ラオスにおける外貨建て給料について
ラオスにおける外貨建て給料についてのニュースレターを発行しました。
PDF版は以下からご確認下さい。
ラオスにおける外貨建て給料について
2024年8月14日
One Asia Lawyers Groupラオス事務所
1.背景
2022年10月1日より「改正外国為替管理法(以下、「外為法」)が施行されており(詳細は2022年12月16日付のニュースレターをご参照ください)、ラオス国内における外貨の使用について第9条に「ラオス国内において、商品、サービス料金、給料・賃金などはすべて現地通貨ラオスキープ(以下、「キープ」)で記載、表示する必要があり、キープを基礎として、上記の価格を決定すること」が規定されています。
今回、労働社会福祉省は、上記、第9条に関連して、ラオス国内のすべての製造・サービス事業者に対して、給与の額を外国通貨で設定し、実際の支払いはキープで行っている場合に適用する為替レートに関する通知(No2721)を2022年8月13日に発行しました(以下、「労働省通知」)。
第9条に基づくと、原則、ラオス人の給与の額[1]は、キープで設定しキープで支払うことと解釈されています。労働省通知は、労働者の国籍については触れていませんが、発行の目的としては、キープが安定しない状況から労働者を保護するためとありますが、ラオス人労働者への給与の支払い通貨をキープとすることを徹底させることも意図した通知であるようにも読めます。
以下、労働省通知内容を解説いたします。
2.適用する為替レートについて
(1)労働者の給与、賃金、手当等(以下、「給料」)を外国通貨で設定し、キープに換算して支払っている場合、給料計算日より前の直近3営業日のうちのいずれかの日のラオス国内の商業銀行が定める最新の為替レートより低いレートを適用してはならない
(2)上記(1)に従い給料計算を行っていない場合、雇用契約書及び就業規則の内容を労働省通知に則った内容へ改正し解決すること
(3)2024年10月1日以降は、労働省通知で規定する商業銀行が定める為替レートより低いレートで給料を計算した場合、事業者は警告を受け、関連する法令に従い罰則の対象となる。同時に(適正な為替レートで)給料の再計算を行い、労働者へ不足分を支払うこと
[1] 2023年7月14日付「外貨管理の実施に関する首相命令(No10)」では、労働者の賃金・給与は、キープ払いを原則とした上で、外国人労働者又は外国人専門家の雇用を必要とする事業者に関して外国人労働者に対するラオス国内での賃金・給与については、外貨で設定し、外貨で支払うことが可能と明示されています。
以上
yuto.yabumoto@oneasia.legal(藪本 雄登)
satomi.uchino@oneasia.legal (内野 里美)