
 「更新上限の有無と内容」は、労働者及び使用者間における認識が一致するような明示であれば問題ないとしつつ、労働者及び使用者間での混乱を避ける観点から、契約の当初から数えた更新回数又は通算契約期間の上限を明示し、その上で、現在が何回目の更新契約であるか等を併せて示すことが考えられるとされています[4]

4 無期転換申込みに関する事項及び無期転換後の労働条件

 本改正により、使用者は、その契約期間内に無期転換申込権が発生する有期労働契約の締結の場合には、「無期転換申込みに関する事項及び無期転換後の労働条件」を明示しなければなりません(改正労働基準法施行規則第5条5項)。
 「無期転換申込みに関する事項」とは、労働契約法第18条に規定する無期転換ルールに基づき、当該有期労働契約の契約期間の初日から満了する日までの間に有期契約労働者が無期労働契約への転換を申し込むことができる権利を有することをいうものであるとされています。
 また、「無期転換後の労働条件の明示」は、①無期転換申込権が生じる有期労働契約の更新時、及び②労働者による無期転換申込権の行使による無期労働契約の成立時のそれぞれで明示する必要があります。
 ただし、①の時点で、改正労働基準法施行規則第5条5項に基づいて、明示すべき労働条件を事項ごとにその内容を示す方法で行っており、かつ、②で成立する無期労働契約の労働条件のうち、同条第1項に基づき明示すべき事項が全て同じである場合には、②の時点で、全ての事項が同じであることを書面の交付する方法により明示することで対応することも可能であるとされています。

なお、無期転換後の労働条件は書面の交付等により明示しなければならず、明示する労働条件は、労働契約締結時の明示事項と同様になります(改正労働基準法施行規則第5条6項)。

 

[1] 厚生労働省「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令等の施行等について(無期転換ルール・労働契約関係の明確化等)
[2] 改正労働基準法施行規則
[3] 厚生労働省「令和5 年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A」2.1
[4] 厚生労働省「令和5 年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A」3.1